第9 GAME・・・告白!告白!告白!・・・まさかの告白!?・・・って一体どの告白!?
雪康「そろそろ俺たちのレベルもMAXに近くなって来たよな!」
宗太「そうだな!皆よくここ迄頑張ったと思うよ!」
百合「私や風華ちゃんも最初は雪康君と似た様な感じで初心者だったもんね!でも、まさか十霞がベテランプレーヤーだとは思いもよらなかったけど・・・」
十霞「まぁね!結構この手のゲームは好きだったし!」
百合「そう言う風華ちゃんと十霞は愛のゲームの真っ最中なり・・・」
風華「変な事言わないでよ!!誰がラブラブゲームよ!」
十霞「風華姉・・・それ言ってないよ?」
一葉「流石にそろそろラスボスを倒しに行く事も考えて良さそうな気がしますね。」
涼子「そうね・・・恐らく現実世界での時間も結構経ってしまっているだろうし、この辺で戻る事も視野に入れておいた方が良いわね!」
雪康「後、どれ位先なんだ?」
一葉「本来だと後2ステージ先なのですが、先日の様にあるものが消えていたり無いと思っていたはずのものが存在していたりと色々と操作されてしまっているみたいなので実際の所不透明な状況です・・・」
理央「一先ずこのまま進んで行ってラスボスに備えましょう!」
理奈「これだけ仲間が揃ってレベルも高くなったら無敵じゃないのかな?」
一葉「実際のゲームでは無敵に近いでしょうね・・・ここにはベテランプレーヤーと言っても「伝説の」と付くプレーヤー、それに一応システム的に私もいますし、雪康君たちの様に成長が早いプレーヤーもいますから・・・ただ、現状を考えるとそれでも人が足りていない可能性もあり得ますね。」
涼子「やはり、気を抜いてしまうのは致命的な結果を生むかもしれないわね・・・」
雪康「まぁ、こうやって話だけしていても進まないしそろそろ次のステージへ出発するとするか!!」
宗太「そうだな!俺たちもいい加減現実世界に戻りたくなって来たし。」
一同、フィールドへ!!
理央「通常だったらこのまま先に数キロ程進めば次の街が出て来るはずなのだけれど・・・」
一葉「ありました!どうやらここ迄は正常の様です。」
宗太「待て!敵がいるぞ!!」
涼子「いいえ、あれは敵と言うより、他のプレーヤー?」
雪康「少し様子を見てみるとするか?」
おかしい・・・動かないぞ?一体どう言う事だ!?
しかも周りに敵がいない、それなのに全く動きが無い・・・
理央「消えた?・・・魔法を使った感じも無かったのに、どうして?」
一葉「幻影かもしれません。少し前にあの場所で同じ様に同じ人たちがいて魔法で移動などをした可能性があります。」
涼子「だとすればその人たちは私たちと同じこの世界へ閉じ込められた人たちって事?」
一葉「人間だとすれば間違いありません。ただ、ひょっとするとプログラムによる何かかも・・・」
理奈「何だか心霊現象みたいで気持ち悪いね・・・」
宗太「実は・・・つい数時間前に・・・」
ゴツンッ!!
宗太「いってぇ!!何だよ!?冗談だって!殴る事は無いだろ?」
雪康「ここは女性陣が多いパーティーだ、少しは空気を読め!」
宗太「チェッ!!ちょっとしたジョークなのにさ・・・」
一葉「いいえ、理奈さんと宗太君の言っている事はむしろ正しいかもしれません!」
涼子「それってどう言う事?」
一葉「理央さん?このゲーム、ホラーイベントってありますよね!覚えていらっしゃいますか?」
理央「確かに1度だけあったよね・・・あまり受けなくて直ぐに終了させちゃったと言う・・・」
一葉「もしかするとあの時のプログラムを誰かが持って来た可能性が・・・」
理央「でも、どうして今更?」
一葉「先日の一件の犯人かもしれません・・・このゲームは女性プレーヤーが多いですし、驚かせたり怖がらせて楽しんでいる可能性があり得ます・・・あくまで私の推測でしかありませんけれど・・・」
雪康「愉快犯と言う訳か!?・・・それにしてもくだらん悪趣味だな・・・」
ふふふ・・・怖い?・・・いっぱい怖がらせてあ・げ・る♡
それでパニックになって滅茶苦茶になってしまえば良いのよ!!
