第14話 パンツ少女との再会

 代表メンバー三人のうち、一先ず二人はすぐに決まったのだが、皆が嫌がって三人目が全く決まらないまま、今日は解散となった。

 コースを背負って、他のコースと戦うチャンスだというのに、どうして皆やりたがらないのだろうか。


「エリー。皆どうして魔法大会の代表メンバーになりたがらないんだ? 皆で代表枠を争って戦ったりしないのか?」

「どうして……って、皆大会に出たくないからだよー」

「どうして出たくないんだ? せっかく魔法の勉強をしているのに」

「だって大会に出たら戦うでしょ? そしたら、痛いもん」


 いやまぁ、戦う以上痛みは当然あるだろうが……って、よく考えたら基礎魔法コースは全員女の子だ。

 俺が居た戦闘科総合コースは全員男で、総合コースには、他のコースよりも優秀な生徒が多かった。

 もしかしたら、戦闘科でも総合コース以外では代表枠を押し付け合って……いや、無いな。

 武道会に出場した選手は皆本気だったしな。


「ちなみに、前回――半年前の魔法大会で、基礎魔法コースはどういう結果だったんだ?」

「一回戦で棄権だよ。そして、魔法科総合コースが優勝して、王女様から直接記念品を授与されていたかな」

「なるほど棄権か……って、王女様? どうして、魔法大会に王女様が関係するんだ?」

「え? 戦闘科の大会では王女様が見に来ないの?」

「来ないよ。ただ、第二王子であるアレックス様は来られていたけど」

「じゃあ、それと一緒だよ。戦闘科は王子様。魔法科は第三王女のフローレンス様が来るんだよー」


 なるほど。エリーの言い分も分からなくはない。

 戦闘科による剣や槍での戦いの見物は、万が一の場合には戦場で指揮を執るかもしれない王子様には、少しでも何か得るものがあるかもしれないが、王女様には全く意味を成さないだろう。

 ちなみに前回の武道会では、優勝したのは俺だったりする。そして、王子様の護衛としてついて来ていた騎士団長から直接スカウトされたのだ。

 つまり、魔法大会においても同じ事――優勝、もしくは好成績を上げれば、王女様から直接は無いだろうが、護衛の人から宮廷魔術士へスカウトされるかもしれない。

 そう考えると、魔法大会へのやる気が湧いてくる。


「ところで、エリー。魔法大会は戦闘科と違ってチーム戦で、しかも三人要るんだろ? あと一人、誰か当てはあったりするのか?」

「ううん、全く。仲の良いダーシーちゃんにも断られたし、そもそも本当はエリーだってちょっと怖いんだ」

「そ、そうか。でも怖いのなら、どうして代表を断らなかったんだ?」

「さっきも言ったけど、ハー君がエリーを守ってくれるでしょ? エリー、知ってるもん。ハー君が魔法の達人で、とっても凄くて、とっても格好良いって」


 魔法の達人は誤解だが、戦いの達人ではあると思う。

 少なくとも、俺一人であれば、おそらく多少強力な魔法使いが現れた所で、何とか出来る自信がある。

 だけど今回はパーティ戦で、エリーを守りながら戦わなければならない。

 しかし騎士や魔法騎士になれば、市民を守りながら敵と戦う事だってあるかもしれない。今回は、そういう訓練だと思えば良いんだ。


「ちなみに、魔法大会に出場するのは、総合コースの二チーム、神聖魔法コースが三チーム、基礎魔法コースから一チーム、二年生選抜として二チームだよー」

「ふーん。魔法科は神聖魔法コースが多いのか。まぁ戦闘科も圧倒的に剣術コースが多かったし、そういう物なんだろうな」


 剣術コースを選択する生徒が多過ぎて一つの教室に収まり切らないので、剣術コースA組からC組まで別れていたけれど、神聖魔法コースも同じくA組からC組まで別れているのだろう。

 しかし、それにしてもだ。戦闘科の個人戦とは違ったパーティ戦なので、三人目のメンバーが見つからないと不利どころか、最悪出場させてもらえない可能性まである。

 一先ず三人目のメンバーとして誰に入ってもらうか――誰が入ってくれそうなのかを、エリーと食堂でお茶でも飲みながら相談する事にした。

 そして、放課後の食堂へ到着すると、何やら見た事ある顔の生徒が居る。

 つい最近見た少女なのだけど、その金髪童顔を眺めていると、水色のパンツが頭に想い描かれるのは何故だろうか――って、思い出したっ!

