第2話性格

 僕はいつでも竜頭蛇尾だ。

 初めは何かやろうと思ってやったことも、最後には、必ずあやふやになって終わるのだ。つまり、最後までやりきれない人間なのだ。

 そんなことを言うと、僕の人生はダメダメだなぁ、とか思うのだが、その時は、「しょうがない。人間だから」と思ってしまうのが本音だ。

 最初にも言ったが、つまり僕には操が無い。

 はっきりと何かをしたいと思うわけでもなく、ただその時の気持ちに流されるままに生きてしまっている。しかし、そんな僕でも変わりたいと思うのだ。最近ずっと思っている。珍しく考えを貫いている。まぁ、思ってるだけで行動はしないのだが……。そんな僕は、ただ一つのその思いを実現したい。

 

 ここで自己紹介をしようと思う。僕の名前は熊野御堂琉鬼くまのみどうりゅうき。高校一年生。なかなかかっこいい名前だ。正直言って、自分でも気に入っている。熊と鬼という組み合わせが、何とも言えず良い。親に感謝しなくては。

 話を戻そう。僕は、ただ一つの思いすら行動に出来ないことに嫌気が差して今、とあるショッピングモールに向かっている。そこは最近潰れたばかりのショッピングモールだ。しかもかなり大きめの建物だ。こんなにも大きいのに、何故潰れたのかは分からなかったが、仮説をたてることは出来た。ここのショッピングモールには最近客が来ないのだ。その訳は、すぐ近くの、歩いて一分くらいのところに新しいショッピングモールが出来たからだ。それも、今は廃墟となったショッピングモールよりかも大きなものだった。しかし、それは決して、このショッピングモールが潰れる原因となるとは思えないのだ。何故ならば、客は入っていたからである。建物は確かに古くて、新しいショッピングモールよりかも小さかったとしても、少し客が減ったくらいで、安定はしていた。しかし潰れたのだ。この話は、この地域の住民の中でも話がされている。しかし、分かるものはいない。謎めいているのだ。

 僕は、その謎のあるショッピングモールに向かっている。自殺しに。さっきまで親に感謝しなきゃとか言っていたのだが、それは出来ないらしい。僕は、親に恩を返すのではなく仇を返すらしい。自分のことなのにはっきりしない。ついため息が出てしまう。

「本当、どうしようもない人間だな」

 そんなことを思いながら歩いていたら、ショッピングモールについていた。ショッピングモールだけあって、屋上の駐車場から飛び降りたら、僕なんか確実に死ねそうだ。そのショッピングモールの中に入り、エレベーターやエスカレーターが動いているわけではないから、階段で登る。

 僕は今から死ぬのか。

 そんなことを考えて階段を上っていたら、段々と怖くなってきた。ガタガタと足がすくんできてしまった。そしてついには歩けなくなり、三階と二階の間の階段のところで膝をついた。

「僕なんか自殺なんてもの出来るわけがない」

 自殺するかしないかをはっきりと決心せずに、なんとなくここまで歩いてきてしまったのだ。こんな僕の性格だから、歩いているうちに自殺する決心つくのだろうとか軽く考えていた。自殺も簡単ではないのだと知った。半分くらい絶望した。何故、完全に絶望しないのかというと、自分の嫌だと思っていた性格に自殺を止められたからである。なんとも皮肉な。だが、役に立つのだなと少し嬉しかった気持ちも半分だった。

 それでも、自分のこの性格が嫌だから自殺したい。もちろん、決心などしていないので、自殺する勇気がない。どうしようもなくて、辛くて死にたかったのに、それすら許されなかった。

 僕はしばらくして立ち上がり、ショッピングモールをうろうろと歩き出した。ショッピングモールの中は暗くて怖かったが、何故が足が動くのだ。自殺の決心でもつくと思っているのか、帰って寝たいと思っているのか、自分でも分からなかったが、僕は甘すぎる。

 ここに来て一時間くらい経ったか? さっきから優柔不断な僕は、うろうろと歩き続けていたのだが、突如足が止まる。

 僕は、目の前に集中する。

 目の前に人影がある。ここの店員かなと思ったが、廃墟になったショッピングモールにいるはずもないので、ますます何なのか気になった。正直言うと、怖さの方が強かったと言っていい。その証拠に、足が震えていた。しかし、足は恐怖で動かない。居るはずもないのに人影がある。そしてついに、その人影はこちらを向いた。

 今思うと、これは僕の性だったのだろう。決められた運命の如く、その人影のある方へ足を運ぶ。段々と顔が見えてきた。そして僕は驚いた。何故なら、この場所には似つかない、天使の輪を頭の上に浮かせた少女が居たのだから。

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