一葉「結局次の街迄敵が現れなかったですね・・・」
涼子「そうね・・・でもこの街ってこんな感じだった?もっとこう、活気があって如何にもラスト手前のってイメージだったけれど・・・」
理央「おかしいです・・・明らかに誰もいないですし・・・まさか、さっきの幻影の様な状態に関連しているのかもしれません!!」
百合「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」
雪康「大丈夫か!?・・・どうした!?・・・」
百合「あの宿屋の2階の窓にゾンビの様な顔をした生き物が見えたの・・・」
雪康「えっ!?・・・宿屋の2階って・・・あそこだろ?・・・何も見えないぞ?」
涼子「まるでホラー映画の世界にでも入り込んだみたいね・・・辺りも薄暗くなって来たし・・・」
風華「きゃっ!!!!!!」
十霞「風華姉!!どうしたの!?」
風華「今、首筋に何か冷たいものが触れた気が・・・」
十霞「大丈夫!何も付いていないよ!これも今話していた影響かもしれないね!」
雪康「タチが悪いな!普通の敵なら直ぐに斬り付けて倒せるのに、姿が明確じゃないから下手に倒す事も出来やしない!」
ヒュ~~~~~~・・・ヒュ~~~~~~~
宗太「今度は何だ!?変な薄気味悪い風の音の様なものが耳に入って来るが・・・」
「あなたたち?元気かしら?・・・ホラーの街へようこそ♪」
雪康「お前は!・・・この間の!?」
「あら?覚えてくれていたの?可愛い坊や♪確か名前は・・・冬康君だったかしら?」
雪康「随分と物覚えが悪いおばさんの様だな!俺は工藤 雪康だ!」
「そうそう!雪康君ね!こんにちは♪でもね?私はおばさんなんかじゃないわよ!?レディーに対しての振る舞いが成っていないわね?」
雪康「己の正体を隠して姑息な真似をする様なおばさんに対してレディー扱いする言われは無いけどな!」
「あら?気付いてくれていたんじゃなかったの?あれだけ大ヒントを理央にあげたのに♪まさか気付かないって訳無いわよね?」
理央「もう・・・止めて?・・・そんな事をして何が楽しいの?皆を巻き添えにして何が嬉しいのよ!?・・・」
「楽しく無いわよね!?・・・私もそうだったの♪だからあの時大反対した・・・でもあの人は押し通してしまった・・・私たちの大切な絆を壊そうとして迄・・・だからこのゲーム自体壊してやるのよ!そして、あの人に後悔させてやるわ!!だから理央!あなたも・・・」
理央「嫌よ!あの時、確かに私も嫌だった・・・でもお父さんは家族の事を考えて無理にでも立ち上げた・・・」
「家族の為?なのに家庭崩壊にしたのはあの人なのよ!?それなのにどうして?・・・どうしてあの人の肩を持つの!?」
理央「肩を持つ、持たないと言う話じゃないわ!私が言いたいのは、私たち家族間の問題を人様に迷惑を掛けて迄あなたの我儘を押し通して迄無茶苦茶にしているのを攻めているの!・・・・・・お母さん!!」
「理央・・・私はあの時から狂ってしまったの・・・あの人が・・・あなたのお父さんであるあの男が・・・今の会社を立ち上げると言い出して、最初は凄い、あれだけゲームが大好きで頑張って来たのだからきっと成功するのでしょうと・・・でも・・・成功はしたけれど、私たちの家庭は崩壊して行った・・・あの人も仕事漬け、理央もまだ今より小さかった・・・私は毎日途方に暮れていた・・・それでも理央がいるから、理央を育てて行かなければならない・・・だから私は我慢した・・・けれど、あなたは・・・あなたは・・・」
理央「お母さん・・・」
雪康「なぁ、おばさん?俺はまだ働きに出ていない身だけど、両親には感謝している。俺をここ迄育ててくれて、大切に想ってくれている。だから俺も将来は両親の様に子供をしっかりと見届けてやれる家庭を築いて行きたいって思ってる。ここにいる娘である理央さんもきっと俺と同じ考えじゃないのかな?きっとおじさんは、家族を養わなければならないから自らを犠牲にして迄も家族を支えようとしてくれていたんだろうと俺は思うんだ!」
「五月蠅いわね!・・・ガキの癖に偉そうに!他所の家庭の話に入って来るんじゃないわよっ!!!!!」
ドゴッ!!!グサッ!!!
