第6 GAME・・・敵は理央?次から次へと降りかかる事態にパーティー大混乱!?・・・仲間たちに亀裂が生じる!?

バタバタしながらもようやく落ち着きを取り戻したかの様に思われたが、次なる展開へ物語は進んで行く!

狙われていた俺だったがある日の夜、俺は理央に起こされ転送されてしまう。

俺は又しても狙われていたのか!?そう思っていたが・・・

宗太が翌朝俺がいない事を知り皆で俺を探しに出てくれた!

だが、途中から様子がおかしくなり、結界を張られてしまう。

宗太は何が何なのか分からなくなったが、宗太の周りにいた俺たちの仲間の姿をしたモノは、暴走プログラムだった!そして、そのリーダーであるミストリア事、白石 一葉(しらいし かずは)は、このゲームの開発チームの一員であった!

この世界に閉じ込められた原因が一葉の行動が引き金になっていた。

一葉はこの世界への出入りが自由に出来る様で、手に何かを持っていたが、どうやらそれがあれば自由に行き来出来るみたいだった・・・

宗太は一時的に奴らに洗脳状態にされていたが涼子姉がそれを解除してくれた。

やっとの思いで宗太も無事に俺たちの所へ帰って来てくれたのだが、物語は更なる状況へと進んで行く事になる・・・・・











ある日の夜・・・




理央「誰だろう?・・・皆寝てるし外に出よう!」




私は寝ている間に通信が入ったので皆が起きない様にそっと外へ出て応答する事にした・・・




理央「はい、どちら様ですか?」


「明日の朝、5時半に皆が起きない様に必ず1人で街外れの洞窟の前に来て下さい。見付かってしまうとお仲間の命がありません!これは現実世界での「命」です!」


理央「誰!?あなたは?・・・」


「必ずですよ?・・・守らなければ・・・それから守って1人で来てくれればあなた方に有利になる重要な情報もお教え致します。では!」


理央「ちょっと!待って?・・・あなたはどうして?・・・」




そうして一方的に話を終えると相手は通信を切断してしまった・・・

明朝5時半・・・皆が起きる1時間半程前・・・それに相手は現実世界での事について触れていた!だとすれば・・・






5時00分・・・・私は時間前になったので自分にしか聴こえない目覚まし音を設定しておいたからそれが聴こえたので起きた。そして着替えを済ませて出て行った。どうして私1人じゃないといけないのだろう?・・・不可思議な相手の話の内容、きっとこれは罠なのだろう?・・・でも「命」が掛かってしまうとなるとどうする事も出来ない・・・下手に動けないし・・・待ってて、必ず私が何とかして見せる!自信は無かったけれど、私は相手が告げて来た街外れの洞窟の前へ赴いた。




7時・・・皆が起床する。




百合「おはよう♪あれ?理央さん?大丈夫ですか?顔色が優れない様ですが?・・・」


理央「えっ!?あっ!?大丈夫よ?ごめんね?心配掛けちゃって・・・」


風華「色々とあり過ぎてリーダーシップも発揮している理央ちゃんだしきっとかなり疲れちゃったんだよ!?」


涼子「今日は少し休まない?あまり無理に進んでも仕方無いだろうし・・・」


理央「えっ!?・・・そっ・・・そうです・・・ね・・・ごめんなさい。私のせいで!?」


涼子「いいえ!私でもあれだけの事態を一気に喰らってしまっては滅入っちゃうわよ!?だから今日はここでのんびりしましょう!?男子たちにも伝えておくから!」


理央「涼子お姉さん・・・すみません。ではお言葉に甘えますね?」




男子の部屋・・・




涼子「と言う訳なの!?だから今日は臨時休業って所ね?それでいいわね?」


雪康「あぁ!俺たちは構わないが本当に理央は大丈夫なのか?」


涼子「えぇ、特に受け答えもしっかりしているし、疲れが出ている様子ではあったけれど・・・」


宗太「何だか俺の件もあったし本当申し訳無いな・・・楠さん、ずっとリーダーシップとってやってくれてたもんな!あれだけしっかりとした子ならきっと少しの事なら大丈夫だって無理するタイプだろうな・・・」


雪康「そうだな!だから出来る限り俺たちが彼女を見ておいてやらないといけないかもしれないな!」


涼子「はぁぁぁぁ・・・その気持ちがあるならもう少し早く・・・ってそんな事はどうでも良いとして、あなたたちもここの所疲れが溜まっているでしょうし、今日はゆっくりすると良いわね!」


雪康「涼子姉も色々と大変だったろうしゆっくりしてよ!」


涼子「えぇ!私はメリハリのある女だから今日はたっぷりと休む事にするわ♪」






風華「ねぇ、理央ちゃん?今朝何かあったの?」


理央「へっ!?・・・何が?・・・」


風華「出て行ったでしょ?私見てたよ?しばらく戻って来なかったから探しに行こうかと思っていたら戻って来たから・・・」


理央「あ・・・ごめんなさい・・・見られちゃったのね!?うん・・・ちょっと通信が入って、外へ出てくれないかって言われてたんだけど・・・」


風華「何か言われたの?」


理央「ううん・・・大した話じゃなくてデマだったみたい・・・良い情報とか言ってたから何かなって思って勢い付けて行ってみたんだけれど・・・」


風華「それで疲れちゃったの?・・・本当こんな事態の最中に変な輩(やから)がいるわね・・・あまり気にしちゃダメだよ?」


理央「うっ・・・うん!ありがとう♪少し気が晴れたよ!」


百合「ねぇ、理央さんは少しゆっくり寝ていて下さい!私たち、何かお見舞いでも買って来ますよ!」


理央「えぇっ!?そんなの良いわよ!?気を使わないで・・・」


風華「珍しく百合にしては名案じゃない!行きましょう!理央ちゃんは休んでて!元気が出る様な物を見付けて来るから!」


理央「えぇ・・・そう?・・・それじゃあ・・・折角だから、お言葉に甘えちゃおうかな?」


理奈「ゆっくり休んでいてね!私も色々と迷惑掛けちゃったし、宗太と一緒に買い出しに行って来るわね!」


理央「理奈ちゃん・・・ありがとう♪」


涼子「じゃあ、ここに残る人が雪康と私だけになっちゃうわね!」


理央「あの・・・涼子お姉さん?・・・少しだけお願いがあるのですが・・・」


涼子「えっ!?何か私に出来る事が?・・・何でも言ってね!」


理央「はい・・・お姉さんじゃないと難しい事だと思うのですが・・・この街の何処かにひょっとすると元の世界に戻れるアイテムがあるかもしれないのですが私にもそれが真実の情報なのかどうか分からなくて・・・きっとデマだろうとは思うのですが・・・」