 その瞬間、向こうも俺に気付いたらしく、


「アンタ! 何で、こんな所に居るん!?」

「この前のパンツの女の子! どうしてこんな所に!?」


 二人揃って声を張り上げる。


「ちょっと! ウチを見てパンツの女の子……って、どういう事よ!」

「え? あ、いや。パンツの貸しがあったなーって思って」

「くっ……それはそうだけど、ウチの名前はソフィア! 覚えているでしょ!?」


 そうそう、ソフィアだ。ソフィア。

 いや、もちろん覚えていたよ? パンツ以外にも、ちゃんと印象が残っていて、例えば……えっと、そう、胸が小さい! とか。


「アンタ、ウチの事を見ながら何か失礼な事を考えてない?」

「い、いや。そんな事は無いさ。それより、今日は精霊使いの格好じゃないんだな」

「当たり前でしょ! 普段は制服を着ているに決まっているじゃない」


 ソフィアの言葉に、そりゃそうか……と納得していると、クイクイと俺の服が引っ張られる。


「ハー君。パンツの女の子って何なの? この娘とどういう関係なのー?」

「ん? あぁ、ちょっとした知り合いなんだ。で、この娘が今度パンツを見せてくれる約束なんだ」

「え!? パンツを!? あの娘が? ハー君に!? ……どういう関係なのか、エリーにはさっぱり分からないよー」


 エリーが困惑しているが、パンツを見せる約束だとだけ言われても、何の事かは分からないだろう。

 だが、魔術師ギルドでは色々あって撤退したけれど、学校では何の懸念も無い。

 パンツの約束を履行させてもらう丁度良い機会だ。


「ちょ、そんな約束……した、けどさ。な、何も学校で言わなくても良いじゃない!」

「まぁでも約束は約束だからな。さぁ、今すぐあの貸しを返してもらおうか」

「えぇっ!? こ、ここで!? というか、あれはギルドでの約束であって、学校では無効よっ!」

「いやいや、あの時は好きなだけパンツを見せて貰えるという話だった。ならば、場所は問わないはずだっ!」


 露出度の高い服からのパンツも良かったが、ローブと制服というパンチラ耐性の高い服で見せて貰うパンツは、また得られる物が違うはず。

 今こそ、自らスカートを捲り上げ、ソフィアに「パンツを見てください」と言わせる時だっ!


「あ、あの、ハー君。この娘、まだ二年生だし、すっごく困っているし、パンツが見たいならエリーのを見せてあげるから、止めてあげようよー」

「いや、ここで甘やかすと、将来壁にぶつかった時に……って、二年生!? どうして、ソフィアが二年生だって分かったんだ!?」

「だって、制服のリボンの色が水色だもん。三年生は赤だもん」


 ……本当だ。

 なるほど。ソフィアはエリーの一つ下だから、まだ膨らみが小さいのか。理解した。


「アンタ、この女の人とどういう関係なの!? というか、さっきからウチの身体を可哀そうな目で見てない!?」

「……気のせいだ」

「今の間は何よっ! ……お姉さん。何があったか知らないけど、この人は変態だから気を付けてっ!」


 ソフィアが自分から言い出した約束と、それに対する貸しの事を失念していそうなので、ちゃんと世の中のルールを教えてあげようと思った所で、


「ちょっと待った! そこの三年生。僕のソフィアに何の用だっ!」


 一人の男子生徒が走り寄って来た。

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