雪康「あれ!?・・・俺、今・・・刺された?・・・」
ガクンッ・・・・・
理央「雪康君?・・・雪康く~ん!!!!!!!!!!!!」
涼子「雪康!?・・・しっかりしなさい!!!雪康?雪康!!!」
一葉「ダメです!普通では死なないはずですが、これはひょっとすると・・・」
「どうかしら?人の邪魔をするとこうなるの♪知った口を利くけれど、何も分かっていないわ?私がどれ程苦しんで悲しんで来たのかを!?」
一葉「お母さん?今の雪康君の状態はどうなっているのですか?詳しく教えて下さい!」
「あら?一葉さん?久しぶりね?・・・って言っても実際にこうして間近で話をするのは初めてだったわよね?まぁ、昏睡状態と言った所かしら?・・・あぁ!このゲームで「死」は無いと思い込んでいるみたいだけれど、私が少しいじっているからデスゲームと言うものは存在するのよ?今この子には眠ってもらっているけれど、このまま目を覚まさなければこの子は死ぬわよ?」
理央「許さない・・・絶対に・・・あなたを・・・許さないっ!!!!!!」
「あら?お母さんに対してその態度は何?あなたもこの子と同じ様にしてあげましょうか?」
理央「いいわ!・・・でも先にあなたを倒してからにしてもらうわ!!」
「やはり、この子の事が好きなのね?・・・まぁ、生意気だけれど結構しっかりとした感じよね?・・・でもあなたにはもっと相応しい人がいると思うのだけれど?・・・まだまだ若いんだし良い人を見付けなさいな?」
「余計な・・・お世話よ!!・・・雪康以上に好きになれる人なんてもういない・・・いないんだからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ガッキーン!!ジャキッ!!ガキンッ!!!ガチンッ!!!!!
「あらあら?伝説のプレーヤーだったんじゃなかったの?乱れているわよ?その剣裁き?」
「五月蠅い!!五月蠅い五月蠅い五月蠅いぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!」
ガチーンッ!!!ビキンッ!!!カチャッ!!!チャキッ!!!!
「理央?・・・珍しいわね?かなりの取り乱し様♪そんな動きじゃ私は倒せないわよ♪ほら、こうしてぇぇぇぇぇ!!!!!!」
ジャキーーーーーーン!!!!!!!!!!!!
カチャンッ・・・・・
「ほら、どう?・・・これであなたの負けよ?・・・どうする?このまま私に殺される?今の私はもう家族なんてどうでも良いのよ?あなたなんて直ぐにでも殺せるわよ?」
涼子「それは出来ない!」
「あら?又私の邪魔をする気かしら?」
涼子「あなたは自分自身に嘘を付いている。」
「?・・・何を訳の分からない事を!私は誰を殺そうとも何とも思いもしないわ!?」
涼子「いいえ・・・こんなに素敵な娘さん、そして家庭を守ろうとしている優しいパートナーの方を抱えているのにあなたが悪い人だなんて誰も思わない!」
「私を説得でもするつもりかしら?あまり大口叩くと本気で殺すわよ?」
涼子「今倒されたこの子は、本当は家の子供じゃないんです。」
理央「えっ!?・・・今・・・何て?・・・」
涼子「この子・・・雪康は、私がまだ小学生の頃、近所の公園に捨てられていたのを両親が拾って来たんです。」
「それが何の関わりがあると言うの!?」
涼子「それでも私たち家族は雪康を本当の家族同然に育てて来たんです。私もシスコンだって言われる程大切にして来ました。」
「だからそれと家の家庭の話とは全く無縁だと言ってるでしょう!?いい加減にしないと・・・」
涼子「家族の絆ってモロイのですか?・・・私には分からない・・・」
「えっ!?・・・」
涼子「大好きな人と結婚して大好きな人との間に大好きな子供が生まれて、幸せに暮らしていた・・・でもある事が切っ掛けでその大好きな人を恨む様になってしまった・・・それってモロイですよね?」
「何!?・・・私に何が言いたい訳!?」