涼子「分かったわ!探してみる事にするわね!真実の情報であって欲しいものだけれど・・・」


理央「宜しくお願いします。」




男子の部屋・・・




宗太「俺、理奈連れて楠さんにお見舞いでも買って来るよ!色々と迷惑も掛けたし・・・」


雪康「あぁ!じゃあ、俺は何かあるといけないからここに残る!」


宗太「当然だよな!未来のパートナー放っておいて・・・って出来る訳ないもんな!」


雪康「はぁ?・・・どう言う事だよ!?それは!?」


宗太「お前も早く自覚した方が良いぞ!?あの手の子は直ぐに誰かに取られちゃうからな!」


雪康「?」




全員外へ出掛けてしまった・・・宿に残されたのは理央と俺だけになった・・・




♪コンコンコン




雪康「はい・・・って理央?・・・寝てなくて大丈夫なのか?」


理央「うん♪少しだけ楽になって来たから・・・」


雪康「悪いな!直ぐにそっちへ行こうと思っていたんだけど・・・」


理央「ベッド・・・座っていい?」


雪康「あぁ!いいよ!・・・何かして欲しい事無いか?疲れてるだろ?遠慮しなくて良いからな!」


理央「うん♪ありがとう♪こうして雪康君と2人きりでいるだけで良いよ!」


雪康「あぁ・・・そっ・・・そうか?・・・なら良いんだが・・・」




パァァァァァァァァァ




雪康「えっ!?何だ!?・・・ここは?・・・」


理央「私ね・・・結界を張れるんだ♪」


雪康「そんな魔法あったんだ!?てっきり敵がこの間みたいに使うだけのものかと・・・」


理央「ねぇ?雪康君?結界の中って心地良いでしょ?良い匂いもして来て・・・」


雪康「確かに・・・って・・・この展開・・・まさか!?」


理央「大丈夫だよ?私は楠 理央・・・あなたの知っている理央よ?」


雪康「とりあえずここから出してくれないか?」


理央「ダメだよ♪だって今転送中だから♪」


雪康「転送?・・・って一体何処に!?」


理央「少しだけ時間が掛かっちゃうからもう少しここにいようね?」


雪康「何だ!?お前・・・理央じゃないだろ!?」


理央「酷いな・・・私は楠 理央だよ!?忘れちゃったの?私の雪康君?」


雪康「あっ・・・何だ!?頭が・・・」


理央「やっぱり効果があまり無いか・・・私が求めていた人物そのものだよ!強くて、意志が固くて、優しくて・・・全てにおいて私の理想♪」


雪康「お前何言ってんだよ!?疲れていたから今日は休んだんじゃなかったのか!?それなのに結界とか転送とか・・・意味分かんねぇよ!?」


理央「・・・・・・・・・・・」


雪康「とりあえず戻ろう!?皆も心配するだろう!?」


理央「・・・・・・・・・・・」


雪康「どうして黙り込む!?お前は俺の知っている楠 理央だよな?」


理央「ほら、雪康君?何か聴こえて来ない?」


雪康「何がだよ!?・・・って何だ?耳の中に流れ込んで来る様な小さな声が・・・」


理央「良いよ!その声に集中して?・・・ずっと聴いていると気持ち良くなって来るから♪」


雪康「五月蠅い!?変な囁きが・・・入って来るな!?」


理央「ふふふふふ♪強いね!やっぱり一筋縄では行かないか・・・それなら・・・」


雪康「って・・・おまっ!?顔が近い・・・何を!?・・・」


理央「・・・・・・・・・・・・・」


雪康「目が近い・・・目が・・・目・・・が・・・・・」




♪ボーッ




理央「どうかしら?もう何も考えられないよね?気持ち良いよね?雪康?」


雪康「あぁ・・・あぁぁぁぁぁ・・・・・気持ち・・・良い・・・」


理央「さぁ、雪康?お前はこれから私の奴隷よ?返事は?」


雪康「あぁぁぁぁ・・・・・は・・・はい・・・理央・・・さま・・・」


理央「入る迄が長いけれど入っちゃうとあっさりなのね?良いわ!そう言う雪康も好きよ?」


雪康「・・・・・・・・」


理央「もうお前は私のモノ・・・これからずっと・・・さぁ、新たな奴隷君?私と忠誠の誓いのキスをしましょう?」


雪康「はい・・・ご主人様・・・」




♪チュッ💛




理央「これで儀式は完了したわ!これから私たちのご主人様の所へ連れて行くからご主人様にきちんとご挨拶しなさい?良いわね?」


雪康「はい・・・理央様・・・」






夕方、宿屋にて・・・




宗太「おいおい!大変だ!?雪康がいないぞ!?」


風華「こっちも理央ちゃんがいないの!?」


涼子「おかしいわね・・・この時間になっても2人揃っていないなんて・・・」


理奈「又何かに連れ去られたのかな?・・・どうしてよう?・・・」


涼子「風華ちゃん?あなた今朝理央ちゃんが出て行く姿を見たって言っていたわよね?」


風華「はい!通信が入ったみたいで着替えてから出て行くのを見ていました!皆が起きて来る前には戻って来たみたいですが・・・」


涼子「何かそこであったのかもしれないわね!」


百合「でもどうやって調べれば・・・」


雪康「皆どうしたんだ?」


涼子「雪康!?」


理央「ごめんなさい・・・少しお散歩をしていたので・・・」


風華「理央ちゃんも!?・・・良かった・・・」


宗太「お前たち・・・楠さんはもう大丈夫なの?」


理央「えぇ!色々と心配を掛けてしまってごめんなさい・・・夕方になりかけた頃に気分が落ち着いたから雪康君と一緒にお散歩していたの!?」


涼子「とりあえず2人共無事なら良かったわ!」


理央 (耳打ち)(ねぇ、百合ちゃん?・・・この間ね?風華ちゃんが最近百合ちゃんちょっとウザいねって言ってたよ?私もそこ迄言う事ないでしょ?って注意したんだけれど、大分風華ちゃんも疲れて来ちゃっている様に見えたから・・・あまりこう言う事言う事じゃないとは思うんだけれど、少し距離を置いた方が後で更に仲良くなれるかもしれないから・・・一応伝えておくね?)


百合 (耳打ち)(そっ!?そんな・・・風華ちゃんがそんな事言ってたのですか!?ショックだよ・・・)


雪康 (耳打ち)(おい、理奈ちゃんさ?この間俺に相談に来たんだけど、宗太って軽くなったんじゃないか?って・・・何か女の子となら誰とでも仲良くしてキモイとか言ってたぞ?・・・ってこう言う事言うのも気が引けるけどさ、やっぱり相談されたし、俺も少し距離を取った方が良いだろうと言ったんだが・・・)


宗太 (耳打ち)(おいおい嘘だろ!?俺こう見えても一途だって自負しているのにさ・・・あいつならずっと一緒だったから分かってくれていたと思ったのに・・・チキショー!!)


理央 (耳打ち)(ねぇ、理奈ちゃん?この間ね?宗太君が理奈ちゃんちょっと空気が重いから少し離れて欲しいなって相談して来たよ?何だか息が詰まっちゃうって言ってたよ?・・・少し距離を開けたらどうかな?少し離れるとより一層愛情が深まるからね!)


