伝説‥13話〜腕輪の値段⁉︎

 クレイとマリリンはユリニャとゲルドフに案内してもらい、アクアメノスの街を散策していた…。


 4人は話をしながら歩いていると、マリリンは装飾品店のショーウィンドウの前で立ち止まった。


 クレイ達は少し先まで行くが、マリリンがいないのに気がつき、後ろの方で立ち止まりショーウィンドウを眺めているのが見えた為引き返した。


 マリリンはショーウィンドウに飾られている、商品を食い入る様に見ていた。


「おい…マリリン、そないに食い入る様に見とったら…ショーウィンドウのガラスが溶けて穴が空くで⁉︎」


 クレイがそう言うとマリリンは振り向き、


「クレイ…あのさぁ、言っておくけど…ガラスを溶かす様な特殊な能力は私は使えません…それに前から聞こうと思ってたんだけど…何でそんなに絡んでくるわけ?」


「あー…いや、ただ単に…マリリンをおちょくると面白うて…つい…。」


「はぁ…まあいっか…。」


「それはそうと…何をそないに食い入るように見てたんや?」


「あっ、そうそう…ねぇ、ゲルドフにユリニャ…このショーウィンドウに飾られている腕輪なんだけど、値段が書いてあっても…読めないのよね…何て書いてあるのかな?」


 マリリンが食い入る様に見ていた腕輪とは、光り輝くシルバーの腕輪に、豪華な宝石が散りばめられており、腕輪の周囲には細かい彫刻が施されている物だった。


 そして、ユリニャはその腕輪の値札の金額を見て、


「…あ、えっと…かにゃり高価にゃものみたいだけど…大丈夫かにゃ?」


「え?…そんなに、この腕輪高いの?」


「うん、そうみたいだね…これは、特殊なスキルが施されている腕輪みたいでな…金額は60万ジエムなんだけどな…お金の方はな…大丈夫なのかな?」


「え、えっと…60万ジエムって…そんなにするの?」


 そう言うとマリリンは財布の中身を見た。



 …マリリンは普段からお金の使い方が荒く、欲しい物があると、すぐに買ってしまう為に、財布の中はいつもそんなに入っていない…



 そして、財布の中身を確認したが、やはりお金を補充していなかった為にほとんど入っていなかった。


「あー…最悪…お金、補充しておけば良かったなぁ…んー…でも、いいなぁ…欲しいんだけどなぁ…。」


 そう言いながらマリリンは、また、その腕輪をショーウィンドウ越しに食い入る様に見ていると、クレイは呆れた顔になりながら溜息をつき、自分の財布の中身を見て、


「はぁ…しゃぁないなぁ…60万ジエム、今回は貸したるけど…後で請求するから、ちゃんと返してや…。」


 そう言うとクレイは60万ジエムを渡し、マリリンは受け取ると、


「…え、えっと…本当にいいの?…ありがとう…ちゃんと後で返すね…。」


 そう言うとマリリンは60万ジエムを持ち店の中に入っていった。


(はぁ…多分、あの金返ってけぇへんやろなぁ…まぁええけど…。)


 そう思っているとゲルドフとユリニャがクレイの顔を目を輝かせながら見て、


「ねぇ…クレイって…お金持ちにゃんだね…。」


「クレイ…あんな大金を簡単に貸せるなんて凄いんだな…。」


「何言うてんねん…そんなに誉めても何もでぇへんで。」


 クレイはそう言いながら苦笑した。


 しばらくするとマリリンは満足そうな顔で店から出て来た。


 それを見たクレイは、満足気に笑みを浮かべていた。


 そして、またクレイ達は街の中を散策して歩いた…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る