第20話(組織の説明とかの回)
「で、どうなったんですか?」
堪らず聞いてしまう。
まあ今の茂武さんの様子を見れば一目瞭然なわけだが、やはり聞いてしまった。
「俺の様子を見ればわかるだろ?返り討ちだよ、ボコボコのボコボコに。」
「でも、そんな武器の包囲網とも言える状況で逃げ延びられる能力となると、とんでもない敵が出てきたと言えますよね。」
聞いた話によると、少なくとも前方は全方向封鎖された状態。後方に逃げるにしても茂武さんたちの投げた石たちの進行方向的にかなりのスピードで避ける必要がある。かなりの手練れと言えるだろう。
「あ〜、それがな。どうも『避けた』って感じじゃねぇんだ。」
「それってどういうこと?」
「俺たちの投げた瓦礫たちがアイツに当たった瞬間に『跳ね返って』きた感じなんですよ。厳密には速くなっていやがりましたけど。」
「跳ね返す能力……テンプレですね。」
ラスボスがよく使う能力で、使い古された感がありありの能力ではあるが、やはり戦うとだいぶ苦戦を強いられるだろう。ラスボスになるぐらいだ、それなりに強いことはわかっている。
正攻法は僕の能力でほとんど能力が機能していないような状態まで『落とす』か他に『能力を消す』みたいなものを使う人が現れたとしてその人にやってもらうぐらいだろうか。
「ふぅ、ここで何か話をして状況が変わるわけではないですし……、わかりました。報告はもう十分です、戦闘お疲れ様でした。」
「姐さんのお役に立てたなら、」
非常に歯切れの悪い終わりかたになってしまった感じはあるが、致し方ない。相手の能力を割り出すには情報が少なすぎる。こういう相手の能力が分からない状態での戦闘は非常に危険だ。
今日のところはこの話はおしまいといったところか。
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「で、色々あったけど本来の目的でもある部署の見学にいこうと思います。」
「そういえば、本来の目的を忘れるところでした。」
「ぶっちゃけ、君の向かっている部署は『MTB』の数多いる構成員の中でも相当なイロモノが集まるところだからね、心してかかった方がいいよ。」
「そんなにですか……」
歩きながら『MTB』の構造(人員の関係的なもの、建物ではない)などを教えてもらっていた。
基本的にこの組織は3人の『ボス』とそこから連なるそれぞれ3人ずつぐらいの『幹部』が根底を担っている。
基本的にこの組織は序列というものがそのまま組織内での地位に反映される。そしてこの序列は仕事の量や、それによる『MTB』への貢献度をポイントのように貯めることでその量などを使い優劣を決定する。
つまり、たくさん貢献すればするほど地位は高くなる。非常に原始的でわかりやすい仕組みだ。
そしてその貢献の時にもらえるポイントのようなものはボスや幹部から依頼される仕事をこなした量、そしてその質によって決まる。
「仕事って言っても色々あってね、それこそ基地の掃除なんていうアルバイトじみたものから、資金の調達、敵組織との交戦なんていったTHE 異能世界みたいなものまで。」
「えっと、この組織は強盗とか犯罪系はしてないですよね……?」
「?あぁ、資金の調達っていうのはそういう法に触れるようなことじゃなくて、むしろ逆かなぁ……」
「逆?」
「うん、国に害獣指定された動物を森に行って狩ってくるの。通常は武器の申請とか、罠の免許とかめんどくさいことがあるんだけど、能力者だからそこらへんをカバーできちゃうの。それなりに稼げるし、まさに戦闘系能力者の天職だよね。」
さすがにそんな悪いことはしてないか。
それにしても聞けば聞くほどよくできた仕組みだと思い知らされる。
何年かかけて修繕を繰り返したのだろうか。だとするとこの組織はどれぐらい前から存在してるんだろう。
それを質問しようとした時だった。
ドゴォォォォォォォォ!!
腹の奥、横隔膜の方から僕の体全体を震わせるような振動が響く。
「敵襲ですか!!」
とっさに身構える。
昨日の今日だからか、非常に戦闘隊形に入るまでの時間が短くて済んだ。
そんな僕とは対照的に、綺柳さんは頰とこめかみを同時にピクピクさせながら額に三本の指を当ててウンザリしたような仕草を全身全霊をもって表現しながら答える。
「いや、多分君の先輩になる人たち。」
「へ?」
鈴木奏真高校二年、入社役20時間目にして会ったことのない上司に早くも不安が隠しきれません。
異能飛び交う世界で僕はテスト勉強を欠かさない〜成績を落とす能力、実は最強〜 武田凛 @watakatouka
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