理奈 (耳打ち)(そんな!?・・・宗太が・・・そんな事を言っていたの!?・・・私・・・もう・・・)


理央 (耳打ち)(ねぇ、風華ちゃん?この間百合ちゃんがね・・・風華ちゃんってガサツだし最近少し調子に乗ってるんじゃないかな?って言ってたよ?)


風華 (耳打ち)(嘘でしょ!?・・・私結構我慢してたのに!?まさかあの子からそう言う事を言っているだなんて!?むしろこっちのセリフよ!?誰に対しても女の子ならベッタリして!?本当嫌になるわ!?)


雪康「なぁ、涼子姉?」


涼子「何?どうかしたの?」


雪康「涼子姉って正直ウザいよな?」


涼子「えっ!?それってどう言う事よ!?」


雪康「小さい頃から俺にベッタリで重度なブラコンじゃないのか?」


涼子「何ですって!?私の何処が!?」


雪康「知ってんだぜ?いつも俺の写真肌身離さず持ち歩いているの!?」


涼子「!?」


雪康「俺の事凄く好きなんだって周りにも言いふらしていたもんな!?正直実の姉がブラコンだなんて俺ショックだよ・・・」


涼子「そっ!?・・・それは・・・その・・・」


雪康「言い返さないって事は認めちゃうんだ!?」


涼子「わっ・・・悪い?・・・実の姉が弟の事大好きになって何がいけないって言うの?」


雪康「俺のイメージを損なう恐れがあるし・・・何より、俺、そう言うのウザいからな・・・」


涼子「どうして・・・どうして、皆のいる前で大きい声でその様な事を・・・うっ・・・うぐぅっ・・・・・」


宗太「おい!雪康!?いくらなんでも言い過ぎだろ!?謝れよ!お前はそんなクズみたいな事を言う奴じゃねぇだろ!?色々と助けてくれただろ!?お姉さんに!?」


雪康「おやおや?そうやって他の女の心配をして可愛がってもらおうと思ってんのか?本当、それだから軽いって言われるんだよ!?」


宗太「お前っ!?」




グッ!!!




宗太「・・・・・・・・」


雪康「殴れるもんなら殴れば良いだろ!?」


宗太「・・・・・・・・・止めておく・・・くだらんじゃれ事に巻き込まれるのも癪に障るからな!」


理奈「ちょっと、宗太!?酷いじゃない!?私がいるのに・・・どうして?・・・」


宗太「理奈!?それなら俺も言わせてもらうがな・・・」


百合「風華ちゃん!?信じられないよ!?」


風華「それはこっちのセリフよ!?」


雪康&理央 (ニヤ♪)




涼子 (うぐっ・・・雪康・・・あんなに人を想いやれる優しい子だったのに・・・)




そうして私も雪康から心が痛くなる様なセリフを吐き出され、精神的に滅入ってしまっていた・・・だが、何かがおかしい・・・きっとこれは裏があるに違いない・・・

そう思うと同時に遂にパーティーの仲間にも亀裂が生じてしまい、一致団結とはかけ離れた空気を持ったパーティーに変化して行くのであった・・・




百合「あぁ~ぁもう面倒だな・・・私たち別行動しましょうよ?」


風華「そうね!それが一番良い方法だと思うわ!?どちらにせよこのままパーティー続けていても悪い方向へしか進まない気がするし・・・」


宗太「そうだな!俺も正直、理奈がそう言う風に思っていたとか聞いてうんざりだし、もう単独行動でも良いだろうと思う!」


理奈「私も宗太といても楽しくなくなっちゃったし・・・単独で行動した方が楽だし!」


雪康「俺も最初はあんな事言っていたけどさ、もう疲れたよ!俺も単独で良いかなって最近思ってたからな!」


理央「私もリーダーみたいな役をするの疲れちゃった!単独行動して自由にやった方が皆も良いと思うし、そうしましょうよ!」


涼子「それはダメよ!」


一同「えっ!?・・・・・・」


涼子「こう言う時だからこそ、もう一度お互いの気持ちを見つめ合わないといけないと思うの!私も雪康に酷い事をしていたのかもしれない・・・あなたたちもお互いの気付いていない所で何か傷付けちゃった事があるのかもしれないし無いのかもしれない・・・でも・・・少しでもお互いの事を考えていた時間があったはずよ!どうだった?大切な人の事を考えている時間・・・素敵だった?心地良かった?優しくなれた?・・・私は雪康の事を片時も忘れた事なんて無かったわ!?初めて弟が産まれた時私が産んだくらい嬉しかったわ!・・・初めて「おねえちゃん・・・」と片言で話してくれた時、涙が出て来た!・・・初めて弟が立った時・・・歩いた時・・・幼稚園、小学校、中学校・・・いつも私は弟の事を考えていたわ!?とても心が穏やかになれて、とても心地良くて・・・とても幸せだったの!?・・・皆も好きな人、大切な人の事を考える時、その人の事を信じているかしら?・・・私は信じている・・・工藤 雪康は、こんな事を言う人じゃないって!きっとこれは何か裏があるのだろうって!?私の大好きな、私の弟は人の事を簡単に傷つけちゃう様な子じゃないって!そう思いながらさっき言われた事を改めて考え直してみると・・・」


理奈「分かります・・・ごめんなさい・・・私、目の前の現実にとらわれてしまっていました!」


百合「そう・・・風華ちゃんはあんな事言う子じゃない!だって私が初めて女の子を本気で好きになった子だもん!」


風華「恥ずかしい事言わないでよ!?・・・私こそ・・・自分が大切な子の事を信じていなかった・・・ごめんなさい・・・」


宗太「いや、一番分かっていなかったのは俺だ!?どうして・・・自分の彼女の言動を信じられなかった!?真実を見抜けなかったんだ!?クソッ!?」


涼子「皆・・・」


理央「チッ!?・・・ダメだったか・・・折角パーティーに亀裂を生じさせて分裂させようと思っていたのに・・・」


雪康「はい・・・申し訳ありません、ご主人様・・・涼子姉は色々と小賢(こざか)しいので・・・」


理央「いいわ!?一先ずご主人様にご報告申し上げなければならないから私たちは戻りましょう!」


雪康「はい!」




シュパッ!!!




