第15話(ついに接触回!!)
「今日の会議も相変わらずつまんなかったにゃ〜」
「なんですか突然、似合わない語尾をつけちゃって。」
『MTB』の上層部の会議が終わった後、姫夏伊好は絡まれていた。
「だってさ、俺たちってサブキャラっぽくね?」
「そうですね。特に微妙にTOP3に入ってない序列四位さんとかはみんなの記憶からよく抜け落ちてますよね。かといってあからさまな語尾をつければ記憶に残るというわけでもないんじゃないですかね。」
「ウンウン、相変わらず君は師匠の性格を綺麗に受け継いで毒舌キャラがすっかり定着しているね。俺の名前を全く出してくれないところがまた意地悪だ。」
「すいませんあなたは誰ですか?」
「まさか素で忘れてただけ?!」
はぁ。この人は毎回毎回めんどくさい。
「で?何が言いたいんですか?序列四位の
「そこは
「要件がないなら帰りますけど?」
「悪かった、悪かった。君の師匠から伝言を預かっていてね。」
「師匠からですか?」
「なんでも、君が見つけた新人君らしき人を担当することになったらしい。成功すれば晴れて君も姉弟子だね☆」
「あの、うざいんでその語尾に『☆』がつきそうなキャラもやめてくれますか?」
「やっぱり君はあいつの弟子だ。」
「笑ってるあたりやっぱりあなたはドMですね。」
あ、その引きつった笑顔もキモいのでやめてください。
・・・・・・・
・・・・
・・
・
【奏真視点】
「あ、あれは仕方がなかっただけなんだからねっ!」
「わかってるわかってる。で、お前に聞きたいんだが、その能力についてどう思う?」
顔を真っ赤にして叫ぶ少女と、適当にあしらう少年。
そのバックで背景と同化しながら無心にせんべいとクッキーを交互に食べながらクッキーを恨みを込めて睨め付ける少女に、その隣でウトウト首を揺らす幼女。
本当に、柚瑪村と額をくっつけるのは苦労した。あいつじっとしてくれないからな。
お陰で神さま勢がもうめんどくさくなってる。
「ど、どうっていうのは?」
「僕たちは今、能力者として戦いに参加する、もしくは強制的に参加させられるだけの理由ができてしまった。そこを生き延びられるか、つまりは戦いに使えるかどうかってことだ。」
「そういうことなら、私は使えると思う。」
「根拠は?」
「この世界は光で溢れている。というかまず、光がなかったら視覚でものを認知するなんて不可能のはずでしょ?」
「僕と同じ考え。さすがだ柚瑪村。」
「な、なんてことないわよっ!」
「すまん、先ほどの発言に『落ち着いていれば』を付け足したい気分だ。」
「と、ともかく。発動条件とかその他諸々実験するわよ。」
柚瑪村が少し声を張り上げる。気合が入ってるな。
「ああ、と言いたいんだが、あいにくもう帰る時間なもんでな。確か明後日学校が球技大会の準備とかで午前中だけあるから放課後に公園とかでどうだ?明日はやりたいことがあって会うことはできないが。」
「本当だ、もうこんな時間。じゃあ、明後日になるわね。」
「ごめんな。リリーさま、帰りますよ。」
僕はせんべいを喉に詰まらせて胸をドンドンしていた神様に声をかけると、神様は一度咳き込んだ後、口に水を含み、こちらにパタパタと走ってくる。僕は短く用件だけを神様に伝えると、柚瑪村の方に向き直る。
「じゃあまた明後日な。」
「門まで見送りをつけようか?」
「いや、僕は窓から行くから大丈夫だ。どうもこっちから反応があるらしい。」
「窓?反応?」
「要するにこっちの方が何かと都合が良いってことだ。」
「ちょっ、まっ……」
「じゃあ。」
僕は少しカッコつけて飛び降りた。まあここより上に用があるから降りてはないんだけど。
僕は
「盗み聞きとは趣味が悪んですね。『MTB』の幹部と思われる方?」
挑発を込めた口調で目の前の女の人に話しかけた。
・・・・・・・・
・・・・
・・
・
「いつからわかってた?」
「つい先ほど。何やら物音がしたんで。」
「そう、あなたはよっぽど耳がいいのね。人気者の鈴木君?」
「なるほど、神藤以外が知っているとなればだいぶ僕の討伐作戦は進んでいるみたいですね。」
もう今日決めた取り決めを破ってしまうことになった。
まあ、相手も柚瑪村のことを思った以上に調べていたから隠しても意味がないと考えたというちゃんとした理由からだけど。
「ええ、来てみて驚いたわ、まさか伊好の見つけた新人がかの有名な鈴木奏真君と繋がりがあるんだもの。」
「皮肉がお上手ですね。」
「そういう切り返し方するあなたも大概だと思うけど?」
「どこから聞いていましたか?」
「私も、つい先ほどきたばかりだから、そんなに詳しくは聞いてないわよ。ただ、新人君の能力名は分からなかったけど、大まかな能力の内容は喋ってくれて助かったわ。光を操る、なんて能力、どう戦いに使うかは個人の趣味によって変わるところだけど。」
「なるほど、ハナっから戦闘に使えないと切り捨てないほどには歳を重ねている強者と考えた方がいいですかね。」
「やっぱりあなたは皮肉が上手。こう見えても私、この前大学に入ったばかりなんだけど?」
そうなのか、これには偽りなく、本当に驚いた。
こう、なんというか、大人しそうな雰囲気といい、長くゆったりカールした髪の毛といい、目のやり場に困る体つきといい。
とにかく体全体からお姉さんオーラがあふれていたから、もう少し年上に見えていた。
「で、その大学生のお姉さんは今日、泥棒まがいの盗み聞きだけしにきたわけじゃないでしょ?」
「そうね、本当は明梨ちゃんだっけ?この子を勧誘しにきたんだけど……」
すると、腕を組んで人差し指を唇に持っていき、思案の表情をうかべる。
その、なんていうか、あんまり強調されると本当に目のやり場に困るんですけど?
「そうね、あなたは今、私が“一緒に能力者のサークルに入りませんか?”って上目遣いで可愛らしく言ってもこないでしょ?」
「ま、まあ、そうですね。」
僕の理性が保っていれば、ですけど。
「それなら武力行使しかないんじゃないかしら。幸い、と言っていいのか微妙だけど、この私、序列五位の
能力メモ
・永井将翔(序列四位)『能力名:伸縮変化』
・綺柳奏(序列五位)『能力名:気流操作』
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