第8話 わかれ
槙侍はヒダカで4つ目のアミュレットを手に入れ、探索中に水色の結晶を3つ手に入れた。この結晶は4つの構成になっている。最後の1個を見つけるために探索していると、今までの台座と異なった台座を見るけた。
この台座は大きく、下に窪みのようなものがある。形状からしてこの結晶と同じものだろうか。
「なんか不思議な場所だね。威圧感というかそういうのが一切ない、懐かしい感じがする。」
愛里沙が感じている感覚は槙侍も感じていた。何か懐かしい感じがし、心地よくなってしまう。しかし、それとは裏腹に魔物が上から出てきた。
「ごきげんよう。私はキャプテン・ドンバーバッ。異界の導き者だ。そなたは4つの源を手にし、3つの雫を手にした。最後の異界への雫は我が持っておる。ハームトンドに認められし光の勇者よ、改めてここでの鍛錬を我にぶつけよ。」
ドンバーバッはサーベルを手にして槙侍に襲いかかる。
「ハームトンドの仲間か。いいだだろう、思いっきり行かせてもらう。」
槙侍は4つのアミュレットの力を剣に宿し斬りつける。互いの剣が重なり突風が発生する。互いに剣に力を込めて距離をとるが、再び剣を振るう。この繰り返しが長時間続いた。一歩も譲らない状況下で、槙侍は時々魔法で不意をつくが、ドンバーバッは華麗に避ける。
そんな戦いが続く中急に空気に流れが変わった。
「風がやんだ。」
槙侍がそうつぶやくとドンバーバッも何かに気づいたかのように天を指差す。その先にはなんと、天使が剣を持った者が1人天から降りてきた。
「我は大天空城の使い。我ら大地の女神ガイア様をお迎えに来たなり。」
「おいおい、大天空城のお出ましかよ。そこまで地球は崖っぷちなのか。それに大地の女神?お迎えってどういうことだ。」ドンバーバッが大天空城の使いに問う。
「大天空城の女王が無き今、そなた椎名愛里沙をお迎えに参った。」
「え?」
愛里沙は突然の出来事に理解出来ていなかった。
「愛里沙が女神だと言うのか?」
槙侍が再び問うと、使いは剣を振りかざし槙侍を吹き飛ばした。そして、愛里沙を謎の魔力によって中に浮かせ天の方に飛んでいく。
槙侍は咄嗟に待てと叫ぶが、使いは待ってはくれなかった。
「偉いことになったな。まさか、あんたの連れが女神だったなんてな。しかも強引に連れ去るとはいいやり方じゃねえ」
「愛里沙が女神だろうが、今は私の仲間だ。放っておけない。」
「待て、異界に天へと続く塔がある。どの道天界へ行くさだめだ、いいじゃないかそこへ行く目標ができた。雫はやる、その代わり私もついていこう。」
「感謝する。共に大天空城へ行くぞ。」
「現状大天空城の奴らは敵に見えるかもしれないが味方だ。恐らく女神がない云々で大天空城内は苛立っているだろうよ。こっちが牙をむけば大きな見方を失う。大天空城ではまず様子を見る。そこで襲ってくるようであれば斬る。いいな。」
「了解した。女神を扱う組織が悪の現況に手を貸すとは思えん。」
「まずは光のアミュレットを手にするんだ。アミュレットは4つだけではない。あと2つ、光のアミュレットと闇のアミュレット。異界に2つある。それを手に入れて、チェリャビンスクに行くんだ。そこから天界に行ける。」
「わかった、案内は任せた。」
ドンバーバッは雫を槙侍に託した。それを受け取った槙侍は、雫全てをくっつけて台座にはめ込む。すると台座は青く輝き出した。
2人は台座の上に乗ると、台座はさらに輝きだし、視界は光いっぱいに広がった。
槙侍は不思議な感覚がした。今まで感じたことの無い感覚、恐らく体の実態が今ないのだろう。そんな状態がしばらく続いた。
気づいた時には、視界は真っ白で、雪国が広がっていた。
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