涼子「消えた!?・・・雪康と理央ちゃんの身に何が!?」


宗太「でも流石涼子さんです!どうして何かあると?」


涼子「女の勘よ!」


宗太「女の勘ですか?」


涼子「昨日の今日みたいな展開だけれど、今度は少々厄介かもしれないわね!2人とも無事に助け出さないと・・・」


理奈「はい!必ず連れ戻して!」


風華「でも、今回の件もこの間の開発者の人が関わっているのかな?」


涼子「それはあり得るわね!何か裏で糸を引いている人物がいる様な気がするわ!?」


百合「それも女の勘でしょうか?」


涼子「そうね!女の勘よ!?」






理央「ご主人様、作戦は失敗してしまいました。」


主「そうか!それで良い!」


理央「と申しますと?」


主「より固い絆で結ばれ、本当に乗り越えなければならない壁が現れた時にそれを打ち破る事が出来る様になる・・・」


理央「その様なお考えだったのですか!?」


主「あぁ!あの子たちが解決してくれるだろう・・・そして・・・ここにいるお前たちもだ!」


理央「私たちもでしょうか?」


雪康「あぁぁぁぁぁぁ・・・・」


主「おやおや・・・そろそろ効果が切れそうだな・・・では元の所へ戻してやると良い!理央、それから・・・雪康よ!又会おう!」


理央「はい・・・ご主人様・・・あぁぁぁぁぁぁ・・・」




パァァァァァァァァァ




雪康「ん・・・んん・・・何だ?・・・ここは?・・・宿?・・・俺は一体?・・・」


理央「んん・・・雪康君?・・・私たち、一体?・・・」




涼子「あなたたち!?どうしてここに!?」


宗太「戻って来たみたいだ!」


雪康「何だか記憶が・・・」


理央「私も・・・どうして?・・・」


風華「理央ちゃん恐らく早朝に出掛けた時に何かあったんじゃ?」


理央「あっ!?・・・確かに・・・深夜に通信が入ったから皆を起こしちゃうといけないから外で応答しようと思って、それで・・・」


涼子「その様子だと2人共無事に元に戻ったみたいね!」


雪康「俺たち何かあったのか?・・・そう言えば、理央が疲れたからって宿で2人きりになって・・・理央が・・・」


理央「えっ!?私、雪康君に何かしたの?」


雪康「俺もその後の事をよく覚えていないんだ・・・」


涼子「恐らく誰かに操られていたのかもしれないわね!でも本当に良かった・・・」


百合「本当ですぅ!理央さんがいなくなって私・・・私・・・」


風華「はいはい、分かったから落ち着いてよ!百合?」


理奈「とりあえず皆が又元通りになれて良かった!」


宗太「そうだな!まさか仲間に仲間割れさせられたかと思うと恐ろしいけどな!」


雪康「そんな事してたのか!?まさか!?俺が?」


宗太「いや、お前じゃないな!涼子お姉さんが言ってたのを聴いて俺もお前たちを信じないといけないって思ったからさ!」


雪康「何だ?それは?・・・涼子姉が又活躍したのか?」


涼子「えっ!?私?・・・特に何もしていないわよ?」


百合「いいえ!涼子お姉さまのお蔭でこのパーティーが更に一層強い絆で結ばれたんです!!」


理央「絆?・・・」


雪康「絆?・・・」


涼子「2人共疲れたでしょ?いっその事もう1日ゆっくりしましょう?2人は特に休めていないでしょうし・・・」


雪康「いや、俺は大丈夫!理央がどうかだよな?」


理央「私も大丈夫です!1日時間が過ぎちゃったみたいだし明日から又頑張って進んで行きましょう?」


百合「やっぱり理央さま、いえ!理央さんって強いな♪」


理奈「えぇ!私の誇りでもあるの♪」




こうして無事に全員揃った訳で・・・




翌日・・・




理央「皆、おはよう!今日から又新たに進めて行く事になるけれど、そろそろ又白石さんが戻って来るかもしれないからくれぐれも気を付けないといけないと思うの!」


涼子「色々と厄介事を運んで来るみたいだし十分に注意が必要ね!」


宗太「何かあいつの存在って疫病神みたいだな?・・・」


理奈「はははっ♪確かにそうかもしれないね!?」


風華「まぁ、役病そのものみたいな感じがするし・・・」


百合「ちょっと風華ちゃん?きゃはっ♪・・・それは言い過ぎじゃないかな?・・・」


風華「何、きゃはっ♪とか笑っておいて妙なツッコミ入れてんのよ?」


理央「まぁ、最近の彼女は見たままの性格なんだけれど、会社に入った頃は凄く気が利いて優しい人だったんだよ?何かあったのか途中から急にあんな感じになっちゃったんだけれど・・・後、過去にコンテストとか獲ってる程の美人なのよ?」


宗太「うせやろ?・・・」


雪康「まっ・・・まぁ、実際あいつを見た訳じゃないから実際のあいつの姿とか分からなかったけど、まさかそんな性格だったとは!?」


涼子「女は特に執着心が沸いて来るととんでもなく豹変するらしいからね・・・」


雪康「怖いな・・・涼子姉は大丈夫だろうと俺は信じるよ!」


涼子「意外と私がそう言う事になるかもしれないわね?」


雪康「ちょっと驚かすなよな!?」


涼子「ふふふふふ♪まぁ、余程の事が無い限り大丈夫だろうと思うわ?」


雪康「自分でも疑問符みたいになっているのが余計に怖い・・・」


「あらあら、随分言い方をしてくれるじゃない?」


理央「白石さん!?どうしてここへ!?」


一葉「別に不思議な事じゃないでしょ?あなたたちの様子を伺いに来てあげたの♪楽しそうだし♪」


雪康「おばさん、悪いが敵に座らせる場所なんてここには無いよ!帰ってくれないか?」


一葉「ふふん♪君も私の本当の姿を見たらその言葉を撤回すると思うわよ?」


雪康「いや、姿とかどうでも良い、俺は性格の話をしているんだ!」


一葉「はぁぁぁぁ・・・嫌われちゃったわね?・・・好みだったのに・・・残念だな・・・」


雪康「何が好みなんだ?」


一葉「そう言う鈍感な所も結構好きなのにな・・・」


理央「白石さん?要件は?」


一葉「あぁ♪ごめんなさいね?本命の子がいたわね?」


理央「私たち急いでいるの・・・用事が無いならこれで・・・」


一葉「今、このゲームの中、そして現実世界で何が起きているか知りたく無い?」


理央「えっ!?何か起こっているの?」


一葉「まぁ、ちょっと座ってよ!それ程急いだ所で何も変わらないし♪」


雪康「何だよ?おばさん敵だろ?そんな奴の言う事、信用出来るかよっ!?」


一葉「ちょっと君?さっきからおばさんおばさんって・・・私まだ20代前半よ!」


雪康「でもおばさんだろ?俺たちからすりゃ!」


一葉「じゃあ、そこにいる工藤 涼子さんは私より2つ歳上でしょ!?どうなるのよ?」


雪康「涼子姉は姉さんだから関係ないだろっ!?ってどうして涼子姉の名前と年齢を知ってんだよ!?」


涼子「はぁぁぁぁぁぁ・・・言わないでって言ったのに・・・」


一葉「だって・・・先輩・・・私これ以上耐えられないよ・・・」


涼子「あなたが買って出たんでしょ?だからあなたも私もお互いの遡上は話さない、そう言う約束で事故があった時にお互いで約束したでしょ?」


一葉「・・・・・・・はい・・・・・」


理央「えっ!?お二人は知り合いなのですか?」


涼子「ごめんなさいね?色々とあって中々真実を話す事が難しくて・・・この子は私の通っていた大学の後輩でもあるの!事故があった時に何か裏があるからと言ってひょっとすると開発チームに黒幕がいるんじゃないかって思って私に相談して来たから急いで対処していたのだけれど、どうやらゲーム内に色々と操作している輩がいるみたい・・・」


