《 コーポラス谷原 103号室 》 1・2
1
八月十一日 午後一時
神奈川県警捜査第一課10係係長の田辺警部は、いままで五件の事件を起こした犯人と思われる、坂口浩介の家の前を、歩いて通り過ぎた。
いままで捜査員が走り廻って探していた軽自動車を、この目で確認をしたかったのだ。
アパートの駐車場に、捜索対象の軽自動車があった
覆面パトカーがある場所に歩いて戻りながら、田辺警部は考えていた。今回坂口は、なぜナンバープレートを変えなかったのだろうか。ナンバープレートから身元が判ることは、これだけ準備をして犯行を行っていた坂口なら解かるはずだ。
でも、今回は変えずに犯行を行ったのか。以前に使ったナンバープレートでも問題はなかったと思うのだが。
何かがあったのだろうか。それとも、気を抜いてしまったのか。一週間という期日が焦らせたのか。
一緒に来ていた、10係の永井巡査と水月巡査に、アパートの張り込みを指示して大和北署に戻った。
2
八月十一日 午後三時
捜査本部がある、大和北署に戻った田辺警部は、捜査会議を招集した。
坂口浩介の実家に行っていた。捜査第一課11係の捜査員も戻ってきた。
神奈川県警捜査第一課課長の佐々木警視も参加した捜査会議がはじまった。
捜査第一課10係係長の田辺警部は
「皆が一丸となって、捜査を行ってくれた結果。事件を起こしたと思われる犯人、坂口浩介が浮上した。先ほど、坂口のアパートに行ってきた。犯行に使われたと思われる軽自動車が、駐車場に置いてあるのが確認された。」
と、報告した。
つづけて
「今後の捜査については、この捜査本部を縮小します。10係の捜査員と大和北署の刑事第一課の捜査員計十一人。そして鑑識班の四人の合計十五人を除いて、解散とします。ただし、各所轄の皆さんには、管轄で起きた事件の報告書の提出をお願いします。」
全員起立して、あいさつをした。
そして、労をねぎらうために、ノンアルコールで、コップ一杯を交わした。
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