涼子「私は雪康の事が大好きです!・・・勿論家族としてです!・・・ついこの間も「最低」だって言われちゃいました・・・喧嘩もした事があります。でもその時でも私はこの子の事を・・・雪康を大好きでした・・・ずっと前から今迄大嫌いだって口にした事はあっても本気でこの子の事を大嫌いなんて一度も思った事なんてありません・・・あなたもそうですよね?・・・そうだと・・・そうだと信じさせて欲しい・・・」
「分かっていたわよ・・・最初から、私たちの為にあの様な行動を起こしたのだと・・・でもあの人は分かってくれなかった・・・ただひたすら家族の為だって言い張って・・・下手すれば犯罪者で捕まる一歩手前だった・・・私は何度もこの様に言ったわ!」
「あなた、お願いよ!家族の為だと言う気持ちは凄く嬉しい、あり難い事・・・でもそれで捕まってあなたが犯罪者になってしまっては元も子も無い・・・むしろ私たちは苦しいだけなの・・・だからお願い・・・小さいままで良いから無理はしないで・・・」
「するとあの人は・・・」
「五月蠅いっ!!お前たちの為にやっている事を!!邪魔をするなら出て行け!!」
「酷い時は、私に手を上げて来た事もあったわ!?理央にも・・・でも理央だけは傷付けないでとお願いして理央をかばう形で私は何度もあの人にお願いした・・・」
理央「お母さん・・・」
「これで分かったでしょ!?あんな人間が作り出したゲーム、会社・・・皆潰してやりたい・・・私はもうあの人には未練も無いわ!」
理央「でも・・・今のお母さんはお父さんと同じだね?」
「り・・・・・お?・・・・」
理央「結局私たちを苦しめたお父さん、一方でここにいる現実世界からこのゲームが好きで楽しみにして今日もログインしてプレイしようとしていたけれど、出られなくなって苦しんで元の世界へ戻れない状態になって・・・」
「それのどこがあの人のやって来た事と同じだと言うの!?」
理央「どちらも人を苦しめているでしょ?・・・結局お父さんもお母さんも良かれと思ってやっている事だったのだろうけれど、結果は皆を犠牲にして苦しめていた・・・」
「そんな事・・・」
理央「同じでしょ?・・・雪康君も・・・はっきりと言うわ!皆の前だし!・・・私はここに倒れている、今しがたここにいる私のお母さんであるこの人から一瞬で倒されてしまったこの雪康君を愛しています!・・・でも昏睡状態で彼はひょっとすると本当に死んでしまうかもしれません・・・でも私はこの人が大好きです。私は苦しんでいます。雪康君は私にも皆に対しても優しく、そして勇敢に戦い、真っ直ぐだった・・・そんな彼を一瞬にして死に至らしめようとしています。私は辛いです・・・それを行ったのが私の身内で母親だと言う事実に・・・強いショックを受けました。」
「やめ・・・て?・・・そんな悲しそうな表情しないで?・・・お願いよ!?理央?理央?いつも私の前では笑顔でいてくれたでしょ?・・・だから笑って?・・・お願いよ!理央ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!」
バァァァァァァァァァァァン!!!!ガキーーーーーーーーーーーン!!!!!!
一葉「皆さん逃げて下さい!何か分かりませんがここに居ては危険です!直ぐに・・・」
涼子「一先ず何とか逃げて来られたけれど、大分精神的なショックが大きかった様ね・・・」
一葉「えぇ!依然雪康君の容体は回復しませんが・・・」
風華「雪康君、大丈夫かな?・・・本当に死んじゃったら私・・・」
十霞「大丈夫だよ!雪康さんは強い男だから!今は雪康さんが目を覚ますのを待ち続けるしか・・・」
一葉「やはり涼子さんの察した通りの様でしたね・・・」
理央「はい・・・お母さんは誰かを殺す事は出来ない!」
涼子「だとすると、雪康は・・・ひょっとすると眠らされているだけなのかもしれない・・・」
一葉「やはりいくらプログラムを操作しているとは言え、最初の理屈は理に叶っていたのかもしれません・・・」
涼子「体と精神が離れているから?」
一葉「はい!精神的に死に追いやるとすると自ら自殺させたり、生活に支障を来す程のショックを与えるかのどちらかでしょうし。さっきの攻撃は恐らく一時的に眠らせる手段だったのかもしれません・・・」
理央「でも、どうすれば・・・あの状態でお母さんの精神状態も更に悪化してしまった様な気がします・・・」
