第7話

幽霊って、なんでそんなことを今言うのだろう?

「幽霊? それってなんか関係あるのか?」

「いいから、信じるか答えて!」

彼女は乱暴な口調で言ってきた。ただ、子供が拗ねたようにも見えなくもない。

僕は少し考えてみる。そんなことはあまり考えたことが無かった。なにせ、幽霊なんてものを見たことが無かったから、考える必要が無かった。

「どちらかと言うと、信じるよ。僕は」

直感で僕は答える。

「そう……」

彼女の小さな声がギリギリ聞こえた。

僕が彼女の顔を見てみた時、彼女は微笑んでいた。可愛らしくも見えたし、恐ろしいとも感じた。僕は、ただならぬ恐怖を感じた。

なんだか嫌な予感がする。

僕の足は、一歩、二歩と、後ろに後ずさる。

シィーーン。

しばらく沈黙が続き、その時間は、僕の精神を不安定にさせる。

正直、もう帰りたい。ここから逃げ出したい。そうでもしないと、ここの空気によって頭がおかしくなりそうだった。発狂しそうだった。

「はぁ、はぁ」

あまりの苦しさに、呼吸が乱れてくる。呼吸困難になりそうだ。やばい。何もしていないのに、どっと疲れてくる。やったことと言えば、さっき投げた時に全力疾走したことくらいだ。

しばらくして、彼女の口が開く。

「名前は、枯尾花威吹鬼かれおばないぶき。私は幽霊。天涯孤独の幽霊」

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