31話 三つ目のお話
はあ。
やだなぁ。
居づらい…
俺なんか居ても…
「よっ!王者!元気?」
ん?誰だ?
後ろから手を肩に当ててきた人物を振り返って確認すると、とても見知った顔だった。
「ああ、智(さとし)か。」
7区リーダー川辺智だった。
「何、7区はお前なの?」
今は7区において発見されたDoG幹部の討伐任務中で、全12区から一人ずつが参加するというものだ。
12区は王者である。
「いやいや、違うよ。僕は戦えないからね。ただ、7区の事件だからさ、一応ね。」
「そうだったか…じゃあ、7区は誰なの?」
「可児(かに)さんだよ。」
「妥当だな。」
「まあね、そうだ。あっちの方に池田(いけだ)さんや安八(あんぱち)くんも居たよ。あとは…養老(ようろう)さんかな。」
あいつら来てるの…嫌すぎる。
養老さん来てるの!
会いに行こ。
さてと、養老さんはこっちかな?
あ、誰かいた。
「我、悪しき犬を滅する為に今降臨。」
「わーかっこいいねぇ。」
会いたくない奴らの方だった…
バレないように逃げよ。
「あ、王者くんだ〜」
バレた!
「なんだと!我が永遠の好敵手の火炎と旋風の王者か!」
もう、帰りたい…
3区リーダー池田宗次郎(いけだそうじろう)なんかのほほんとしてる。
2区リーダー安八助六(あんぱちすけろく)厨二病
強い奴らってなんでこんなに変な奴多いの?
〜
結局養老さんに会えなかった。
「あ、王者!」
「ん?智、どうしたんだ?」
「それがさ、飛騨さんが見当たらないんだよね。探してきて。」
めんどくさいけど、あの二人とまた会うのも嫌だし行くか…
「分かった。能力使っていいんだよな?」
「もちろん。なるべく早くね。」
「了解。試したい技があってね。」
「怒羅威武(どらいぶ)」
全身を炎と風で包み猛進する。
「ほえー。なんて技だ。」
そんな智とは裏腹に王者は困っていた。
ぎゃあああああああああああ
これ、速すぎて制御できん!
どうすりゃいいんだ!
目の前壁じゃねぇか!
ドゴン!
「痛いけど、助かった…」
もう2度と使わない。
しっかし、結構な距離進んだな。
「おい!誰か!その二人を捕まえてくれ!」
ん?
強盗かなんかか?
しゃーね、捕まえてやるか。
『飍』
あれ?
発動しないぞ。
さてはさっきので使いすぎたか?
あんだよあの技まじでクソだな。
しかしどうしたもんか。
「どけどけーーーー!」
「ぎゃはははははっ!」
なんと典型的な。
でもアイツら風系か。
どうりで速い。
とにかく市民を誘導せねば。
「なに道真ん中に突っ立ってんだよぉ!ぶっ殺すぞぉ!」
え?
うわ、まじじゃん。
なんで逃げないかな。
て、あれ?
「君たち、悪い人たちだね。」
道の真ん中に立っていた女の人は強盗にむけて右手を上げる。
「死に晒せぇ!!!」
『泡の牢獄(あわのろうごく)』
「「なっ!」」
やっぱそうか。
二人の強盗はどこからか現れた泡に閉じ込められる。
「こんなものぶっ壊してやる!!」
無理なんだよ。
「残念、君たちにそれはできない。」
飛騨 重美
能力『泡の牢獄』
自分の半径3m内に泡を出現させる。泡に閉じ込められたものは質量が0になる。
この世において力は質量かける加速度。
質量がゼロじゃどんなに速くしようともただの泡でさせ割ることはできない。
一見チートだが、外からの攻撃に弱い。
なんだか、解説のようになってしまった。
まあ、いい。
見つかったし。
すぐ見つかってよかった。
「おーい、飛騨さーん。」
飛騨さんは俺の声にすぐに気づいてくれた。
「あ、王者くん。元気?」
マイペースすぎるんだよなぁ。
「早く行きますよ。智が怒ってましたよ。」
「それはぁ、こまるね。」
当たり前だ。
めんどくさい、飛騨さんを連れて帰るのに結構かかってしまった。
すぐなんか食おうとするのやめてほしい。
〜
「さて、全員揃ったところで今回の作戦を伝える。」
この作戦は全て智くんの発案であるので、会議長は智くん。
「今回、突入隊と護衛隊の2隊に分かれる。DoGの幹部がいるところに偵察しに行った奴がいるのだが、幹部のいるところを守っているものがかなりの数いるらしいんだ。」
なるほどねぇ。
「突入隊を今から発表する。養老、可児、安八、池田、各務原、飛騨この6名だ。それ以外は全て護衛隊となる。また今回の護衛隊にはこの人も参加する。」
誰だろ?
「わしじゃ!」
「「「「「「「「「えええええーーーーーーーーー!!!」」」」」」」」」
まじで言ってんの?
ありえねぇ。
「今回の護衛隊の隊長。関ヶ原 龍雄(せきがはら たつお)さんだ。」
「よろしくのぉ。」
まじかよ、現NeCOの三幹部で前12区リーダーで俺の師匠、関ヶ原だと!
というか、たかだか幹部一人に三幹部がなんで二人もきてんだよ。
「では、30分後ここを立つ。各自解散!」
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