涼子「本当はとても強いお母さんの様ね・・・優しくて温和で・・・ずっと耐え続けていて、ノイローゼになっちゃったのかもしれない・・・」
理央「はい!本当にその通りでした・・・とても優しくて何でも笑顔で応えてくれる様なお母さんで・・・」
涼子「娘さんが象徴しているわよね!」
一葉「社長も凄くお優しい方ですが・・・先程のお話を聞く限りでは・・・」
理央「私も記憶がまだ無い頃の話だと思います・・・私の記憶が鮮明になってからのお父さんはとても優しくて温和でしたから・・・」
涼子「その前も同じ様な感じだった様に見受けられるわね・・・ただ必死さあまりにさっきの様な感じになってしまったのだろうなと・・・だからこの先は私に少し手があるから皆も協力して欲しいのだけれど・・・」
雪康「ん・・・あれ?・・・ここは?・・・」
涼子「目が覚めたみたいね?どう?目覚めの気分は?」
ガバッ♡
理央「雪康君!!良かったぁ~!!!」
雪康「ちょっ!!理央?・・・どうした!?急に抱きついて来て・・・!?」
涼子「あなた、理央ちゃんのお母さんに一瞬で眠らされちゃってたのよ?覚えていないでしょうけれど・・・」
雪康「あっ!?・・・あの時か!?・・・確か俺がおばさんに話をして、偉そうな事言って・・・とか言われてその後の記憶が・・・無い!!」
宗太「いやぁ!あの時の理央ちゃんの勇敢さと言ったら無かったよな!」
百合「えぇ!それはそれはもう・・・凄かったんですからぁ♡」
風華「あんたたちがそれを言うと変に聴こえるから止めましょ?」
十霞「いや、俺にもあんな勇気が欲しいです!」
理央「皆?・・・それって私がお母さんに抗議していた事を言ってる?・・・よね?」
雪康「あぁ!お母さんに対してもしっかりと抗議出来たんだな!流石理央だ!」
涼子「このトウヘンボク!!」
雪康「えっ!?・・・何で!?俺、何か変な事言ってる?」
一葉「理央さん?仕方無いので先程の件、次はご本人の起きている、はっきりと自覚出来る状況の時に仰って下さい!!」
理央「もう・・・・バカ・・・・」
涼子「と言う訳で仕切り直して!皆が集まったので今後の動きについて話し合って行きましょう?」
一葉「雪康君以外の全員はあの人の遡上や性格的な事をある程度把握出来ているだろうと思いますのでどの様に対処すべきかを考えて行きます!」
雪康「あの・・・俺はどうすれば?」
涼子「あの敵は理央ちゃんのお母さんだって所迄は知っていると思うけれど、まぁ、人も殺さない感じの人だからその辺りは安心しても良いと言う所よ?でも・・・少しばかりノイローゼが激しい感じがするの・・・だから何をして来ても不思議じゃないから念には念を!よ?」
雪康「なるほど!分かった!」
涼子「では、話を続けるわね?・・・最後に敵が精神的に不安定になって周囲を破壊してしまった為私たちは逃げて来たけれど、あの様子を伺っていると、やはり理央ちゃんの事を大切に想っている様な気がするわ!」
宗太「確かに理央ちゃんが笑顔じゃないからって言ってた様な・・・」
理奈「おばさまも確かに昔から優しくて私も会った時は凄く丁寧に対応してくれたし、良い人だなってずっと思っていたけれど・・・」
雪康「涼子姉の精神攻撃でも喰らわしてやるか?」
涼子「無粋な言い方止めなさいよ!私が悪者みたいじゃない!」
雪康「いや、結構効くからな!涼子姉は分かってるからな!」
涼子「もう・・・」
理央「あの・・・涼子お姉さん?・・・さっき言ってた話・・・雪康君は知っているんですか?」
涼子「えっ!?・・・あぁ・・・勿論よ?」
雪康「えっ!?・・・俺が何?・・・何の事?」
涼子「あなたが拾われ子だって話!」
雪康「あぁ!その事か!?・・・って皆に言ったのか!?」
涼子「成り行きになって悪かったけれど、家族の絆の強さについて理央ちゃんのお母さんに伝えたかったから・・・ごめんなさい・・・」
雪康「いや・・・それなら仕方無いか・・・別に謝る事は無いよ!事実だし!・・・それに俺は工藤家に拾われて幸せだと思ってる!」
理央「雪康君・・・ダメ・・・もう私我慢出来ない!!」
雪康「えっ!?・・・どうしたんだ?大丈夫か?理央?・・・」
