愚業者物語

高柳の神

第1話プロローグ

「本番まで、さん、にー、いち」

 そんな声が、何処からか突然聞こえてきた。

「ぜろぉ」

 何かが始まるようだ。

「はっ? えっ? ちょっと」

 いきなりだったから僕は戸惑い、そこに立っていた。

「さぁ、あなたが主人公の物語が始まります」

 この僕が主人公? 笑わせないでくれ。ついさっきだって、はっきりとしない行動をしていた僕が主人公だなんて、務まるわけがないだろう。ただでさえ、操が無いのに。

 しかし、そんなことを思っていても、物語は進んでいく。

 始まるのだ。どうしようもない、僕の物語が。

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