《 第五の射殺事件 》 8・9・10

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 八月十一日 午前八時三十分


 木島巡査は、栗原巡査と一緒に奥多摩町町役場に到着した



 窓口で、警察手帳を提示して、坂口浩介の住民票の請求を依頼した。


 少し時間がかかり、係の人はこう話をした

「坂口浩介さんの住民票はありません。除票されています。この住所には、ご両親が住んでいる住民票はあります。」


 木島巡査は、こう質問した

「それでは、転出先は判りますか?」

「いえ、転出先からの連絡がないみたいです。除票処理されても、転出先からの連絡がありますから記載はされるようになっています。」

「連絡がないので、記載がないということですか。」

「その通りです。」

「除票は、いつされていますか?」

「今年の、三月三十一日です。」

 と、係の人が、答えた。


 木島巡査は張り込みをしている、捜査第一課11係の係長である下条警部に報告をした


 下条警部は

「現在の住民票がどこにあるか、判らないということか。」

「そうです。」

「それでは、ご両親に会いに行くしかないね。」

「はい。」


 下条警部は、細心の注意をはらって、夜にご両親に会いに行くことを決めて、張り込みをつづけた。

 そのことは、田辺警部にも報告された




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 八月十一日 午前十時


 自動車ナンバー自動読取装置(以下:Nシステム)の解析作業がつづけられていた。犯行時間の午後四時三十六分から、逃げて行った方向にある、Nシステムの情報から、割り出そうとしているが。なかなか、見つけることができなかった。

 近くを走る、幹線道路には、上下線ともにNシステムが設置されている。その上下線ともに通った形跡がない。半径10㎞に拡大をして確認をしても該当する車両が通ったという形跡がなかった。


 この状況には、神奈川県警捜査第一課課長の佐々木警視も、昨日からの坂口の足跡が辿れないことに少し焦りを感じた。ただ、これだけ判らないということは、つきみ野付近に住んでいる可能性もあるという考えかたもある。


 佐々木警視は、捜査第一課11係係長の下条警部に次のように指示をした

「いますぐ、坂口浩介の実家に行って、現住所と近況の確認をしてきてください。」


 捜査第一課10係係長の田辺警部には

「いまここにいる捜査員を、つきみ野・中央林間・南林間・鶴間を当管内重点的に、探してください。」

 と、指示をした。




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 八月十一日 午前十一時


 坂口浩介の実家を張り込んでいた11係の係長下条警部から捜査本部に連絡がはいった


 下条警部は次のように報告してきた

「坂口浩介の現住所は、大和市渋谷九丁目10―11コープラス谷原103号室です。実家を出てから五ヶ月だそうです。それまでは、実家にいたそうです。仕事は、フリーでライターをやっているということです。主に、ミリタリー・サバイバルゲームをはじめ自衛隊に関する出版にも関わっていたということでした。実家の部屋には、それらの書籍が少し残っていました。」


 この報告を聞いた、佐々木警視は唖然とした。足跡が辿れないので、付近に住んでいる可能性を考えていたが、本当に大和市内に在住しているとは思っていなかった。





 これで、警察が動いていることが坂口本人に家族から、連絡が行くだろう。細心の注意をはらって、本人の行動確認を取らないとならないと感じた




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