一葉「皆さん、本当に申し訳ありませんでした・・・今涼子先輩が仰った通り、私も色々と調べていました。そして、我々の在籍しているこのゲームの開発チームに不審な動きをしている人物がいました!私も両方の世界を行き来する為にアイテムを持っていたのですが、つい昨日、その黒幕であろう人物に裏切られてしまい、私も元に戻れなくなってしまいました。」


涼子「やっぱり・・・あなたがここへ来たと言う事で事態を察したわ!」


一葉「流石先輩です!・・・私も電話越し等でしか奴と会話をしていませんし、奴の声も変声器で本人の声だと断定する事は難しく、私も断念せざるを得ませんでした。」


宗太「じゃあ、これ迄の一連の動きって・・・」


一葉「はい・・・奴に命令されていた事を私が実現させていました。本当にごめんなさい!」


雪康「じゃあ、おば、いや、お姉さんは本当は涼子姉の味方なの?」


一葉「はい・・・私も本当は涼子先輩に憧れて医療の道を目指しましたがやはり涼子先輩の様にはなれなかったです・・・」


宗太「だってさ?・・・俺たちもまんまと騙されていたって訳だな?・・・このお姉さんにさ?」


雪康「だっ!?だから言っただろ?人間見た目じゃないんだよ!?この人も凄く美人だって言ってるし実際お会いしてみたいものだな?」


理央「雪康君?ちょっと外に出てくれないかな?」


雪康「何だ?・・・理央?・・・凄く黒いオーラが見えるぞ?何かあったのか?」


風華「本当に鈍感過ぎるのも問題だよね?」






涼子「整理するとね・・・丁度あなた達がこの世界に閉じ込められた時に私やこの子にも情報は勿論入って来た訳で、私がこのゲームのユーザーである事は一葉は知っていて、丁度お母さんから連絡が入った直後にこの子からも連絡が入って、急いで考えた結果わざとその様な状況に持って行った人物がいるなら証拠を突き止める必要もあるから、作戦を立てたの!一葉は凄く優しい子だから無理だろうって言ったの。そうすると数年程前から変な動きをしているからそれで私も乗った振りしているから大丈夫だって言うから任せてみたのだけれど・・・」


理央「それで白石さんは・・・」


一葉「お気づきでしたか!?・・・はい・・・毎日居たたまれない気持ちでいっぱいでしたが、悪事を見過ごす訳にも行かず、ずっと見張っていましたが、遂に大きく動き出してしまいました・・・この状態になる前に私が無理にでも食い止めていれば・・・」


涼子「いや、むしろ下手に動いてあなたが危険に晒される訳にも行かないだろうし・・・」


一葉「先輩・・・」


宗太「でもさ・・・その行き来出来た人が出来なくなっちゃったし俺たち結局このままじゃないのか?どうすれば・・・」


一葉「はい・・・アイテムと言うのはゲーム内では手に入りません、実世界で持っていた物ですので・・・ただ、このままゲームを進めて行けば・・・クリア出来れば全員が元の世界へ戻れるはずです!」


雪康「やっぱり!クリアすれば俺たち戻れるんだよな!?」


一葉「はい・・・確かにクリアすれば戻れるのですが・・・色々とプログラムをいじっちゃいましたので簡単にクリア出来る状態では無くなってしまいました・・・私も元の世界に戻れるなら直ぐにでも余計なプログラミングを解除したり出来たのですが、今の所私以外にこのゲームの内部的なものに完全に触れる人がいません・・・ですので私が出来る限り皆さんをサポートさせて頂きますので、何とかクリアして欲しいです・・・」


涼子「一葉っ!?そこに正座しなさい!」


一葉「はっ!?はいっ・・・」


涼子「私が大学を卒業する時にあなたに言った事をここで言ってみせて?」


一葉「は・・・はい!・・・何か困ったり、助けが必要な時は直ぐに私に連絡しなさいよ?あなたは直ぐに抱え込んでしまって取り返しのつかない事になる恐れがあるから、絶対に小さい内に私に連絡するのよ?・・・と仰いました・・・」


涼子「そして、何年も一人で抱え込んでこの有様よね?」


一葉「申し訳ありませんでした。」


涼子「おまけにあなたも戻れなくなったのよね?どう?これで私が言った言葉の真意を理解してくれたかしら?」


一葉「はい・・・本当に・・・本当にごめんなさい・・・お姉さま・・・」


涼子「それから、お姉さまって言うのは止めなさいって言ったでしょ?」


百合「えぇっ!?私以外にも同族の方が!?」


風華「話がややこしくなるから黙って!?」


涼子「まぁ、過ぎた事をとやかく言った所でどうする事も無いからこれからどうやってこのプログラムの世界で勝ち抜いて行けるかよね?それを考える事にしましょう?」


一葉「はい・・・本当に私のせいで・・・」


涼子「でもね?こうなったのはあなたが放置したせいかもしれないけれど、元凶の犯人じゃないの!だからあなたがするべき事は、直ぐに誰かを頼る事よ?分かった?」


一葉「あぁぁぁぁ・・・お姉さま💛」


風華「なるほど・・・それで涼子お姉さんは耐性があったのか!納得です・・・」


百合「一葉お姉さま♪私たちも頑張りますから色々とお願いしますね♪」


一葉「えっ!?・・・あっ!?百合ちゃん?・・・うん♪宜しくね・・・(百合ちゃんって確か同族の子よね?・・・可愛い♪)」


涼子「それから、最初に言っていた事ってどう言う事なの?」


一葉「えっ!?・・・はっ、はい!・・・実は、現実世界では数週間が経過していますが、依然皆さんが動いておられない事等を調査しています。勿論原因は掴めていませんが、これはゲーム内に意識が全て飛んでしまっている為だろうと考えています。ですので皆さんの魂自体がこのゲームに入っている感じでしょうか・・・」


涼子「つまり、私たちのこのアバターに魂が移っちゃった感じと言う訳ね?」


一葉「はい・・・一応その考え方で正しいと思います。現実世界での実際の私たちの体は異常が無いものの、体自体の機能は奇跡的に無傷です。ですので意識だけでも元の世界へ戻す事が出来れば確実に戻れるはずです。」


涼子「実世界では依然動きは変わっていないけれど、特に私たちの生身の体には問題も無く、意識だけがここへ留まってしまっている・・・それから?」


一葉「はい、先程申し上げた黒幕の正体が掴めていないのがネックなのですが、ここへ閉じ込めたのは私ではありませんのでひょっとするとその黒幕が下手な動きを取ってこの世界に変化を生じさせる恐れもあり得るかもしれません・・・」


