第21話 それが私の選んだ生き方
結局、私はここに残ることにした。
元より行く場所なんてないし、帰る場所もない。
彼も問題ないと言っていたし、これは私の選んだ結果だ。
そんなことをぼんやりと考えていたら、不意に声をかけられた。
声の主は、彼の傍にいた女の子。
改めて見てみると、どことなく私に似ている気がする。
でもどうしてそう思ったのだろう
雰囲気?仕草?
わからない。
「…ここにいることにしたんだね」
「えぇ、まぁ」
「…よかった」
「よかった?何が?」
「あのまま私たちがあなたを助けなかったら、あなたはあのまま死んじゃってたから」
「…まぁ、そうでしょうね」
「何で?」
「え?」
「何でそんなに、平然としていられるの?死んじゃうんだよ?」
「私が死んでも誰も悲しまないから」
「そんなこと…」
「ないわけないでしょ。私には何もないんだから。想ってくれる人も、心も。何もない」
「そんなこと、ない」
「…」
こうもきっぱりと自分の考え方を否定されると、無性に苛立つ。
何故初めて会ったような奴に私を否定されなければならないのか。
「は、何を言い出すかと思えば、下らない。同情してるのかしら?」
「私も、同じだから」
「何?」
「私も、あなたと同じ。私だって何にもない。空っぽだよ」
「でも、わからないじゃない。そんなの。この先生きていれば、いつかはきっと」
「それはありえないことね」
半ば遮るように、少しだけ怒気を込めて私は言い切った。
「…はぁ、あほらしい。もういいかしら」
「あなたは、それでいいの?」
「それが私の選んだ生き方なの」
「そう…」
そう言って女の子は口を閉ざした。
私はその場を立ち去ろうとしたが、最後に女の子が再び口を開いた。
「ねぇ、これからも、一緒にいていいかな?」
「好きにすれば?私も好きにするから」
「…うん。じゃあそうする」
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