《 第二回合同捜査会議 》 1

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 八月五日 午後八時


 相模原中央署で起きた事件を受けて、第二回の合同捜査会議が、大和北署で開始された。

 相模原中央署刑事第一課も召集された。


 参加したのは、神奈川県警捜査第一課二十一人・同鑑識課二人。各署鑑識班八人。箱根署刑事課五人・瀬谷北署刑事課五人・大和北署刑事第一課五人・相模原中央署刑事第一課五人・同鑑識班二人。その他十人。捜査第一課課長佐々木警視を含め、六十四人の捜査会議となった。

 統括は、神奈川県警捜査第一課10係係長の田辺警部が、引き続き行った。


 田辺警部は、次の通り唇を、切った

「この事件の動機が、はっきりしていない。そして、犯行現場にも犯人につながる痕跡は皆無と言っていい、銃弾だけが現場に残されているという難しい事件となっている。ただ、相模原で起きた事件が、夜だったということもあって、犯行の方法が少しだけわかった。」

 つづけて

「相模原で起きた事件の詳細を、あらためて報告してください。」

 と、捜査一課第13係係長の矢島警部に、もとめた。


 矢島警部は、次の通り報告した

「アルバイト帰りの高校生、片桐かえでさん(十六歳)が、帰宅途中に撃たれる事件についてですが。片道一車線の左側の車道を、自転車で走行中に、横から通り過ぎた自動車から放たれた銃弾に倒れました。その時、目撃者の西島さんの話によると、自動車を包み込むような閃光が走ったということでした。

母親の公子さんの話ですと。片桐さんは、いつも自転車で行動をしていて、学校にもアルバイト先にも自転車に乗って行動しているという事です。当日は、夏休みとあって、正午からアルバイトをはじめ、午後七時に終了して、アルバイト仲間とおしゃべりをして、午後七時四十分にアルバイト先を出て、事件に巻き込まれました。」


つづいて、いままで起きた、三件の事件と相模原の事件について、本部鑑識課課長の山辺警部に聞いた


 山辺警部はこう報告した


 一、犯行に使われた銃弾の線条痕から、すべて同じもの

 二、銃弾には指紋などの遺留物は残っていない

 三、現場に薬きょうが落ちていない

   リボルバータイプの可能性が高い

 四、犯行現場から回収した防犯カメラ映像から特定した自動車は

   黒色の軽自動車

 五、ナンバープレートは、軽自動車用ナンバーではなく、不正に入手したと思わ   れるナンバープレートを使用

 六、四件の犯行において、ナンバープレートはすべて違っていた

   一件目 多摩500 お 1523

   二件目 八王子501 し 633

   三件目 品川500 し 8574

   四件目 川崎500 ん 5365

 七、犯行に使われた自動車のメーカーエンブレム等の固有のロゴマークは、外さ   れている

 八、防犯カメラ映像の角度から、犯人の顔が明確にわかる映像はなかった


 という、報告だった。



 報告を受けた田辺警部は、このように質問をした

「ナンバープレートは、どのように判断したのですか?」

「四件の犯行現場で回収された防犯カメラの映像を確認しました。四件の犯行時間付近で、同じような形をした自動車を発見しました。そして、その自動車に共通するのが、メーカーエンブレムと固有のロゴマークがない、黒色の軽自動車でした。」

 と、山辺警部は、報告をした。


 この報告を受けて田辺警部は、次の質問をした

「そこまで判っていて犯行で使われた車両の特定は、できていないということですか?」

「はい、その通りです。黒色の軽自動車だということだけは、わかりました。ただ、先程も報告しました通り、メーカーエンブレムと固有のロゴマークが外されておりました。現代の車は、自動車メーカー間でOEM供給されている車種が多く、エンブレムを外されると、正確な判断がしづらくなっています。もう少し、判断をするための、時間をいただきたいと思っています。」

 と、山辺警部は、言った。

「解かりました。確実な情報をお願いします。」

 と、田辺警部は、言った。



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