理央「もう一度言います!さっきは雪康君が眠っちゃってたから聴こえていないだろうし・・・」
涼子「えっ!?・・・今!?・・・」
理央「わっ・・・私・・・楠 理央は・・・工藤・・・工藤 雪康君の事が、だっ・・・だっ・・・大好きです!」
雪康「理央・・・あぁ!俺も大好きだぞ?ここにいる皆俺の家族と同じ、大好きだ!!」
理央「へっ!?・・・・」
涼子「理央ちゃん?本当にごめんね?・・・根っからのニブチンなのよこの子・・・」
雪康「えっ!?・・・俺が?・・・何?・・・変な事言った?」
風華「ダメだこりゃ・・・」
百合「まさかここ迄酷かったとは・・・」
十霞「流石に俺でも理解出来るレベルだと・・・」
一葉「これは・・・お手上げですね?・・・」
雪康「ちょっと待て!?・・・俺が変な奴扱い?・・・どう言う事なんだよ!?教えてくれよ!?」
理央「知らないっ!」
涼子「さぁ・・・少しリラックス出来た所で作戦を立てたいのだけれど・・・」
一葉「メリハリがあって・・・流石涼子さん・・・」
涼子「一先ず弱点は理央ちゃんだと判明した事・・・そして恐らくあの人は精神的に滅入っちゃっているからこの様な事をしてしまった・・・自身で悪い事をしたと反省はあるみたいな風に私は捉えられたけれど・・・この後、説得次第でどうにかなるならそれが一番だけれど、それを素直に聞き入れてくれるとも思い難い所だとさっきの話し合いで分かったわ・・・」
理央「ですが、私たちのお家事情によって他の皆さんが巻き添えになってしまうと言うのは私は、やはり許せないです・・・・」
一葉「ですが、お母さまもきっとお疲れなのでしょうね・・・ノイローゼを起こしてしまう程追い詰めていらしたと言うのも事実ですし、唯一の救いは殺したり本気で死に至らしめるつもりは無いと言う所ですね。」
雪康「ラスボスが実在している人間相手になると言う事だとすれば、出来る限り穏便に事を運ぶ必要があるよな?」
宗太「そうだよな!ましてや同級生の母親となればなるべく戦いには持って行きたく無いし・・・」
理央「二人とも・・・ありがとう・・・こんな状況に陥らせた張本人なのに・・・」
理奈「それはそうと、ラスボスがゲームのラスボスじゃないとして、ゲームの中のラスボスはどうなるの?」
百合「ゲームのラスボスを倒してからあの人に交渉するの?」
風華「それか、先にあの人に交渉して解決すればゲーム内から出られるって事なのかな?」
十霞「じゃぁ、先にあの人と接触しなくちゃいけないって事だよね?」
涼子「そうね・・・皆が言う事が手っ取り早い解決策だと思うわ!ゲームのラスボスを倒したとしても結局はその後に又、交渉しなければいけない・・・ただ、彼女がどうやってこっちへ接触して来るのか、いつ来るのか分からない限りこちら側から彼女に接触する手段は無い・・・」
雪康「だったらさ、レベルMAXにさせる意味でも先にゲームのラスボスを倒して時間稼ぎでもするか?」
涼子「まぁ、ここでこうして話合いをしていた所で時間だけが過ぎて行くわね・・・雪康の言う通り皆レベルを最大値へ上げておく事で万が一、戦う事になったとしたら色々と有利にもなるかもしれないわね!」
理央「では、お母さんが現れる迄今迄通り、このゲームのクリアを目指しつつレベルも上げて行きましょうか!」
オーーーーーーーー!!!!!!
こうして、俺たちは今迄の目的通り、レベルを全員MAX150に上げる事に専念しながらゲーム最終ステージのラスボスを倒す事を優先した!
理央のお母さんはどの様にして現れるのか、いつ現れるのか推測が付かない為、相手が俺たちの前へ姿を見せる迄様子を伺う事となった。
理央の家庭でも色々と大変な事があったんだな・・・
何とか丸く解決出来る説得が出来れば良いのだが・・・
出来る事なら戦いへは持って行きたく無いが、万が一理央の母親と戦わなければならなくなった場合・・・まぁ、ゲームだから特に問題は無いだろうが、それでも・・・
何故か俺はこの時ずっと理央の事が頭から離れなかった・・・理央の母親の事を考えていたからなのか?・・・でも、理央が辛いのでは無いか?苦しんでいるのでは無いだろうか?
