24話 血嫌いの悪魔

雨が止み、空には太陽があった。


ここの所ずっと雨だったからなぁ。


さて村長さんの家にでも行こうかな。村長さんはいないけど。


聞きたいことあるし。


俺は村長さんの家へと向かった。


「すみません。こんな朝早くに、どうしても聞きたいことがあって。」


「いや、それは構わないが何かな聞きたいことというのは。」


「この村から一番近いマンホールってどこですか?」


「は?」


まあ、こんな反応になるとは思ってたよ。


「マンホールです。知らないんスカ?」


村長の家にいたおっさんはよく分からないのものを見る顔でマンホールのある場所に連れって行ってくれた。


「あれ?ここだと思ったんだがな…」


「どうしたんですか?」


「いや、ここにマンホールがあると思ったんだが……」


「ここですか…そうだ、ちなみにこの道って子供たちはよく使うんですか?」


「あ、ああ。ここは大通りだからな。たくさん通るとは思うよ。」


「そうすか。」


「すまなかった。他の場所に行こうか。」


「え?」


「マンホール見たいんじゃないのか?」


「ああ、別にもう興味ないんで。それにこの村に今マンホールは1つもないっすよ。」


俺がこの村で感じていた違和感それはマンホールがないことだった。


こんな山がくぼんでできたような村。雨が溜まるに決まっている。


なのにも関わらず、水と捨てるためのマンホールやドブが一切なかった。


下水道が整ってないのかのと思ったが、このあいだの雨の時に雨が溜まったりすることはほとんどんかった。


つまり何かしらの設備はあると思った。


しかしそんなものは無かった。


そして、マンホールを案内させたら無かったが、ないとも言われなかった。


それどころか、あると言っていた。


そう。


あるんだ。


見えないだけで。


「おっさん、ちょっと離れとけ。」


俺は持ってきた水のペットボトルを開ける。


えーっとこの辺かな?


俺は水を撒く。


「これは…」


「あんたは間違っていなかった。ここにはマンホールがある。見えないだけで。」


水を撒くとちょうどマンホール1つ分の丸い穴が開く。


「おそらくは何かしらの能力だろうな。ある一定以上の質量があると通れない落とし穴のようなものだろうね。」


だとすると、合点が行く。


部屋にこもっていればマンホールに落ちるわけがない。


村長さんも体重が低かったから、引っかかったのだろうな。


清さんも小さいし。


確か45kgくらいって言ってたような気がする。


そのくらいが目安だろうな。


さて、俺の体重が68kgくらいだから軽くするには。


「じゃ、おっさん俺行くわ。絶対ついてくんなよ。死ぬから。んじゃ、バイビー。」


マンホールの上で俺はしゃがんだ。


そして。


体を一気に上へ


だが、飛ばなければ体重は減る!


「て、うわっ!」


一気に落ちるんですけど?


痛って。


「オメェさん誰だ?」


なんだこいつ?


ゴリラみたい。


「オメェさんなんで子供じゃないのにいるんだ?」


「あんた誰?」


「おいは『スコラ』様の忠実なしもべ『ゴリラ』だ!」


やっぱゴリラなんだ。


「ふーん。あのさあ、ここに清さんって来なかった?」


「清?あー、あの氷使いのことだべか?」


「そうそう。」


なんだこいつ?


なんでこんなに教えてくれるんだ?馬鹿なのか?


「そいつならほれそこにいるど。」


『ゴリラ』が指を指す方を見ると、清さんがいた。


檻の中に。


まあ、俺も檻のなかなんだけどね。


「お前、よく清さん捕まえられたな。」


「そうだろ、すごいだろ。実はこの檻は鬼の力を奪うのだ!」


なるほど、通りでさっきからうまく力が入らないわけだ。


しかし、そういうことなら早くしなければな。


『超鎌鼬』


よし、このくらいの檻なら俺でも壊せるな。


清さんのも壊すか。


よいしょっと


「清さーんおきてくださいよー。」


「オメェさん何やってんだ?」


声怖。


「絶対に殺すべよ!」


まじか。


『白銀(はくぎん)』


「この俺を助けた真を今殺すと言ったのか?」


いつのまにか起きた清さんが『ゴリラ』の首を掴む。


「うぐぐぐ。」


「殺すぞ。」


右腕から出る冷気により『ゴリラ』の首は凍り少しの衝撃で割れてしまった。


清さんの殺した相手の傷口からは血が出ない。


清さんの戦場には血が流れない。


人は彼を『血嫌いの悪魔』と呼んだ。


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