第49話 歪んでいく心
真矢に敵を近づけさせないため桜は中衛まで走りカタルシア軍の戦闘に加わった。
「私も手伝うよ!ここはまだ激戦区じゃなさそうだし」
「おお!助かるアサシンの冒険者、だが無理はするなよ!未来を継ぐ子供がここで命を落とすのは惜しい……危なくなったら引くがよい!」
桜は頷ずいた。
グライスト軍はだんだんと前衛から中衛に流れてきている。もはやカタルシア軍前衛はほとんど機能していない状況だ。
「これじゃ負けるのも時間の問題じゃん!殺す事は出来なくても致命傷を与えれば後退していくに決まってる!」
桜はスキル迅速を使い目にも止まらない速さで敵兵士の背後に回り込み背中に短剣を突き刺した。
「ぐわ!な、なんだ!どこから攻撃をした!」
早すぎて桜の姿を敵兵士は見つけられない。
桜はスキル迅速の効果が切れる前にできるだけ敵兵士の背後を短剣でつき刺して行った。
その姿をみたカタルシア騎士団長が。
「おかしい……いくらアサシンだからと言ってもあそこまで速いアサシンは見たことがない」
桜はウルのレベル2だが他の冒険者から見ても速さが以上なのである。同じアサシンのウルでもあそこまで見えなくなるような迅速は出来ない。
「あのアサシンの女……一体何者何だ?」
桜のおかげかグライスト軍は見えない敵にやられる恐怖で後退していく。すでに刺された兵士達も痛みを我慢して後退していく。
これを好機と捉えたカタルシア騎士団長が味方にかけ声を言う。
「アサシンの冒険者のおかげか敵が少しずつ後退している!この機を逃す訳にはいかん!皆の者我、騎士団長ギルベルトに続け!」
そのかけ声にカタルシア軍、冒険者が雄叫びをあげ騎士団長に続き前衛に進み出した。
「よし!とりあえずこれで後衛の真矢に攻撃がいく事はないかな--私やばいな……人を刺すたびにもっと刺したいって思ってくる」
「やばいけど気持ちいい……もっと、もっとしたい……戦争なんだし最悪殺してもしょうがないよね--私も前衛に行こ」
桜はカタルシア城塞都市での闘技場の戦闘以来戦う事が好きになっていた。たが自分でも分かるくらい心が歪んでいくのも感じていた。
カタルシア軍がグライスト軍の前衛、中衛部隊とぶつかり勢いのまま前線を押し上げていく。
桜もカタルシア軍に追いつき戦闘を始めようとした時グライスト側からいかにも位の高そうな装備を身につけた女兵士が前に出てきた。
それは葉留を特訓していた女兵士ルナだった。
「貴様ら!少し劣勢になっただけで押されてどうする!グライスト王国の意地を見せよ!」
それを見た桜はターゲットを女兵士ルナに絞った。
「あの女兵士絶対強いじゃん!私が……やっちゃおうかな」
と不気味な笑みを浮かべながら機が来るのを待っていた。
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