涼子「それだと今迄私たちが考えていた事とは違った状況下に置かれてしまう可能性が高いって事ね?」


一葉「はい・・・それだけは食い止めたかったのですが・・・」


涼子「一葉!そうやって又、自分を攻めようとしない事!もう済んだ事だし、これから私たちが本当にやるべき事は何?」


一葉「はい・・・皆さんと一緒にこのゲームをクリアさせる事です!」


涼子「成長したわね!もう私の支援は要らないわね!」


一葉「いえ・・・私はまだまだです!どうか私を・・・もっともっと、お姉さまのお側に・・・」


百合「良いわね♪こう言うシーン、絵になるわ💛」


風華「本当、悪いわね・・・こう言う良いシーンで・・・絵を壊すわ(怒)」


宗太「とりあえず、プログラマーの方が加わったみたいだし鬼に金棒だよな!」


雪康「あぁ!一先ずクリアさせる為に残り俺たちのレベルも上げて行こうぜ?」


百合「そうね!私たちも早くクリアさせる為にレベルを強化しなくちゃ!?」


風華「私たちが一番低いから早く追いつかないといけないわね!」


一葉「あの・・・」


雪康「はい?どうされました?」


一葉「私・・・実は・・・」


風華「実は?・・・」


一葉「レベル1なんです・・・」


雪康「ははははは♪レベル1っすか!?大丈夫大丈夫!俺たちよりは・・・・・ってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」


一葉「ごめんなさいぃぃぃぃぃぃ~・・・・・ほとんどユーザー側としてプレイした事が無くて・・・進んでいないんですよぅぅぅぅ・・・え~ん・・・・」


雪康「いや・・・大丈夫ですよ・・・きっと・・・うん!・・・だって、ほら!開発者の1人がここにやって来てくれたのだから!あはははは♪・・・」


涼子「一葉?・・・明日から特訓ね!覚悟しててね?」


一葉「あぁぁぁぁぁぁ・・・・お手柔らかにお願いしますぅ・・・・」


百合「手取り足取り・・・腰取り・・・涼子お姉さまが一葉お姉さまを・・・はぁん💛私も仲間に・・・」


風華「言っておくけど、レベル上げる為の訓練だから百合の考えている様な事じゃないからね!覚悟しなよ?」


理奈「でも、開発者さんで私たちのレベル、メンバーも多いからきっと早く上げられるのでは?」


宗太「確かにそうだよな!?この辺りのステージでメインじゃなくても結構経験値が貰えるはずだし!」


一葉「あの・・・その辺りなのですが・・・実は、その辺りも少し触ってしまいまして・・・」




涼子「なるほどね・・・レベルを上げ難くしている訳ね!?本当厄介な状況になっちゃったのね!?」


一葉「本当に下げる頭もありません・・・」


涼子「久しぶりにお仕置きが必要かしら?」


一葉「はぁぁぁぁぁぁぁぁ💛お姉さまぁぁ・・・・」


百合「えっ!?お仕置き?何?何のお仕置き?」


風華「百合?お願いだからそれだけは聞かないであげて?怖い気がするの・・・いくら私でもツッコめない気がする・・・大人の・・・そんな・・・」


雪康「だとすると・・・どうやってレベルを上げるんだ?ステージ1辺りの経験値しか稼げないとなるとむしろステージ1でコツコツ積み上げた方が無難だろうし・・・」


一葉「あっ!?私一つだけアイテムを持っていました!これを使って敵と戦って勝てば50迄上げられます!」


理央「えっ!?50迄上がるのですか!?そんなアイテムがあったなんて!?」


一葉「いいえ、これは私がいざと言う時の為に用意した私オリジナルのアイテムなんです!」


理央「でも敵を倒さないといけないんですよね?何かあって敵が強烈に強くなっていたりするのでは?」


一葉「大丈夫です!敵の難易度はこれ迄通りのはずです!誰かがあの後触っていなければですが!」


雪康「一先ずステージ1のフィールドで先に敵を倒してしまおうか!」






そしてステージ1で無事に敵を倒し、アイテムを使っていた一葉のレベルも50に到達した・・・本当に疲れるな・・・安らぎ、本当に一時の安らぎですら訪れてくれないのか?・・・






一葉「ありがとう御座いました。お蔭さまで私のレベルも50になりました♪」


雪康「それは何よりでした・・・はぁぁぁ~・・・」


涼子 (耳打ち)(ねっ!?疲れるでしょ?でもこの子凄く優しい子だから悪気も無いし許してあげてね?)


雪康 (耳打ち)(あぁ・・・確かに疲れるけれど、悪気が無いって言うのは俺にも痛い程分かるよ!でも最初の辺りのあの演技?・・・本当ギャップあり過ぎじゃないの?)


涼子 (耳打ち)(あの子、役者目指していた時もあったから割と演者なのよ?凄いでしょ?)


雪康 (耳打ち)(本当だよな・・・あらゆる意味で凄い人だよ!)


一葉「あっ!?私、50だから色々な魔法も使える様になりました!きっと皆さんのお役に立てると思います♪」


百合「一葉お姉さま・・・ちょっぴり天然さんで、可愛いです♪」


一葉「百合ちゃん♪私・・・百合ちゃんは同じ匂いがするなって思っていたの♪宜しくね💛」


百合「あぁ♪はい!勿論ですお姉さま💛」


涼子「いい加減にしなさいよ?あなたたち・・・」


風華「本当だよ・・・一刻も早くクリアさせないといけないって時に・・・」


宗太「何だか、出来上がってるっぽいよな?」


雪康「あぁ・・・俺にはよく分からない光景だが・・・」


理央「分からなくて良いと思うよ・・・私も少し頭が痛いかも・・・」


雪康「珍しいな・・・理央ですらそんな感じになっちゃうのか?」


理奈「理央ちゃんってかなり許容範囲が広いのに、それでも拒絶しようとしているって相当だよね?・・・」






食事処にて会議・・・




理央「一先ず、一番レベルが低い白石さんも50になったのでこのパーティーも随分と当初よりレベルが高くなったね!皆の努力のおかげです。本当にありがとう♪」


雪康「最初の頃はどうなるかと思ったもんな!俺も全くオンラインゲームとかこの手のゲームって初めてだったから・・・でもいきなりベテランプレーヤーが2人も現れて、それが同じクラスのメンバーだった!その後も、同じ学校の同学年の子や宗太の彼女、俺の姉ちゃん、理奈ちゃんが理央の従姉妹とか、おまけに開発チームの1人が涼子姉の大学の後輩とか凄いよな!?」


宗太「ありえんだろう!どれだけ密集してんだよって感じだよな?」


涼子「そうね・・・これも運命だったのかもしれないわね!皆が一つの場所にパーティーを組む形になったのもこれもきっと運命・・・私たちにしか出来ない事をやって行きましょう!」


百合「はい♪お姉さま💛」


風華「一先ず、皆戻って来てくれたので一緒に行動出来ますよね!でも、レベルが上げ難くなったんですよね?・・・どうすれば・・・」


一葉「はい・・・その件に関してはこの後私はお姉さまからお仕置きをして頂きますので反省すると致しまして、皆さんのレベルならクリア自体は可能だと思います。ただ、敵の数やボスの人数等が増えたりしていますのでクリアさせる為の動きが大きく変化してしまいました。ですのでどちらかと言えば敵を如何に多く倒して、スタミナを残しておけるかがキーポイントになるかと思われます。」


