第10話
水の中から大量のゴブリン達がが這い上がってくる。 滝の奥にある洞窟からも溢れる様にゴブリン達が出てくるのが見えた。
「くそ! まずいぞ」
「何よあの数!」
「ゴブリンの大量発生と進化が起こってるんだ。 多分まだまだ出てくるぞ。」
ゴブリンは珍しい特徴がある。 ゴブリンと他者族の子は成長速度が著しく早いく、およそ出産から5日程で成体になるのだ。 それに他社族の子はゴブリン同士の子より能力が高く育つと言われている。
「ライラ、あいつらは行方不明を苗床にかなりの数になっているはずだ。 証拠に森の木の実とモンスターがかなり減っていた」
「目の前で起こってる事を見ると、そのようね。 でも進化って話は本当なの?」
「ああ。行方不明の情報には
勇者達の方を見ると大量のゴブリンに囲まれてしまったようだな。10、20、30……確実に200以上はいやがる。 思った通りだ。ソードゴブリンにランサーゴブリンそれにマジックゴブリンなどの上位種がいる。 だが、この規模の群れだ。コイツらを操っている更に上位のゴブリンがいるはず。
「俺がフラグみたいなこと言っちゃったからかな。 これは流石に多過ぎるよ」
「私達にかかればこんな数問題じゃありませんわ!」
「そうだね。俺達ならやらるか。それじゃあ……いくぞ!」
あの数に囲まれてんのに随分と余裕だな。勇者が素早い踏み込みでゴブリンの一匹を切り捨てたことで、勇者達とゴブリン達の戦闘が始まった。
――カサッ
ん? 背後から音がしたな。
「危ねぇライラ!」
「きゃ!」
ライラの腕を引っ張り、俺の方は引き寄せる。 ライラがいた場所に矢が突き刺さった。
「そこか!」
グギャ!
矢が飛んできたほうに素早くスローイングダガーを投げると、弓を持ったゴブリンの喉に突き刺さる。 アーチャーゴブリンか!
「ありがとう。 助かったわ」
「感謝されたのなんて久しぶりだぜ。 それもりよ気付いてるか?」
「ええ。 勇者様達に気を取られ過ぎたわ。 私達囲まれてるわね」
周りからぞろぞろとゴブリン達が現れる。 ざっと数えて50匹以上ってとこだな。 上位種もちょくちょく混ざってやがる。 さて、俺達も戦闘といきますか!
ライラの戦闘方法は知らないが、まずは厄介な遠距離攻撃をしてきそうな上位種を片付ける。
「アーチャーゴブリンとマジックゴブリンは俺がやる。 他は任せたぞ」
「了解よ」
まずは背後の木の上にいる奴からだな。 振り返ってスローイングダガーを投げる。 すぐに何かが落ちた音が聞こえた。まずは一匹。 続けざまに近くに居たマジックゴブリンを足払いして地面に転がす。 そのまま首を踏み付け、骨をへし折った。
「…あと二匹か」
前方にいたアーチャーゴブリンが矢を放つ。 殺したマジックゴブリンの死体を盾にして矢を受けた。 矢の刺さった死体を投げつける。 下敷きになったマジックゴブリンがもがいているが、死体の矢を抜き取って、目に突き刺した。 さぁ……あと一匹。
少し離れた所にマジックゴブリンが見えた。 最後はあいつか。
スローイングダガーを投げる。
グギャギャ!
クソ外れたか! マジックゴブリンの魔法によって狙いがそれちまった。直接やるしかないな。 マジックゴブリンの所まで一直線に駆ける。
グギャ……グギャグギャ……
マジックゴブリンの指先に火が灯り始める。
ちっ……。 あいつ詠唱してやがるな。 近付き過ぎて回避も間に合うかどうか。火傷くらいは覚悟で突っ込むか!
――ビュオン!
――ドゴオッ!!
突然、俺の真横を何かが通り過ぎてマジックゴブリンにぶち当たった。 よく見るとソードゴブリンだ。 マジックゴブリンはソードゴブリンと勢いよく木に叩きつけられて死んでいる。
「さっきの借りは返せたかしら?」
「ああ……」
「じゃあ残りも片付けちゃいましょう」
ゴブリン共の相手をしながらライラの方を見てみる。
うわあ……。 さっきのは見間違えだと思ったんだが、違うらしい。 殴りに蹴り、杖でフルスイング……。 豊富な魔力を全て身体強化に使い肉弾戦してやがる。 プリーストって言ってたけど、モンクの間違いじゃないよな?
うわっ! ランサーゴブリンの槍を掴んで逆に持ち上げてる! そのまま地面に叩きつけだぞ! そんなに何回も叩きつけなくても……。
お次はソードゴブリンの剣を杖で弾き飛ばして、首を掴んで片手で首をへし折った!
さっき俺の助けいらなかったんじゃないのか?
「やっぱり、進化してもゴブリンはゴブリンね」
「そ、そうだな。 ……ご愁傷様」
俺は生まれて初めゴブリンに哀れみを覚えた。
まあ、そんなゴリラプリーストの活躍でゴブリン達はすぐに片付いた訳だが、勇者の方はどうなったかな?
「ふう。 流石にこの数だと少し疲れたかも」
「そうですわね。 私も魔力をかなり使ってしまいましたわ」
どうやらあちらも片付いたらしい。緑色の山が出来ている。全部ゴブリンの死骸だ。 俺達の何倍もの数を相手に大した傷もなくやったのか……。まだ余力もあるらしい。
だが、まだ本命が出てきていないはずだ。 どこだ……どこにいるんだ。
「あれ、なんか揺れてない?」
「そうですか? 私は感じませんわ」
勇者の言う通り微かに地面が揺れている。 地震ではないようだ。 何かが近づいてくるような、まるで足音のような。 揺れは滝の裏の洞窟から、だんだん近づいて大きくなってる。揺れは滝の前でなくなった。
突如として滝が剣で斬られ、緑色の巨体が見えた。
「グギ……ツカエナイヤツラダ。 オレサマガチョクセツイカナケレバナラナイトハ」
「へえ。 ボス登場って感じかな」
人間の言語を操り、あの滝を斬った剣技、それに、あの巨体! 思ってたより上の奴が出てきちまったらしい!
「ちょっと何よあれ!?」
「思ってたよりヤバいぜ。 ありゃあ
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