ニーナ1-4

「それじゃあ、おにーさん、行こ」

「あ、ああ」


 俺たちは今外に来ている。

 ニーナちゃんが選んだのは、外で散歩する場面だ。


「あっ、シアっちは着いてきちゃだめだよ」

「どうして?」

「だって、これは2人だけの場面だよ。他の人がいたらおかしいじゃん」

「それだったら、さっきニーナ、シアの時いた」


「うん。でもシアっちはここにいないでって言わなかったじゃん」

「......分かった。シア、待ってる」


 そう言って、シアちゃんはニーナちゃんの家へ戻っていった。


「ごめんね。ニーナちゃん。俺の頼み聞いてもらって」

「ホントだよ。これでシアっちに嫌われたら責任とってよね」

「善処するよ」


 ◼◼◼

「それで、話って何?おにーさん」

「まずは、昨日はありがとう。ニーナちゃん。君が居なかったら、シアちゃんを見つけ出せなかった。ホントにありがとう」


「そんなたいした事してないよ。...それに、おにーさんなら、ニーナがいなくても、シアっちを見つけられたはず。ニーナは早く見つけられる様に手助けしただけだよ」


「そんな事ないよ!」

「おにーさんは優しいね。......ねぇ、おにーさんはシアっちの笑った顔、見たことある?」

「あ、あるけど...」


「ニーナはね。見たことないんだ。だから、おにーさんが羨ましい」

「ニーナちゃん...」


「もし、ニーナが困ってたら、おにーさんはシアっちの時の様に助けてくれる?」


「えっ?」


 ポツ


 鼻先に一粒の雫が当たった。

 それが合図と言わんばかり空から雨が降り始めた。


「ニ、ニーナちゃん、戻るよ」


 俺はニーナちゃんの手を取り、来た道を戻ろうとしたが、手を離されてしまった。


「ニーナね。シアっちの事、友達だと思ってるんだ。…でもね、シアっちはニーナの事なんとも思ってないのかもしれないって感じるんだ」

「……どうして、そう思うの?」


「だって…ニーナと一緒にいても楽しそうにしてない。唯一それがあるのは。おにーさんと一緒にいる時。もしかして、シアっちはニーナの事嫌いなのかな…」


 シアちゃんはあまり表情を出さない。けど...


「直接聞いてみたらいいじゃない。『ニーナと一緒に居て楽しい?』って」

「...そんな事、聞けるわけない。もし、本当に楽しくないなら、ニーナは1人になっちゃう」


 1人。ニーナちゃんもそうなのか。


「でもさ、言わないと伝わらないよ」

「......」


「俺もさ、何度かあるんだ。そういう事。当たり前の事だから相手も分かってるだろう。そう思ってても、実際は伝わってない。だから、ニーナちゃんの素直な気持ちをしっかり伝えれば、シアちゃんも答えてくれるんじゃないんかな」


「本当に、そう思う?」

「ああ。それに、もし、関係が崩れたなら、俺が責任をとるよ。なんたって俺はニーナちゃんのお兄ちゃんだからな!」


「お、

「さぁ、戻ろう。そんでもってシアちゃんに伝えるんだ。ニーナちゃんの気持ちを」

「うん!お兄ちゃん!」


 晴れ間が出てきた空の中、俺たちはニーナちゃんの家へと戻っていった。

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