ニーナ1-5

「えーじ!ニーナ!」


 雨の中、俺たちはなんとかニーナちゃんの家へ帰ってきた。

 シアちゃんは慌ててリビングへ戻り、タオルと着替えを持ってきてくれた。


「ありがとう。シアちゃん。はい。ニーナちゃんも」

「あ、ありがと。...着替えてくる」

「うん」


 ニーナちゃんはリビングへ入っていった。


 俺もしっかりと水分も拭き取り、持ってきてくれた服に着替えた。柄、サイズはまったく一緒。

 多分このこの家にもあるんだろう。あれが。

 着替え終わり、リビングのドアの前で待っているとシアちゃんが開けてくれた。


「えーじ、いいよ」

「ありがとう」


 リビングの中に入ると着替え終わったニーナちゃんがソファーに座っていた。


 先ほどの髪型とは違い、真ん中の結びをほどき、今はショートボブになっていた。

 元気な女の子って感じからとても可愛らしい女の子感じがする。


「それで、話ってなに?ニーナ」


 俺が入る前に事前にシアちゃんに言っていたのだろう。


 ニーナちゃん。頑張れ


「えっと、ね。......ニーナはシアっちの事、友達だと、思ってる。シアっちは...ニーナの事どう思ってる?」


「......わ、わからない」

「えっ?」


「前ね。本で友達ってなんだろうって調べたの。そしたら、友達は一緒に遊んだり、ケンカしたり、思い出を分かち合う関係って書いてあったの。でも、シアは......ニーナと遊んだり、ケンカしたりしてない。だから、シアは友達って言えないと、思う」


「...そっか」


 そうだよね。シアっちとは遊んだ事もないし、ケンカもした事もない。いつも話してるのはニーナだけ。シアっちは聞いてるだけ。

 きっと、うざいって思ってるだ。


 悲しいけど、シアっちの気持ちが聞けてよかった。


「でもね、シア友達がいないから...最初の友達はニーナがいいな!」


「シアっち、それって...」

「ニーナ、シアの友達になって、ほしいの」


 ニーナちゃんはゆっくりとシアちゃんに近づき、抱きついた。


「ほ、本当に友達になって、くれるの?」

「うん」

「いっぱい遊びにいくし、日が暮れるまで話すよ」

「大丈夫。たまにえーじに任せる」


 えっ?


「シアっちにいっぱいめーわくかけるかも、知れないよ」

「別にめーわくなんて思わない。...多分。それにシアの方こそ、ニーナを困らせるかもしれない」

「その時はお兄ちゃんに頼ろ」

「そうだね」


 結局俺なんだね。まぁ、二人に頼られるのは嫌じゃ、ないけどね。


 ニーナちゃんははシアちゃんから離れ。


「これからよろしくね。シアっち」

「うん。よろしく、ニーナ」



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