第151話 貸し切りパーティ

 いろいろと話した結果、商店街の一角にあるオシャレなカフェを貸し切り状態にして、第三王女直属特別隊の四人が勲章授与された事へのパーティとなった。

 ちなみに、急な話ではあったものの、ソフィアとルミも参加している。

 ルミはいつも通りの格好だが、ソフィアはパーティと聞いて何をどう勘違いしたのか、肩と背中を大きく露出させたカクテルドレスを着てきたため、物凄く違和感があるが。

 ただエリーは家に……というか、テレポートで勝手に部屋へ入ったが家に誰も居らず、家族で出掛けているのだろうと判断して、邪魔しないようにメッセージ魔法も送らないようにしておいた。

 その結果、ニーナ、シャロン、ジェーン、マーガレット、アタランテ、ソフィア、ルミ、ユーリヤの総勢八名の少女が集まっている。

 尚、この名前の順は俺から見た胸の大きさ順で、アタランテとソフィアの間に大きな壁があるのだが。


 パーティと言っても余興がある訳でもなく、食事をしながら好き勝手に喋るだけなので、ぐるりと周囲の様子を見てみる。

 ニーナはジェーンと剣術談義をしており、シャロンとマーガレットとソフィアの三人は何やらガールズトーク的な話に花を咲かせ……というか、内容はわからないが、ソフィアが二人から一方的に質問攻めに合っている感じだ。

 ユーリヤは俺の傍で常に何か食べており、カフェの店員さん――特にキッチンスタッフが半泣きになっているらしいけど、売り上げが伸びるので店長はニコニコしているが。

 そしてアタランテとルミは、何故か俺を間に挟んで女性の魅力について語っており、ちょくちょく絡まれる。


「さてと……休日という事もあって、皆息抜きが出来たかと思う。明日以降も任務は続くし、今は任務を依頼していなくても、何かお願いしに行く事がきっとあるだろう。皆この国のために、協力して欲しい」

「隊長さん、次はボクも戦いたいです!」

「私もよ。何かあったら、ちゃんと呼んでよねー」


 ドワーフ国探しでサムソンと戦えなかったニーナとアタランテが迫ってきたかと思うと、


「ルミも、もっと仲間に入れて欲しいなー。ある程度、調べ物は終わったし」


 ルミが平らな胸を押し付けてくる。

 俺としては、ルミはお母さんみたいなエロエルフさんになってから同じ事をしてくれると、非常に嬉しいのだが。

 ちなみにルミは、自分の先祖である魔王討伐隊のエルフ、リンネア=リーカネンが非情な手段を使ってユーリヤを五千年も拘束していたのか……という事を調べていた。

 エルフの村に残された資料などを、長老たちを巻き込んで調べあげ、ルミの先祖ではなく、別のエルフが行った事だと判明しているそうだ。

 とはいえ、エルフが行った事に代わりはないので、ユーリヤに謝っていたが「にーにがいるから、だいじょーぶ」と笑顔で返されていた。

 ……もしかして俺は、このままユーリヤの父親代わりになるのだろうか。

 今は「にーに」だが、そのうち「ぱーぱ」に代わる!?

 それはそれで構わないような気もするが、俺も「まーま」が欲しいのだが。……出来れば、巨乳の美少女で。


「ヘンリーさん。ドレス姿のソフィアさん……凄く綺麗ですよね」

「お兄さん。ほら見てよ。背中、めちゃくちゃ綺麗だよー」

「ちょ、ちょっと二人とも、な、何を言っているのよっ」


 何故だろうか。

 この中で一、二位を争う巨乳少女シャロンと、そこそこ大きな胸を持つマーガレットが貧乳のソフィアを推してくる。

 ソフィアは背中側ではなく、前を大きく露出させたドレスだったら良かったのに。

 ……あ、でも背中も胸も大差ないか。


「……アンタ、今ウチの背中を見て変な事を考えなかった?」


 流石は貧乳四天王の一人、ソフィアだ。

 今日も読心術が冴えてるな。


「じゃあ、そろそろ時間も遅いし、今日はこれで解散! それぞれ家まで送るよ」

「ちょっと! ごまかすなーっ!」


 ソフィアが怒って走り寄ってきたのだが、慣れないドレス用の靴? を履いているからか、盛大にこけそうになる。


「お……っと、大丈夫か?」


 何とか床に激突する前に支えてあげたのだが、


「む、胸……手がウチの胸に……」


 俺の手がソフィアの胸を思いっきり掴んでいた。


「……テレポート!」


 やばいと思った瞬間、反射的にソフィアと共に家の前へ移動し、自宅の前で騒がない方が良いではないのかと諭してみる。

 ソフィアは貴族だし、自宅前で喚き散らす訳にもいかなかったのだろう。

 終始顔を真っ赤にしていたが、ソフィアが大声で騒がずにチラチラと俺の方を振り返りながらも、屋敷に向かって帰って行った。

 よし、俺の作戦勝ちだ。


 再びカフェへと戻り、ルミ、ニーナ、シャロンを送って店の会計を済ませる。

 当初の見積もりより高かったのは、十中八九ユーリヤが店側の想定以上に食べまくったからだろう。


「じゃあ、今日は皆で俺の部屋へ帰って、明日からはまた任務だな」


 そう締めくくって、残った四人――ジェーン、マーガレット、アタランテ、ユーリヤと寮へ戻ろうとすると、


『ヘンリーさん。無粋なのでパーティ中は言いませんでしたが、大切な話があります』


 俺がカフェ店員のお姉さんの胸を凝視した時に注意を発しただけだったアオイが、真面目なトーンで話しかけてきた。


(わかった。じゃあ、一旦部屋に戻ったら聞くよ)

『はい、お願いします。先日現れた魔族に関する事で、気付いた事がありますので』


 ワープ・ドアの魔法を使い、自室でアオイの話を聞こうとすると、


「ハー君! やっと帰って来てくれたぁぁぁっ!」


 何故か俺の部屋にエリーが居て、抱きついて来た。

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