《 行動監視 》 2・3

               2


 安田警部補は、捜査本部の田辺警部に電話で、圏央道に乗ったことを報告した。

田辺警部は、大和北署の浅倉警部補と一緒に、覆面パトカーで、追いかけることを伝えた。



 坂口浩介のケーラは、圏央道から関越道を抜けて、北関東道にはいり、波志江スマートインターチェンジで降りて、赤城山の麓にある、赤城温泉のホテルにチェックインした。



 夕方の六時を過ぎていた。



 この行動の連絡を聞いて、田辺警部は少し不安を感じていた。あれだけの事件を起こしているであろう坂口浩介は、そんなにのんびりと、温泉のあるホテルに泊まるだろうか。それに、今日運転している車は、いつもサバゲーを楽しむ時に使用するジープだ。現に、チェスターは実家に置いてきている。しかも、銃の弾かもしれない物を、装填していた。

 何を考えているのか、正直解からなくなった。



 同日 午後八時二十分



 田辺警部は、先に到着した安田警部補達と合流した。近くの温泉宿に宿泊のお願いをしたのだが、お盆休みの連休、どこも満室だった。坂口が宿泊しているホテルが、時間外だけど温泉の入浴はいいですよ。と言ってくれた。代わる代わる入浴することにした。




               3


 八月十四日 午前八時


 三台の覆面パトカーは、国道353号線に出るまでの間で駐車ができるスペースで待機していた。


 田辺警部が乗っている覆面パトカーはホテルの協力のもと、敷地内で待機をしていた。


「坂口浩介が、チャックアウトして、エンジンをかけた。そろそろだ。」

 と、無線で田辺警部は、伝えた


 昨日のうちに、担当の仲居さんに、今日の予定を聞いてもらっていた。今日の坂口浩介の予定は、朝9時までに、赤城山の麓のサバイバルゲームが楽しめる、『エアー・シューティング赤城』で、定例会に参加するということだった。

 仲居さんの話だと、ものすごく紳士的な態度で、質問にも楽しそうに返してくれたということだった。

 これを聞いて、田辺警部は、ますます坂口浩介の言動が腑に落ちなくなった。交通ルールには厳しいのに、人としての接し方には問題を感じない。



 ちなみに

 定例会を調べてみたらこんな感じだった


 朝8時30分受付開始で、午前・午後の2回のゲームがあり、解散は午後4時30分。一人から参加が可能で、チームは、くじ引きで決まる。だから、友人同士で来ても対戦相手になることもある。

 というルールになっていた。



 『エアー・シューティング赤城』は、国道353号線から曲がるのだが、ここを利用する人以外が通ることのないような道路の先にあった。ただ、国道353号線からはいってすぐに、民間の施設があったため、許可を得て監視ポイントの一つとした。



 同日 午後四時四十五分



 坂口浩介が運転するケーラが出てきた。 ケーラは、国道353号線方向に向かい、国道を左折して渋川方面に出ていった。


 四ケ所にわかれて待機をしていた覆面パトカーは、一斉に同じ方向に向かった


 浅倉警部補が運転して、田辺警部が乗っている覆面パトカーが、集団のあとから尾行を開始した。


 坂口浩介が運転するケーラを含め、何台かの車が連なっているのが解かった。

坂口の車の前に一台、後ろに二台の計四台の車が連なっていた。その後ろに、浅倉警部補の覆面パトカー。一台はさんで、三台の覆面パトカーがつづいていた。



 同日 午後五時十五分



 しばらく国道353号線を渋川方向に連なって走っていたが、四台の車は国道沿いにある道の駅の日帰り温泉施設を楽しむために、駐車場にはいった。

 追っかけ、四台の覆面パトカーも駐車場にはいった。そして四台は、バラバラに駐車した


 四台で来た、坂口浩介を含めたメンバーは、合計6人だった。少し駐車場でおしゃべりをして、温泉施設に消えていった。


 新城巡査部長と佐賀巡査部長は、6人のあとを追い、入店するのを見定めた。

そして、入店したのを確認して、佐賀巡査部長は、田辺警部に電話で連絡をした。



 新城巡査部長は、車のナンバープレートを書き留めて、田辺警部に報告した。


 一、宇都宮 500 お 6458

            男性 2人

 二、長岡 300 し 7863

            男性 1人  女性 1人

 三、多摩 583 へ 1

            男性 1人



 田辺警部は、無線で各車両の尾行を、捜査員に指示した。


 一、宇都宮 500 お 6458

             酒田新平巡査部長・永井淳也巡査

 二、長岡 300 し 7863

             新城泰治巡査部長・佐賀洋子巡査部長

 三、多摩 583 へ 1

             安田大輔警部補・工藤博一巡査部長

 四、坂口浩介の尾行

             田辺潤警部・浅倉正和警部補



「各車両のナンバープレートからして、温泉施設から出たら、この駐車場で解散するだろう。そしたら、各自の担当車両を尾行してください。」



 そして、次の指示をした。


  一、帰宅途中のどこかに立ち寄った際には、その場で各人に質問をしてくださ    い。自宅まで立ち寄らなかった場合は、自宅でお話を聞いてください

  二、名前と住所、連絡先を聞いてください

  三、質問は2つ

    ① 坂口の一日の状況を知る

    ② 拳銃の改造について

  四、この質問は絶対に口外しないように確約をとること




 そして、話を聞き終わったら、一度帰宅して明日午前10時に捜査本部に集まるように指示をした。



 その後田辺警部は、捜査第一課課長の佐々木警視に現在までの状況の報告をした。そして、捜査第一課11係係長の下条警部と木島巡査に、坂口浩介のアパートを監視している、水月巡査と藤田巡査と一緒に、坂口の実家を監視するように捜査の協力を依頼した。



 田辺警部は、水月巡査に電話で連絡をした。これから実家に戻ると思われる、11係係長の下条警部と一緒に、向かってほしい。と、伝えた。



 同日 午後七時十五分



 6人が温泉施設から出てきた。


 各人、すっきりした顔つきで出てきた

 駐車場で、最後のおしゃべりをして




 同日 午後七時五十分

 

それぞれの車に乗って解散した



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