第150話 お祝い

 マーガレットが籠って作業するのに必要な物があるというので、騎士団寮の話はコートニーに任せて買い物に行く事にした。

 王宮の門に向かって歩いて居ると、


「皆さん。おめでとうございますー! ボクも第三王女直属特別隊として鼻が高いですよー!」

「おめでとうございます、皆さん。そして街を救ってくださって、ありがとうございます」


 ニーナとシャロンの爆乳コンビに遭遇した。

 すぐ傍にはジェーンもいるし、こんな所で巨乳三銃士がそろうとは。


「勲章って、見せてもらっても良いですか?」

「あ、ボクも見たーい! ねぇ、隊長さん。見せてー!」


 爆乳の二人にお願いされて断る理由が無いので、空間収納魔法で貰ったばかりの勲章を取り出す。


「へぇー。こんな形なんですねー。私、初めて見ました」

「ボクもー。それに大きい! 隊長さん、触ってもいいですかー?」

「えっ!? ニーナさん、触っちゃうんですか!? ちょっと大胆過ぎませんか?」

「ダメなの? でも目の前にあるんだよ? ちょっと触ってみたいじゃない。ねぇ隊長さん。触っても良いでしょー?」


 俺の目の前で、四つの爆乳がムニムニとうごめいている。

 むしろ俺が触りたいんだが。


「べ、別にかまわないが」

「ホント? やったー! 流石、隊長さんだね。じゃあ、触るね……ふふっ。触っちゃったー」

「じゃ、じゃあ私も。何だか、ドキドキします……あ! 凄く硬いんですね」


 今、ニーナとシャロンが触っているのは勲章のハズなんだけど、物凄く変な感じがするのは何故だろうか。

 これは俺がおかしいのか?

 俺が変な事を想像し過ぎているのか!?

 視線を感じて後ろを振り向いたけど、マーガレットが「その手があったか!」みたいな表情になっているのは気のせいだと思いたい。

 一先ず二人が落ち着いたので、勲章を空間収納魔法で仕舞うと、


「ところで今日は休日なのに、どうして二人とも王宮に居るんだ?」


 珍しく私服の――ノースリーブで無防備に横乳が見えている――ニーナと、いつも通り私服でもフードを被ったシャロンに尋ねてみた。


「だって、隊長さんをはじめとして、第三王女直属特別隊の皆が勲章を授与されているんだもん。お祝いしようと思ってねー!」

「そういう訳なんです。どこかでお祝いパーティしませんか?」


 おぉ。まさか祝ってもらえるとは思っていなかったので、ちょっとビックリしてしまった。


「ジェーンとマーガレットも来られるか? もちろん、マーガレットの買い物は済ませた後でだけど」

「私は主様と共におりますので」

「私も買い物が済んだら大丈夫だよー。明日からは暫く会えなくなるし、むしろ私も嬉しいかも」


 マーガレットの言葉で、どういう事? とニーナとシャロンが不思議そうな顔をしていたので、任務で十日間程居なくなるとだけ伝えておいた。


「じゃあ、マーガレットの買い物を済ませたら、食べ物とかを買ってパーティにしよう!」

「……ぱーてぃ? にーに、ユーリヤもー」

「あ、起こしちゃったか。大丈夫。ユーリヤも一緒に行こう。第三王女直属特別隊でお祝いだ」


 食べ物は何にしようか、飲み物は何にしようか、いっその事どこかのお店を貸し切りにしようか……などとパーティの内容について相談しながら王宮を出ると、


「ふーん。皆でパーティするんだ。いいなー。王宮に入れる人たちはー」


 獣耳で聴覚が人一倍鋭いアタランテが、王宮の門の前で膝を抱えた三角座りをして拗ねていた。

 ホットパンツ姿でその座り方をすると、隙間から水色のパンツが見えているから、俺の前以外ではあまりして欲しくないのだが。


「待った。もちろんアタランテも呼ぶつもりだったからね?」

「私も一緒に街を荒らした奴と戦いたかったなー」

「いや、その時アタランテはニーナとソフィアと一緒に、ドワーフの国を探していてくれたじゃないか」

「前のピンクスライム戦も戦わせてくれなかったしー」

「いや、あれは……むしろアタランテの為なんだけど」


 アタランテは覚えてないのか?

 あの獣モードのアタランテに襲われた事は、俺も思い出したくないんだけど。


「ちなみに、さっき王宮に入れる人はいいな……って言っていたけど、アタランテも王宮に入れるんだよ?」

「え?」

「だって、アタランテは第三王女直属特別隊だからね。ちゃんと門で手続きさえすれば、中に入れるんだけど……言ってなかったっけ?」

「き、聞いてないわよ!?」

「ごめん、ごめん。とにかく、今日はお祝って事で。そうだ、エリーやソフィアも誘おう。あとルミも呼ぼう。お祝いは皆でした方が楽しいからな」


 ルミとは面識の無いメンバーも居るかもしれないが、お祝いだし、ルミも第三王女直属特別隊として活動してくれたのだから構わないだろう。

 エリーは第三王女直属特別隊として直接は活動していないものの、ここに居る大半のメンバーは、エリーがこの第三王女直属特別隊にとってどれだけ大切かを良く知っているしね。

 とはいえ流石にこれ以上呼ぶと収集がつかなくなるし、今日はあくまで第三王女直属特別隊としてのパーティなので、呼ぶとしてもここまでだが。

 本来ならフローレンス様も呼びたい所だけど、流石に王族に声は掛けられないしね。


 さて、あとはここに居ない三人が今から声を掛けて来られるかどうかだな。

 急な話だし、それぞれの予定もあるだろうから、来られなければ仕方がないけど。

 一先ず、皆で何を食べたいかを決めてもらっている間に、俺は三人の家へ直接向かう事にした。

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