第6話 ことわり

 槙侍一行はナスシオバラで植物の魔物を倒し、ヒダカを覆っていた植物を排除した。しかし、ヒダカを覆っていたのは植物だけでなく、何者かがはったであろう魔法障壁があった。

 現在、アマギサンにいる槙侍達は頂上を目指し青い巨人を探している。この青い巨人が魔法障壁を日本の至る所にはっているそうだ。

 何故日本を守るようなことをしているのか、疑問が出てくる。あるいは知られてはいけないことがヒダカにあるのか。なんにせよ、ヒダカで最後のアミュレットを手に入れなければならない。

 槙侍は今後のことを考えながら足を動かし、ヒダカを出て6日くらいで辿り着いた。アマギサンの頂上は木がなくなり砂や砂利などで開けていた。そこには魔物から得た情報通りの青い巨人がいた。槙侍は警戒し剣を抜く。

「ヒダカを結界で覆っているのは貴様か。」槙侍は問う。

「お前が世界を旅する勇者か。運命の鎖を断ち切る者は抗うことは出来ない。ニホンがこのような無様な姿に変わったのも運命。これ以上唐突な変化を行っては世界全体が滅びる。我ハームトンド、世界の秩序を混沌から守りしもの。光の勇者よ、貴様の実力を試させてもらうぞ。」

 青い巨人ことハームトンドは槙侍に襲いかかる。槙侍は火と水と風のアミュレットを使い戦う。槙侍が剣を振ると、ハームトンドはその剣を拳で受け止める。ハームトンドは非常に硬い身体を持ち、拳を振れば槙侍は直ぐに吹き飛ぶ。

 愛里沙は物陰に隠れながら槙侍が戦っている様子を眺めている。しかし、不安なことがあり、槙侍が怪我をする度に心配になる。本当に勝てるのかどうか、安全にことを終わらせられるのか。そんな不安な中槙侍の戦う姿をうかがう。


 槙侍は今持っている属性ではハームトンドに勝てないことを薄々感じ出した。ハームトンドは非常に硬い身体を持ち、力強い威力の攻撃を繰り出す。これ以上戦っても不利なだけだと。なにか打開策を考えなければ先に進めない。そう考えているとハームトンドが口を開く。

「貴様は人間がなぜ生きているのかわかるか。」

 槙侍はハームトンドの問いの意味がわからなかった。

「この島国から人間を排除し何故貴様だけ生かされたのか。世界はどの道へ歩むというのか。貴様ひとりが運命に抗って世界は本当に変わるのか。」

「何もしなければ何も進まない。お前も承知だろう。」

「疑問に思ったことはないか。いつから我々はこの世界を生きている。本当に過去があるというのならば、未来は実在するのか。我々の未来はどうなるのだろうか。我は見てみたい、この世界の末路を、貴様の行先を確かめたい。ヒダカへ行くが良い。土のアミュレットがある。」

 すると今まで戦闘態勢だったハームトンドは戦いの構えを解き、祈る態勢へと変えた。ハームトンドからみるみるうちに魔力が集中し、ヒダカの方向へと魔力が飛んでいく。

「これで、そなたたちにのみヒダカへの出入りが許された。そなたたちは英雄になるのだ。この変わりゆく世界をさらに変えてみせよ。」

「感謝しよう、また鍛錬を積みあなたと剣を交えたい。」

「いいだろう、その時は再びこの地へこい。しかし、ヒダカは魔物の巣窟で複雑な構造だ、心して行くが良い。あそこはしばし危険だ。」

「了解した。気をつけよう、あなたもどうか、お気をつけて。」

 槙侍はハームトンドの疑問を考えてみた。愛里沙も聞いていたみたいだが、何故ニホンは滅ぶ運命だったのか、誰がこの運命を決めたのか。槙侍がこの世界の理を知れば解決できるのか。それに至るまでには大分時間がかかりそうだ。それでも、時間は一刻みに進み続ける。

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