色々と理央の心境について考えていた・・・
理央「どうしたの?こんな夜に屋上で?」
雪康「なぁ、理央?家族ってやっぱ大切だよな?」
理央「うん・・・家族は・・・大切だよ?」
雪康「確か涼子姉から俺は工藤家の子じゃないって聞いたと思うんだけど・・・」
理央「うん・・・聞いたよ!」
雪康「俺は生まれて直ぐの頃、公園に捨てられていたらしいんだ・・・それを工藤家の、今の俺の両親に拾ってもらったんだ・・・涼子姉にも可愛がってもらって大切に育ててくれて今の俺がいるんだ・・・」
理央「うん・・・」
雪康「俺は本当はよそ者だけど、それでも両親と涼子姉は俺を本当の家族みたいに育ててくれている。怒られる事もあったし喧嘩した事もあった・・・でもやっぱり他の家族を見ていても俺たちと同じ様な感じに見えるんだ・・・だから、俺は家族は大切だと思う・・・でも・・・」
理央「でも?・・・捨てた親御さんの事?」
雪康「流石理央だな・・・あぁ!・・・捨てた親は確かに酷いし許せないかもしれない・・・でも、俺を生んでくれた事は感謝しているんだ・・・捨てるくらいだから生まない手段も取れただろうし、赤子だった俺だったら殺されていても不思議じゃないなと思うとあの時、公園に捨てたのは何か凄く深い理由があったのだろうと・・・」
理央「やっぱり、雪康君は優しいんだね!」
雪康「そうかな?・・・俺ってそう言う考え方で今迄生きて来たからこれが優しさなのかどうなのかってよく分からないんだよな・・・」
理央「ねぇ、雪康君?目を閉じて、リラックスしてみてくれない?」
雪康「えっ!?・・・どうして?・・・」
理央「雪康君って、深い話をする時、凄く肩に力が入ってしまうんだよ?癖なのかな?」
雪康「えっ!?・・・それは知らなかったぞ!?・・・分かった・・・少し緊張をほぐす・・・目を閉じれば良いのか?」
理央「えぇ!そのまましっかりと目を閉じて3つ心の中で数えてみて?凄くスッキリ出来るおまじないだから!」
雪康「あぁ・・・こうか!?・・・」
3・・・2・・・1・・・
チュッ♡
雪康「チュッ?・・・って今、唇に凄く柔らかい感触が?・・・おっ!?・・・おいっ!?理央?????」
理央「ふふふ♡・・・これは、お礼ね?」
雪康「お礼?・・・どう言う事だ!?・・・ってリラックスどころか緊張して来たじゃないか!!」
理央「ははは♪さぁて?どう言う意味でのお礼なのか、それはナイショ♡」
何だ!?・・・急に理央がキスをして来た!?・・・どう言う事だよ!?全く分からん!!と言うより凄く柔らかくて・・・良い匂いがして来て・・・理央ってあんなに良い匂いがするんだ・・・女の子特有の良い匂い・・・
宗太「お~い!雪康?どうした?惚けた顔してさ?何かあったのか?」
雪康「なぁ、宗太?不意打ちでキスする女の子って相手に対してどう言う感情がある時だと思う?」
宗太「はぁ?急に乙女チックな質問して来てどうしたんだよ!?キスを不意打ちで?・・・お前まさかっ!?・・・」
雪康「いっ!?・・・いや、そう言う本を前に読んだ事があってだな・・・それを思い出したらやたらと気になってしまって・・・」
十霞「まぁ、好きでも無い相手にキスなんて大胆な行動起こしませんよ!?・・・その子はきっと相手の男子の事を大好きなんですよ!?・・・勿論、雪康さんが思っている様な家族や身内だからと言う好きではありません!恋心です!それに限ります!!」
宗太「と言う事だ!?十霞の言う通りだと俺も思うぞ?特にお前の場合、トウヘンボクだからな!結構重大な乙女の告白すらスルーしてしまう恐れが大いにあるからな!」
雪康「2人共?・・・どうしてそんな念入りに言って来るんだ?俺が何かとんでもないヘマしたみたいじゃないか!?」
宗太「そう言う事言ってっからトウヘンボクだって言われるんだぞ?」
雪康「もう、何なんだよ!?皆揃って・・・トウヘンボクって・・・」
涼子「どうだった?」
理央「はい!バッチリだと思います!・・・多分・・・」
涼子「では、現時刻より「女子チーム主催:理央ちゃんの雪康を堕とす作戦!」を決行する!助手の一葉君!何かあなたからのアドバイスは?」
一葉「はい!私も中学校の頃に、お2人と同じ様な事がありましたが、あの手のトウヘンボクさんには直接的な誘惑じゃないと効果がありません!」
百合「えっ!?・・・一体何の作戦なんですか!?私初めて聞きましたよ?」
風華「私も・・・初めて聞いた!」
涼子「理央ちゃんの健気で一途な想いをあのトウヘンボクでお馴染みの工藤 雪康に目を向けさせる作戦!そして、目標は、このゲームから実世界へ戻る迄にカップリングが成立している状態になる事!!・・・どう?2人も協力してくれない?」
百合「それ、面白そうですね!是非私も参加させて下さい!!」
