《 第二回合同捜査会議 》 4・5
4
田辺警部は、この報告を聞いて、次の通り指示をした
「鑑識さんには、不明になっている軽自動車の車種の割り出しをお願いします。各所轄の捜査員の皆さんには、サバイバルゲームができるフィールドが、管内にあるかどうか。そして、モデルガンを売っているお店があるかどうかを、確認をしてください。」
「今日は、皆少し休んで、明日からの捜査にそなえてください。」
と、統括の田辺警部は、捜査会議を締めた。
5
田辺警部は安田警部補と、大和北署の近くにある、喫茶「山猫」に入店した。以前に利用したことがある、個室がある喫茶店であった。
田辺警部は、安田警部補にこう切り出した
「疑っている訳ではないんだが。立花警部補が言っていた、交通ルールだけで、人を 殺すかな。」
「そうですね。何が普通かよく解からない時代にはなってきているのは事実ですから、ありえない話ではないかと思いますが。」
「そっか。」
と、田辺警部は、納得してしまった。
安田警部補は
「そうであっても、人生かけてまで行う行為なのかどうかは、考えられませんが。」
田辺警部は
「そうだよ。人生かけてやっても、捕まれば刑務所に入るだけの行為だし。場合によっては、極刑だって考えられる。」
「そうですよね。」
「そうなんだよ。交通ルールは、守るべきだと常々感じているし、最低限の社会のルールなんだよ。」
「他にもなにか理由が、あるのでしょうか?」
「話にあった、サバイバルゲームが気になっていてね。よくある事件で、子猫などの小動物をボウガンで殺傷させて、それがエスカレートして、人まで殺すという事件はある。」
「そうですね。」
「それが、今回にも該当する可能性もあるだろうか。という話なんだが。」
「もしそうだったとしたら、サバイバルゲームだけでは飽き足らず、実弾が撃てるように改造をして、犯行に及んだということになりますね。」
「ただ、そんな簡単な理由ではない気がしているんだよ。」
「それは、どういう意味ですか?」
「もっと何かがあるのではないかと感じている。だからこの犯人は、他にも改造 をしている。」
「そうなんです。自動車の改造も行っています。」
「それなんだよ。単純にサバイバルゲームに飽きて、小動物を撃つことにも飽きて、起こした犯行とは思えないんだよ。そのレベルなら、自動車なんか改造しなくてもいいんだよ。モデルガンの改造だけで済む。でも、この犯人は、信念をもって改造をして、四件の犯行を実行した。そして、人生をかけて、ここ何か月もかけて過ごしてきただろうね。犯人の本当の気持ちを早く知りたいね。」
四件の事件が、四週に渡って起きたこの事件。マスコミ各社も、色々な角度から報道を重ねているが。警察発表以外に、新しい事実がつかめず、連日同じような放送を行っている。このままだと、マスコミも放送を控えるようになってしまう。注意喚起の意味では、マスコミに放送を続けて欲しいと、警察側も考えていた。ただ、目新しい物証がなく、マスコミに渡す素材がないのも事実だった
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