シア1-7
薄暗い森を歩いて、ようやく俺たちは家へと戻ってこれた。
落ちそうになるシアちゃんを再度おぶり直し、玄関のドアを開けた。
「......ん。えーじ?」
「あっ、ごめん。起こしちゃたね」
俺はゆっくりとシアちゃんを下ろし、靴を脱がした。
俺も靴を脱ぎ、リビングへ向かおうとするとシアちゃんが─「えーじ......ベッドまで運んで」
「わ、分かったよ」
俺は再び、シアちゃんをおぶろうとするが...
「えーじ、ちがう。お姫様だっこ」
「えっ?」
お、お姫様だっこって、あれだよな。横抱きのあれだよな。それをシアちゃん......
しかも、ベッドまで運ぶとか、もう──
あー、もうやけくそだ。こうなったら。
「......分かったよ。シアちゃんが望むなら...どんな事でもしてあげるよ!」
俺はシアちゃんをそっと抱き上げ寝室のベッドへと向かった。
ドアを開け、ベッドの方へ向かい、シアちゃんをゆっくりとベッドに下ろした。
そして、俺もベッドへごろりと横たわった。
「え、えーじ?」
シアちゃんの顔を見ると微かに赤くなっている。どうしたんだろう?
それよりも、なんと言うか......むちゃくちゃシアちゃんの顔が近い。やっぱり一緒のベッドだと......
「一緒の部屋でいいんだよね?シアちゃん」
「......う、うん」
するとシアちゃんはごろりと反対の方へと向いてしまった。
「ねぇ、えーじ」
「何?」
「ありがとね。えーじがこの世界に来てくれてうれしかった。だってね、えーじと逢うまで、シアずっとひとりぼっちだったの。だからね、ありがとう」
「俺もシアちゃんと出会えて良かったよ。だって、こんなに可愛い子と一緒に暮らせるんだ。そんな幸せ一生来ないと思う。だからこちらこそありがとう」
「......えーじ」
「そ、それじゃあ、おやすみ」
「う、うん。おやすみ」
こうして俺とシアちゃんの初めての1日が終わった。
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