伝説‥49話〜ビーストマスターと召喚アイテム

 ここはオパール魔導師学園の時計塔付近。


 空には黒々とした雲が立ち込め、風が渦巻き大嵐が吹き荒れていた。


 シュウはメニューを開き、プリセットの中からビーストマスターを選んだ。


 すると武器や装備が変わり、軽装備になった。


「シュウ!ビーストマスターなんて、いつの間にマスターしてたのら?」


「まさかねぇ。シュウがビーストマスターって、あっ!そういえば確か、ユウもビーストマスターだったわよね?」


「……アイツの名前は出さないでくれないか。今は特にな‼︎ 」


「シュウ……何でそんなにユウの事を嫌うのら?」


「じゃ、逆に聞くが、何でアイツの事を、そんなに信用できる?」


「それは、何でなのかなぁ。だけどさぁ。ユウはシュウが思ってるほど悪い奴じゃないと思うんだけど。」


「あ〜、クソッ!ユウ、ユウ、ユウ、って、こっちの世界に来てまで、何でアイツの事を考えなきゃならない!」


「シュウ。ごめんなのら。でもね……。」


 ミクが何かを言おうとしたが、シュウはそれを遮り、


「ふぅ……ごめん。だが、今はリュウキの所に行かなきゃならない。余計な事を考えてる余裕はないんだ!」


「確かにそうだね。今はリュウキをどうにかしなきゃならないよね。」


「シュウ、もう準備は出来たのか?」


「はい、ナルザスさん。後は天馬を専用のアイテムで召喚するだけだけど、これにも魔力を使うんですか?」


「うむ、召喚アイテムか。そっちの世界の召喚アイテムはどうかは知らんが、こっちの召喚アイテムは魔力を使う。」


「じゃ、魔力を調整しながらのが良いって事か……。」


「ああ、そうなるな。」


 ナルザスは時計塔の上空を見上げた。


 グラティスも時計塔の上空を見上げると、


「シュウ。そろそろ行かないと不味そうだ!」


 リュウキは、上空で静止していたが、大きく旋回し始めた。


「確かに、早く行かないと不味そうですね。」


 シュウはバッグの中から白銀の如く光り輝く宝石を取り出し左手で持つと、


 《宝石召喚 「天馬ペガサス」‼︎》


 と言い、宝石を軽く放り投げた。


 すると、宙を舞い宝石は割れ眩い光を放つと、目の前に天馬ペガサスが現れた。


 シュウはその天馬ペガサスに乗ると、


「ふぅ、何とか乗れたが、まぁ大丈夫だろう!」


 シュウは少し不安になったが、呼吸をし気持ちを落ち着かせた。


「シュウ、大丈夫なのら?」


「ねぇ、シュウ大丈夫?なんか顔が引きつってるように見えるの私だけかな?」


「……さあな。怖くないといえば嘘になるな。だが、流石にアイツの事を、このままほっとけないし、嫌でも助けないと後味悪いしな。」


 そして、シュウは自分の中から湧き出す恐怖心を抑え、天馬ペガサスを操縦し、リュウキの元へ空高く飛んで行った。


「ねぇ、ミクはどう思うかな?シュウは、ちゃんとリュウキの所に辿り着くと思う?それにこの凄い風の中で大丈夫なのかな?」


「ん〜、どうなのかな?」


「そうだな、多分難しいだろうが。シュウが、無策で事を起こすとも思えないが?」


「あのぉ?グラティスさんでしたっけ?何でそこまで、シュウの事が分かるんですか?」


「ん?ああ、この数日間、ある場所からオパール城まで、シュウと他の異世界の者2人に後数名の者と旅をして来たのでな。その間、シュウの行動を観察して来た。周りの状況を冷静に捉え、行動力も優れているように見えたが。」


「なるほど、グラティス。それで、今他にも異世界の者が2人いると言ったな。それはどう言う事なんだ⁉︎」


「ナルザス様、それは先程も言いましたが、この件が片付き次第のち程、話したいと思います。」


「そうか、そうだったな。この件を片付けなくてはな。」


 するとクロノアが今の話を聞き気になり、


「グラティスさん、今他にも異世界の者が2人って言ってたけど。それって誰と誰なのかな?」


「ん?異世界の者の名前か。クレイ・ディオンとマリリン・ハーブだが知り合いなのか?」


 クロノアとミクは驚いた。


 クロノアはクレイ・ディオンの事は知っていたが、マリリン・ハーブの事は知らなかった。


 ミクはマリリン・ハーブの事は知っていたが、クレイ・ディオンの事は知らなかった。


 そして、クロノアはある事を思いつき、ミクとナルザスとグラティスに言ったのだった…。

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