カリン1-5

 5

『なでなでしてもらう』


 なでなで。


「えーじ。もっと」

「わ、分かった」


 なでなで。


 6

『彼にキスしてもらおう!(ほっぺたに)


「ニーナ、ずるい」

「シアっちも次したらいいじゃん」

「むー。絶対、そのマスにとまる」


「じゃあ、お兄ちゃん。キス、して」

「う、うん」


 俺はゆっくりとニーナちゃんのほっぺたに近づき、軽く唇を当てた。


「えへへっ。お兄ちゃん、ありがと」


「さぁ、私もキスのマスに!」


 3

「カリン、どんまい」

「ま、まだですわ。内容によっては」


『デートの約束をしよう』


「や、やりました!」


 デートの約束がそんなに嬉しかったのか、ぴょんぴょんと跳び跳ねるカリンちゃん。


「そ、それで、カリンちゃん」

「そうですね。えっと、英二さん。今度私とデートしてもらえますか?」

「いいよ」

「や、約束ですね!」

「勿論、ちゃんと約束は守るよ」


 6『他の子と仲を深めよう』

 4『他の子と仲を深めよう』

 5『他の子と仲を深めよう』


 3人とも同じマスに止まってしまった。


「仲を深める?」

「これ、何したらいいのかな?」

「遊ぶ、と言っても今やってますし」


 なんと言うか中々難しい条件だな。


「それぞれ知らない事を聞いてみたら?」

「それ、いいかも」


「では、私から。シアちゃんは普段どんな本を読んでるの?」

「物語が一番多く、読んでる」

「どんな物語?」


「童話とか、あとらのべ?とか言うやつも最近読みはじめた」

「えっ?」


 俺は思わず声を出してしまった。


「えーじ、知ってるの?」

「い、一応ね」


 学生の頃はよく読んでいたけど、社会人になると読みたくても読めなかったな。


「こんど、貸してあげる」

「ありがとう!シアちゃん」


 一体どんな本なんだろう。


「ねえ、カリン

「お、お姉ちゃん?」

「あれ?お姉ちゃんって呼んじゃダメだった?」

「そ、そんな事ないよ。ちょっと驚いただけ。むしろ..嬉しい」


「じゃあ、カリンお姉ちゃんって呼ぶね!」

「う、うん!」

「それで、カリンお姉ちゃんはどこに住んでるの?」

「私はね、この森の先の町に住んでるの」


 へー。この先に町があるのか。いつか行ってみたいな。


「そんな遠い所、から何で来たの?」


 確かに。わざわざこんな森の中に来る目的は何なのだろう。

 遊びに来た?

 うーん。普通、森に遊びに来るか?


「ここに来た理由?そんなの決まってるでしょ。英二さんに会いに来る為よ」


「それは、おかしい。何でえーじが居るって、知ってるの?」

「そ、それは....」


「ねぇ、カリンちゃん─『外の空気、吸ってきます』─あっ」


 そう言って、カリンちゃんは家から出ていった。


「お兄ちゃん。カリンお姉ちゃんを追いかけて」

「えっ?」

「早く!」

「わ、分かったよ」


 俺は急いで外へと向かった。


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