風華「まぁ・・・百合も参加するなら私も・・・前々から雪康君のあの反応を見ていたら色々とイライラする所があったし・・・」
一葉「やっ・・・やっぱり、風華ちゃんはその様に思っていたんですね?・・・ははは・・・はぁ・・・」
涼子「まぁ、折角こんな状況にある私たちな訳だし、ただラスボスを倒して彼女を説得して終わるって言うのも面白く無いでしょ?こう言う機会があるのだからいっその事、ハッピーエンドになる様にしましょう?」
百合「流石お姉さま・・・」
一葉「流石お姉さま・・・」
涼子「そこ!?・・・被ってるわよ?」
風華「変な所で一心同体ね?」
百合「「一心同体」!!?・・・何て素敵な言葉!?・・・一葉お姉さまと・・・」
風華「十霞の件で元に戻ったかと思ったのに、又「悪い方向へ」戻って来た様ね?・・・はぁ・・・」
一葉「見事理央さんと雪康君がカップリング成立したあかつきには、是非百合さんと私の・・・」
涼子「やらないわよ?」
一葉「まさかの放置プレイ!?・・・それはそれで・・・あぁ・・・」
涼子「だから、そう言うの止めなさいって!」
♪コンコンコン
涼子「はい?どなたですか?」
宗太「俺です!何か面白そうな声が聴こえて来たもので・・・」
涼子「雪康は?」
十霞「大丈夫です!お疲れだった様でもう眠っちゃいました!」
涼子「そう・・・じゃぁ、2人にも協力してもらおうかしら?」
理央「そんな・・・皆揃って私の為に・・・」
涼子「こう言う事はチーム一丸となって応援するのがしきたりなのよ?」
一葉「一体何処のしきたりなのか分かりませんが、チーム一丸になると言うのは良いと思いますね!」
宗太「雪康の奴は、本当にとろいですよ!色恋沙汰に関して!!さっきも乙女チックな事聞いて来たんですよ!?」
十霞「もしかしてそちらの皆さんの作戦だったのでしょうか?」
涼子「そうなのよ!・・・私もあまりにも鈍感過ぎるから一度直接的な接触で試してみたら?って言ったのだけれど、流石に少し効果があったみたいね!!」
理央「恥ずかしいです・・・」
宗太「って事は、あいつの質問して来た、相手にキスするとかどうのって言うのって!?」
涼子「キス!?・・・まさかそこ迄大胆な行動に出ちゃったの!?」
理央「少しだけですよぅ~!!軽く・・・」
理奈「理央ちゃん、やる~!?・・・」
涼子「確かに少し直接的にとはアドバイスしたのだけれど、まさかキス迄しちゃったなんて!?・・・でもその話の様子からだと、もうひと押しと言った所かしら?」
理央「えっ!?・・・あれだけ頑張ったのに、まだなんですか!?」
涼子「あの子もあまり色恋に染まった時期が無かったみたいだから本人もよく分からないのかもしれないわね!?・・・う~ん・・・」
一葉「そう言えば、最近急に暑くなりましたよね?・・・ゲームだったから元々ゲーム内の気候には無頓着でしたがいざゲームの世界に入ってみるとゲーム内の季節変化も明確に伝わって来ますよね!?」
涼子「それよ!!一葉ちゃん?・・・明日、泳ぎに行きましょう?」
一葉「えっ!?・・・明日ですか!?・・・ここからだと・・・近くにありますね!海が!」
風華「海か・・・良いわね!?・・・でも水着が・・・」
一葉「この街の外れに水着が売っているお店がありますのでそちらで明日買ってから直接行きませんか?」
涼子「そうね!朝買いに出向いてその足で直ぐだったわよね?」
一葉「はい!丁度良いんじゃないですか?目的ももう直ぐ達成するでしょうし、後は交渉次第と言う感じになりそうですし・・・」
涼子「じゃぁ、明日朝、雪康にも伝えて、皆で海に行きましょう!?・・・良い?あくまでこれは理央ちゃんに雪康を堕としてもらう作戦だからね?ね?」
理央「もう・・・そこ迄しなくても良いのでは?・・・何だか恥ずかしいです・・・」
百合「理央さんのセクシー大胆バディーなら普通の男の子なら完全KOでしょう!」
理央「そんなに凄く無いよ!?・・・私・・・」
風華「皆応援してるんだし、夏だから大胆に!?と言うのもアリじゃないかな?」
理央「うぅ・・・・・・・」
こうして明日の朝、水着を買って直接海へ行く事になったのだけれど・・・
私・・・本当に恥ずかしいよ・・・水着で更に!?・・・今度はどうすれば良いんだろう?
明日になって欲しいような、欲しくない様な?・・・
ラスボス以前に私はどうなっちゃうんだろう?・・・
色々な不安を胸に急遽海へ行く事になった私たち、雪康君は私に振り向いてくれるのかな?
待ってて?雪康君?あなたを・・・堕と・・・ううん!振り向かせてみせるわ!?
どうやって誘惑しようかな?・・・
第9 GAME END
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