ニーナ1-3

「えっと、どういう事?」

「話は後で。とにかくニーナの家に来て」


 手を取られ、引っ張られる様に連れて行かれる俺。しかし急に動きが止まった。


「待って。…えーじは、渡さない」


 シアちゃんがもう片方の手を握っていたり


「どうしても?」

「うん。ニーナにシアの大切な人、絶対に渡さない」


「そっか。じゃあ、シアっちも一緒に来なよ。それならどう?」

「…わかった」


 どうやら話がまとまったようだ。

 それにしても二人ともやけに親しいな。


「二人は知り合いなの?」

「うん。よく、ここら辺で騒いでるから、知ってるの」

「騒いでるって失礼だよ!シアっち。あれは遊んでるんだよ」


「そう。でも今はそんな事、どうでもいい。早く、家に案内して」

「はい、はい。まったく、シアっちはせっかちだな~」



 ◼◼◼

 丘から5分ほど歩いて着いたのはニーナちゃんの家?だった。

 シアちゃんが住んでる家より少し小さいがとても立派だ。

 中に入るとシアちゃんの家同様で中央はリビングで奥に2つの扉があった。違う所があるとすれば2階がない事ぐらいだ。


 俺たちは左の部屋に案内された。

 部屋には沢山の漫画があった。

 タイトルを見る限り兄妹物が多く感じる。と言うか全部兄妹物じゃん。


「それで、ニーナちゃん。俺にお兄ちゃんになってってどういう事?」

「えっと、実はね。この漫画みたいな事してみたいの!


 渡された漫画はやはり兄妹物だった。

 読んでみると、内容としては妹は兄が大好きすぎて、異性として見てもらう為頑張っていくと言う話だ。


「これを俺とニーナちゃんがやるの?」

「そうだよ。...もしかして、おにーさん、いや?」


「別に嫌じゃ─『やらせない!』─シ、シアちゃん?」

「も〜。シアっち。邪魔しないでよ。何もしかしてシアっちもやりたいの?」


「......やりたい」

「あはっ、素直なシアっち嫌いじゃないよ。いいよ。シアっちも一緒にやろ」


「あ、ありがと」


 この2人仲がいいのか悪いのか分からないな。


 ◼︎◼︎◼︎


 やる内容としてはそれぞれ漫画から選ぶらしい。ただし、俺がOKを出した場面だけだが。

 まぁ、セリフを覚えるなければいけないのでやれるのは1場面ぐらいが限界だと思う。


 それぞれ場面を選び、準備が整ったのは1時間後だった。


「えーじ、じゅんびはいい?」

「大丈夫だよ、シアちゃん」


「じゃ、じゃあ......お、お兄ちゃん」

「ど、どうしたんだ」


 シアちゃんにお兄ちゃんって呼ばれるのってなんだかこそばゆいな。


「あのね、あのね、お兄ちゃんにべんきょう、教えてほしくて。...ダメ?」

「可愛い妹の頼みだ。断る訳ないだろ」

「あ、ありがと、お兄ちゃん」


 作中では勉強を教えているが、今回は教えている振りをするらしい。


「ここは教えてほしいの」

「おっ、どれどれ」


 簡単に教える振りをして、と。


「あっ、じゃあ、ここを、こうしたら...」 

「お~。正解。シアは賢いな~」


 俺はシアちゃんの頭をなでなでした。


「お、お兄ちゃん。もっと、して」

「まったく、シアは甘えん坊だな~。ほら、こっちにおいで」


 シアちゃんは俺の膝に座りだした。


 撫でやすいように頭の位置を移動さしてくれ、そして、シアちゃんの頭を撫でる。


 夢中になって撫でているとある事に気づいた。

 ニーナちゃんがこちら見ている。『早く終わって』と言っているかの様に。


「さ、さぁ、勉強を再開するぞ」

「う、うん」


 ◼◼◼

「なんなの。2人とも見せびらかしたいの?」


「ち、違うんだ。ニーナちゃん。これは癖と言うか...」

「ニーナも、されれば、分かる!」


「別に、分かりたくないよ。それより、次はニーナの番だからね!早く準備して、お兄さん」

「わ、分かった」



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 どうも。穂志上ケイです。溜め込んだ小説を頑張って書き出しています。バイトがない日は上げていこう思います!

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