理央「じゃあ、レベル上げじゃなくて敵をより多く倒して行く事に専念しましょう!」




宿屋屋上・・・




雪康「本当、このゲームやってから俺、色々と考え方が変わった気がするよ!」


理央「それは、閉じ込められちゃったせい?」


雪康「それもあると思う・・・けれど、こうやって普段話すら出来なかったクラスメイトと当然の様に話が出来たり、一緒に考えて、戦って・・・何か普通じゃ考えられない事ばかりだけどさ、何か良いよな?こう言う生活も・・・」


理央「じゃあ、いっその事、この世界で暮らさない?」


雪康「えっ!?それって・・・?」


理央「なんてね♪・・・最初はショックだったよね!私も泣いちゃって、でも雪康君が慰めてくれた・・・それで私も今閉じ込められたこの世界で一生生活しなければいけないのだろうか?皆を巻き込んでしまった!・・・色々とその時は考えてしまって・・・」


雪康「理央は・・・本当に優しい子だよな!」


理央「そんな事ないよ?」


雪康「そうやって常に人の事を最優先に考えられる、中々そう言う子っていないと思うんだ!」


理央「雪康君・・・」


雪康「小さい頃、よく涼子姉は俺が泣いていたり困っていた時に必ず助けてくれたんだ!いつも自分の事は二の次で、俺が・・・もっと強くなって今度は涼子姉を助けてあげたくて・・・」


理央「雪康君の方が優しいね・・・」


雪康「えっ!?どうしてだよ?ただ涼子姉に憧れて、涼子姉みたいになりたいって思っていただけだよ!」


理央「でも涼子お姉さんもそうだけれど、何て言うか、本当に人の事を大切に考えられているなって私こそ尊敬しちゃう♪」


雪康「理央・・・・・?」




何故だろうか?・・・夜空を見上げながらその様な話をしている理央の横顔を見た瞬間、俺は今迄感じた事が無い気持ちに襲われた・・・

強いその目にはどこかか弱さがあり、切なさもあるが、一つの星を見つめる様な、そんな一途な視線を俺は感じた・・・




宗太「お帰り!どうだった?」


雪康「何がだ?」


宗太「良い感じじゃなかったのかよ!?楠さんと一緒に屋上に行ったんだろ?」


雪康「このゲームの世界に閉じ込められてからの事を少し話してただけだよ!それから、お前の妄想癖を早く治さないといけないなと!」


宗太「だから、俺は妄想癖なんて性癖ねぇよ!!しつこいぞ!お前!」


雪康「そうやって真剣に怒って来る辺りが怪しいがな!ははははは♪」


宗太「まぁ、ここの所お前も疲れていた様に見えたが安心した・・・」


雪康「お前も妙な所で気を使うもんな・・・でも、サンキューな!」


宗太「何か本気で困った事があれば直ぐに言えよな!俺も出来る限り全力で協力するからさ!」


雪康「珍しく似合わないセリフを・・・」


宗太「うるせぇ!!人が良い話してる時に茶化すなよ!」


雪康「あぁ♪何か困った事があれば先ずはお前を犠牲にしてやんよ!」


宗太「そうかいそうかい!まあ、そうならない様に願ってるぜ!」




理奈「ねぇねぇ、理央ちゃん?雪康君に決めちゃう?」


理央「えっ!?突然何の話?」


理奈「もう、照れちゃって~♪皆既に知ってるんだよ?」


理央「何を?・・・」


理奈「雪康君も結構鈍感だって評判だから大変だろうけど皆も応援しているから頑張ろうね♪」


理央「ちょっ・・・どう言う事よ?私、そんなんじゃ・・・」


涼子「至らない子だけれど、本当に芯の強い男らしい所がいっぱいだからきっと幸せな家庭を築いてくれると思うの、だからあんな鈍感な子だけれど宜しくお願いね!理央ちゃん?」


理央「はい・・・こちらこそ、ふつつか者ですが・・・って涼子お姉さん!?乗せないで下さいよぅ~・・・恥ずかしいですぅ・・・・・」


百合「あぁっ!?照れた理央さん可愛いぃぃぃぃ💛」


風華「コラ、百合?何どさくさに紛れて写メ撮ろうとしているのかしら?止めなさい!」


百合「えっ!?ちょっと、風華ちゃん?お願い、今の理央さんの顔可愛過ぎて・・・1枚!1枚だけで良いから撮らせて?・・・」


風華「あぁ~・・・残念だったね・・・今なら私のとっておきの笑顔をプレゼントしようと思ったんだけどもうタイムオーバーだよ!」


百合「嘘っ!?風華ちゃんのとっておきの笑顔なんて何年も見てないよ?私!?」


風華「失礼ね!つい数日前に一瞬見せたでしょ?」


百合「嘘だっ!?私好きな人の笑顔なんて見過ごすはずないもん!風華ちゃんが私に見せてくれた笑顔は2年1か月と10日、3時間29分15秒前だもん!」


風華「それが真実だとすればあんたって本当に怖いわよ!」


百合「その時の写メがこちら!」


風華「はいはい、消去っと・・・」


百合「ふふん♪既にデータは私の家のパソコンのロックを掛けておいたフォルダの中だもん♪」


風華「そう?・・・でもそのパソコンですら今の私たちじゃ見られないわよね?」


百合「ガーーーーーーーン!!!!!」




皆のお蔭で元気も出た♪そして・・・やっぱり告白しようと・・・

雪康君は私の大切な人だ!いつも助けてもらってばかりで、私も何かお返しがしたい・・・

ギブ&テイクと言う言葉がある通り、一方だけじゃなくて相互的に!これが私のスタンス!




翌日・・・




涼子「皆、おはよう!少し一葉ともお話をしていたのだけれど、当初のこのゲームのシステム的な部分も大分変わって来ていると思うし、何か異変もあるかもしれないから一先ず、慎重に動きながら敵を出来るだけ沢山倒して行くと言う感じで行こうと思うのだけれど、どうやらプログラムが仲間に加わったり、実際のプレーヤーさんが敵になっていたりと言う事もあり得るそうなの!だから十分に注意しましょう!」


一葉「はい・・・それも今迄だったら確認が取れたのですが今は見えないので誰が人間で誰がプログラムなのか、敵も味方も判別が付きにくくなってしまっています。ですので私が出来る限り見抜ける様に頑張りますので皆さんもご協力お願いします!」


理央「だとすると、更に時間も掛かってしまいそうですよね・・・」


一葉「はい・・・申し訳ありませんが、色々とトラブルは今後も増えて来てしまうかもしれません・・・それを上手に回避させる為にもご協力を・・・」


雪康「まぁ、仕方ないよな!?こうなっちゃったんだし!今はこのゲームを知り尽くしている人の知恵を拝借って所だもんな!皆も協力しようぜ!」


宗太「あぁ!勿論だ!慌て過ぎて失敗するよりは慎重にして時間が掛かってでもクリアさせた方が良いだろうし!」


一葉「皆さん・・・ありがとう御座います。必ず無事に皆さんを元の世界へ戻って頂ける様全力で努めさせて頂きます!」




必ず・・・ね・・・言う様になったじゃない、あの頃は「恐らく」やら「多分」・・・曖昧な回答しか言えなかったのに・・・いつの間にか成長しちゃったのね・・・まだまだ浅はかさは残っているけれど、きっと凄い人間になれると思う・・・雪康もそうだけれど、一葉?あなたもきっと・・・いいえ、必ず・・・ね!




