人間動物園、サイコパスの実験報告書

野口マッハ剛(ごう)

フィクションです。

実験1日目


内側からは外の様子を見ることはできないだろう。

コンクリートでできた部屋。

中は真っ暗である。

そこに一人の人間がいる。

じっとベッドの上で身動きを取らない。

怯えているようだ。

食事は1日一回で、人間は何故か食べない。


実験2日目


ベッドの上から降りて真っ暗な部屋の中をうろうろし始める人間。

何かを叫んでいる。

こちらは特に何もしない。

食事を出すと食べる人間。

ぼろぼろと床に散らばる残飯。


実験3日目


ここで変化が起こる。

人間が自分の頭を壁やベッドに強く打ち始める。

叫び声が聞こえる。

食事を食べる人間は、まるで動物のように頭を近づけて両手を使わない。


ーーーーーーーーーーーー


実験の途中経過報告


人間はベッドの上で身動きを取らなくなっていた。

長い間真っ暗な部屋の中にいて正常な判断を失っているようだ。

うめき声が聞こえる。

コンクリートの部屋の床は汚なかった。

残飯が腐っていたり、人間の大小便などが散乱している。

実験はある日突然中止となる。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「救出された被害者はーーーー。逮捕した容疑者の映像だとーーーー。なお、この監禁については不可解な点が多くーーーー。事件の全容解明を急ぐと共にーーーー。警察署の発表によると、犯人は複数いて現在も逃走中とのことでーーーー。容疑者の一人は次の通り供述…………」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

人間動物園、サイコパスの実験報告書 野口マッハ剛(ごう) @nogutigo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る