カリン1-6
「カリンちゃん..」
「英二、さん」
カリンちゃんは俺を見つけたと同時に座り込み、顔を沈めた。
俺はカリンちゃんと背中合わせになるように座った。
「......」
「......」
暫く静かな時間が続いた。
そして、カリンちゃんが。
「英二さんは、秘密、持ってますか?」
「ああ。持ってるよ。どうって事ない秘密や、カリンちゃんと同じで聞かれたくない秘密も」
「..そうですか。じゃあ..」
「勿論、聞かれた事もあるよ」
あれは確か高校の時だったな。向こうにしては本当に素朴な疑問だったのだろう。それが俺の聞かれたくない秘密だと思わず。
「なんて、答えたんですか?」
「話したよ」
「えっ?」
カリンちゃんは沈めていた顔を起こした。
「そんで、そいつとの関係は崩れたよ」
「どうして、そんな事したんですか?」
「...俺はあいつを、親友だと思ってた。だから話した」
「けど..」
「ああ。あいつは俺の事を親友だと思ってなかったんだ。それに、秘密の1つや2つで崩れるなんて、その程度の関係だったんだ。勿論カリンが秘密にしている事を仮に2人に言ったとしてもその関係は崩れないと思うよ」
「どうして、そんな事が言い切れるんですか?」
「2人ともカリンちゃんの事が大好きだからだよ」
「私の、事が?」
「うん。それにもう分かってるんでしょ。カリンちゃん」
「....やっぱり、英二さんは凄いですね」
カリンちゃんは立ち上がり。
「英二さん。戻りましょうか」
「そうだね」
◼◼◼
ガチャ
「2人とも。ただいま~」
シアちゃんとニーナちゃんが玄関に向かって走ってきた。
「お帰り!お兄ちゃん、カリンお姉ちゃん」
「..お帰り」
やはり、少し気まずいのか、シアちゃんの言葉が少ない。
「..えっと、カリン。さっきは、ごめん」
「シアちゃん..」
カリンちゃんは玄関を上がり、そしてシアちゃんを抱きしめた。
「こっちこそごめんね。シアちゃん。私、その..」
「気にしないで。あれはシアが、わるい」
「でも..」
「いいんだよ。カリンお姉ちゃん」
「ニーナちゃん」
「カリンお姉ちゃんのおかげで、皆の知らない事しれて、仲良くなったんだよ。それでいいじゃん。それにさ、さっきのゲーム、仲良くしないとダメ!って言ってたから。だから..」
「..そう、だね。シアちゃん。これからまた今日みたいに同じ事があるかも知れないけど、私と仲良くしてくれる?」
「うん!シアもまた聞いちゃうかも知れないけど、カリンとは仲の良い関係でいたい!」
「それじゃあ、ゲームに戻ろう!シアっち、カリンお姉ちゃん!」
「「うん!」」
◼◼◼
「ねぇ、えーじ、このマスまだ何か書いてるよ」
「えっ?」
マスを見ると確かに書いてあった。
仲良くなったらゴール前のマスに移動。と。
何このゲーム。俺たちの事見てるの?
ちょっと、怖い。
「えっと、じゃあ3人ともゴール前に移動だね」
ゴール前のマスにいくとそこにはこう書かれていた。
『彼に大好きの気持ちを伝えよう!』
※伝えたら、皆仲良くゴールだ!
「じゃあ、シアから。..えーじ、大好き、だよ」
「ありがとう、シアちゃん。俺もシアちゃんの事大好きだよ!」
な、なんと言うか、恥ずかしいな。
でも、こうやって言葉にしてもらえるのってやっぱり嬉しいな。
「次はニーナ!えーじお兄ちゃん!大好き!」
「ありがとう、ニーナちゃん。俺も元気なニーナちゃんが大好きだよ!」
「皆に優しい英二さんがだ────い好きです!」
「ありがとう、カリンちゃん。俺も優しいカリンちゃんが大好きだよ!ってカリンちゃん、急に抱きつくの禁止!」
「カリン、ズルい。シアも」
「あっ!ニーナも~」
こんな可愛い子達に囲まれて俺は本当に幸せだ!
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