涼子「じゃあ、早速敵を倒しに行きましょうか!」


一同「おぉーーーーーー!!!」




こうして、更に俺たちは敵をわっさわっさと倒して行き・・・

何日も同じ様な状態が続き、ゲーム内での時間がおよそ1か月程過ぎた!




一葉「おかしいですね・・・」


理央「どうかされました?」


一葉「私のレベルなのですが・・・ね?」


理央「・・・80ですか!?確かレベルって上げ難いって言っていましたよね!?」


一葉「はい!当初の推測から現在の私のレベルを考えるとおよそ55程にしかならないはずなのですが・・・」


涼子「何か操作されている可能性があるって事ね?」


一葉「はい・・・そう言う事になるかと・・・」


涼子「皆、集まりましょう!」


雪康「どうしたんだ?」


涼子「一葉ちゃんのレベルが当初考えていたより遥かに上回っているの!」


宗太「と言う事は・・・まさか!」


涼子「えぇ!現実世界の誰かがこのゲームを操っている・・・だとすれば状況も悪くなっているかもしれない・・・」


理央「レベルが上がると言う意味では好都合ですが敵やクリアに関して難関が待ち受けている可能性がありますよね?」


一葉「はい・・・ただ、最後のボスの調整は私しか出来ないはずです!それ迄の操作は誰かが出来る可能性はあります!」


百合「ちなみに最後のボスの難易度はどうされたのですか?」


一葉「うん、従来より2.5割増しかな?(・ω<)」


百合「やぁぁん♪お姉さま・・・き・ち・く💛」


涼子「はぁぁぁ・・・理由が理由だから本来怒るべき所では無いと私も耐えていたけれど、その態度・・・許せないわ!・・・一葉?夜、宿屋の屋上に来なさい!?思いきりお仕置きしてあげるから!!」


一葉「あぁぁぁぁ💛はい!ごしゅ、いえ、お姉さま💛」


百合「何!?何!?「ごしゅ」って?まさか!?ご主人様って言おうとしたの!?」


風華「頭痛くなって来ちゃった・・・帰っていい?宿屋だけど・・・」


百合「大変!!風華ちゃん大丈夫?早く一緒に宿屋に帰ろう!?看病しなくちゃ!」


風華「ううん!そこ迄至っていないから大丈夫・・・いいから私1人にしておいてくれない?」


百合「そんな・・・でも風華ちゃんがそう言うなら・・・」


涼子「あの・・・誤解されている様子だから言っておくけれど、お仕置きって普通にお尻ペンペンしているだけだからね?勘違いしないでよ・・・ね?」


雪康「嘘を付く時の涼子姉のツンデレ隠しだ・・・」


宗太「それって、つまり・・・?」


雪康「それ以上聞かないでおこう!俺も流石にあらゆる意味で怖くなって来たから・・・」


宗太「だろうな?・・・俺にも姉ちゃんがいたらお前と同じ事言っていると思う・・・」


理奈「宗太は私にお仕置きされてみたいの?」


宗太「どわっ!?何でお前に・・・」


理奈「だって♪・・・ね?・・・💛」


宗太「本当、釣られるなよ!・・・実世界に戻ってからだよ・・・そんな事・・・」


理奈「やった💛」


雪康「おいおいおい・・・勘弁してくれよ・・・染まり過ぎだろ?このパーティー・・・」






カフェテラスにて・・・




雪康「でもさ、何か操作されているとすれば、当初俺たちが懸念していた敵に倒されちゃったら実世界の俺たちの「命」ってどうなるのか?って所も気になっていたのだが・・・」


一葉「それはご安心下さい。いくら悪い事をしている輩が操作していたとしても人体に何か悪影響を及ぼすと言う事は絶対にあり得ませんので。」


雪康「それって言い切れるの?」


一葉「はい!ゲーム内での操作は実世界の体とは本来かけ離れているもの・・・ですが今回の様に意志がこちらの世界へ憑依した形になりました。ですが現実世界での生身の体がこちらの世界へ来る事はありません。即ち人体に何かしらの悪影響が及ぶ可能性はあり得ないのです!ただ・・・」


雪康「ただ?・・・」


一葉「先にもありましたが、人の精神を操ったり、自分の手駒とする事は可能なのです。私も一度宗太さんを手に掛けましたし・・・あれはアイテムじゃなく、一種のマインドコントロール・・・ですので出来る限り皆さん一緒に行動する方が良いと思います。誰かの隙を敵に見られてしまうとそこをつかれてしまいますので・・・」


理央「そうですね・・・皆で一緒に行動する方が敵も下手に動けないでしょうし・・・」


雪康「じゃあ、これから先、出来る限り俺たち一緒に行動しよう!・・・と言いながら俺のレベル今確認したけどさ、90になってるぞ!?スゲーな!!」


百合「私も85になってます!」


風華「私もだ!87だって!?」


百合「あれ!?どうして?一緒に同じ様な感じで戦っていたのに?・・・」


一葉「職業の違いでしょうね・・・同じ経験値でも職業によって少しレベルの上がる為の経験値の数値が違っているのです!ですがこれもメリットとデメリットがあります。上がり難いけれど、その分強さが大きかったり、逆に上がりやすい分何処か他の職業とは弱い面があったり、全体的にはそれ程大きな違いはありませんし、50を越えて来るとご存じかもしれませんが、あまり大きな差が出なくなります!」


雪康「そう言えば最初の方で聞いた気がする・・・とりあえず白石さんも俺たちと近づいているからもう大分安定感が出て来たよな!これなら何とかなるかもしれないな!」


涼子「まぁ、本来ならそうなのでしょうけれど、くれぐれも油断だけはしないでね!何が起きても不思議じゃないし、この間の様に誰かが又操られてしまっても困るから・・・」


雪康「あっ!?後、99以上は課金って聞いてたけど、俺たちどうなっちゃうのかな?」


一葉「はい、課金はしなくてもそのまま上がる様に設定していますのでご安心下さい!」


雪康「よっしゃ!MAX目指すぞ!?」






こうして、新たに仲間に加わった白石さんも交えてレベルもかなり高くなって来た!

実世界での黒幕の正体、そして悪事を暴いて、一刻も早く元の世界へ戻って見せる!

そして・・・そして?・・・何か分からないが俺は実世界に無事に戻れたらしなくちゃいけない事がある様な気がして来た・・・でもこの時の俺はそれが何なのか分からない・・・

でも、凄く重要で、俺の人生に関わる様な事の様な気がする・・・















第6 GAME END

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