第8話 研究区域 完

そこはどこまでも白い地下であった。これは僕とメープルが不思議と声を併せた結果となる。

「ここがけんきゅう?」メープルがそう問うと僕もはっきりとそう自覚した。


これまで見た建造物や機械などでは説明がつかないほどの物がそこにはあった。

メープルがこれは?と見る物全てを聞いてくるが、僕はその答えを知らないでいた。

ここは記憶のどこにもない場所。白色と見たことのない色をした草木と呼ばれるもの、それにイミテーターすらおらず清掃機械すらいない、この空間の異様さがどこか懐かしく、そして悲しかった。


「メープル。ちょっと調べたいことがあるんだ」僕は興味がわいた。この施設にメープルと手をつなぎ、手当たり次第に建物へと入る。

どこかで見た本に書かれた人による研究建造物と瓜二つの場所に僕はコウイチは心を躍らせるほかない


「こういちなにかたのしそう」

「ああ。楽しいここは知らないものばかりだ」人の所在を知り、どこか放心的になってはいたが、飢えを満たす。

そしてある真実へとたどり着いた。


2012年……隕石の落下により人類は新天地を求め旅経つ。神馬高こう書かれた一枚の円盤状の板。僕はこれを知っていた。

あの人が良くこれを機械の中に入れていた。コウイチはそれを真似るように薄い紙に向けられた機械へと入れた。


「これは君たち同志のために向けたものだ。イミテーターを作りし君たちに」薄い紙に映し出された人はそう答え動き始めた。


謝罪をしたいとイミテーターを作り出すのは君たちにしかできないことだが、同時に死を意味すると隕石が落ちた後、人類の半分以上は死に絶える。そもそも地球そのものが残っているのかも怪しい

それらを加味して君たちに残ってもらったことについて謝罪したい。君たちが人類がまたこの地に戻ってこれるように補修機械を作っていること、それを限りなく意味もなく人型に近づけて作っていることも

謝罪をしたいときっと私たちが戻るころにはきっといない。君たちもいないであろう。だが我が子たちのために我が子の子のために残ってくれたことに謝罪とお礼を言いたい。


「ありがとう」そう言って映像は止まった。

「なにこれ?しゃべってる」

ああと俺は答え、メープルを連れてその場を後にした。同時にイミテーターが置かれた現状も理解した。

この場所はきっと同志と呼ばれた人の住処で時間を示す機械が2012年のまま止まっていた。そして同時に2200年頃に帰還と書かれてもいた。


きっと調べればいろいろ出てくるだろう。だがこの2200年帰還という言葉で僕は何言えぬ喪失感に駆られてしまったからだ。

そうだあの人もいなくなった日も2200年だと機械ラジオが教えてくれていた。僕は1人ぼっとになったあの日だ。


「こういち」何かを察したのかメープルが抱き着いてくる。僕はそれを強く抱きしめ返した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

マシーンシティ 青白い魚 @himanan8620

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