伝説‥5話〜謎の城とそれを監視する国と強者と{改}

 ここは、この大陸の端の南西に位置する火山地帯。


 誰も寄り付かないほど、酷く荒れ果てた土地、その高台には立派なお城がある。


 この城の名前はシェルズ城という。


 しかし現在では、この城の事は誰も知らない。いや、一部の人間以外は……。



 この城の玉座の間では、国王アルベール・シェルズが、大臣ジルベイム・キリュウと話をしていた。


「ジルベイム。オパール城の様子はどうだ?」


「アルベール様。手はず通り、事は動いています」


「そうか。それならば良いのだがな。後は我々の方で3人、召喚するだけだ!」


「それでは、召喚魔導師たちに指示を出し、召喚の儀式を行わせたいと思います」


「今度こそ、成功させねばならない。ただ、神々に気づかれると厄介だ。そこは慎重に動け」


 そう言われ、ジルベイムは頷き一礼をし、玉座の間から出て行った。




 場所は移り、オパール城の玉座の間では、側近のナルザス・ホワイトが、国王ロウディ・オパールに報告をしていた。


「ナルザス。あの城の様子はどうだ」


「陛下。今の所は動きはないようです」


「そうか。それならば良いのだが。もし、動きがあるようなら、こちらも手を打たねばならない」


「では、配下の者には、引き続きシェルズ城の様子を、監視するように伝えます」


「うむ。ナルザス、頼んだぞ」


 ロウディがそう言うと、ナルザスは頷き、一礼をしてから、シェルズ城の監視をしている、配下の者の所に向かった。




 場所は移り、ここはオパール城から、東南に位置する森の中。


 リュウキとアリーシアは道に迷い、野宿をしながらひたすら、オパール城を目指していた。


 しばらく歩いていると、サーベルタイガーの群れと遭遇した。


「アリーシア。何か、スゲーやばいのが、何匹も……おい!?どうすんだよ!!」


「あちゃー、困ったね」


「……って、はぁ。あー、クソッ!何匹も……。こんなのどうやって戦って?」


 リュウキはそう言うと、サーベルタイガーを睨んだ。


 そしてサーベルタイガーは、2人に襲いかかってきた。


 2人は瞬時に身構えた。


 サーベルタイガーは前足の爪で、リュウキを斬り裂こうとした。


 するとリュウキは、すかさず盾でガードし、サーベルタイガーの腹部を、剣で突き刺した。


「ガ、ガオォォーオォー!!」


 と、雄叫び上げ、バタッと地面に倒れ込み、そのまま息絶えた。


 そして、他のサーベルタイガーは、それを見ると怒り、リュウキ目掛け襲ってきた。


「ちょ、ちょっと待て!?何で俺ばかり、狙われなきゃいけねぇんだ〜!」


 そう言いリュウキは、アリーシアの方を見た。


 するとアリーシアは、大蔦の籠を召喚し、身を守っていた。


 それを見たリュウキは、サーベルタイガーの攻撃をかわしながら、


「おい!アリーシア。何で自分だけ、籠の中に入ってんだよ〜!?」


「ん?リュウキは強そうだし、大丈夫かなって思ったから。それに、誰かが倒さないと、流石にまずいでしょ」


 そう言われ仕方なく、リュウキは盾を天にかざし、


 《守護龍の結界!!》


 盾が白く光りを放ち、龍の声が、


 “ガオォォーン!! ”


 と、辺りに響き渡り、結界がリュウキを覆い攻撃を防いだ。


 すかさずリュウキは、サーベルタイガーの群れ目掛け、剣を斜めに振り上げ、


 《疾風連斬撃殺!!》


 疾風の如く連続で斬りつけ、サーベルタイガーを倒していった。


「リュウキ。思ってたより、すごく強いんだねぇ」


「……って。まぁいい。てか、腹減ったぁ〜。あっ!そうだ。アリーシア、このサーベルタイガーって、食えるのか?」


「うん、美味しいよ。だけど調理しないと、食べれないけどねぇ」


 そう言われリュウキは考えた。


 その後リュウキは、サーベルタイガーを解体し食べる事にし、アリーシアと小枝を集めた。


 集めてきた小枝に、持っていたアイテムで火をつけ、サーベルタイガーの肉を焼き2人は食べた。


 そして残った肉は、調理してバックの中にしまった。


「リュウキ。これでオパールの街まで、何とか空腹にならないですむねぇ」


「確かに、しのげそうだが。無くなる前に、学園につけばいいがな」


 そして、2人は火を消した後、その場を後にしオパール城を目指した。

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