第4話 かこく

 先日から荒れ果てた日本を旅する瑞島槙侍は、2つ目の加護である、火のアミュレットを入手した。槇侍は水の精がいる赤石山脈に向かって水の加護を受けるよう火の精に言われた。

 槙侍は再び山々を超え赤石山脈を目指す。

 魔物との戦闘は大分慣れ、新たな魔物にもすぐに対策法を思いつき瞬時に倒していく。火の魔法は大体の魔物には有利で、風の魔法は突風を引き寄せて移動がスムーズになり移動時間が短縮した。魔法の使い方によっては、人類の発展がさらに進む可能性はあるだろう。

 しかし、今は世界の現状を知る必要がある。水の精に会って、新しい加護を受けなければならない。


 アカイシサンミャクに着いた槙侍は何処にアミュレットが祀られている台座があるか探す。アカイシサンミャクはオクタマやフジサンと違って広大さが異なる。終わりがないアカイシサンミャクの山の中を探すのには時間が大量に必要だ。


アカイシサンミャクを彷徨って3日が経った。槙侍は一向に台座を見つけることが出来ず、端から探して反対側の端の山脈の終わりに来てしまった。一体どこにあるのだろうか、もしかしたら台座はないのかもしれない。そう思うようになって、再び山の中に入る。今度は探していないところがないかも確認しながらくまなく探す。

 気温が低くなり、体の動きも鈍くなってきたころ、季節の変わり目だとわかった。体調管理には気を付けなければならないし、一刻も早く水の加護を受けないと身が持たない。それに、ここ数日間まともな食事をしていない。町に存在する知性がある魔物が営むレストランやコンビニにも行けない。

 次第に雲行きは怪しくなり、雨がポツポツと降ってきた。視界も悪くなり、体温が奪われる。それでも槙侍は諦めずにアミュレットを探していた。

 山を引き返して数時間がたった時、雨が急に雪に変わった。そして、雪は強くなり吹雪に変わった。槙侍は歩くスピードを緩めるが、疲労と空腹で力が出ず跪く。

 降りかかる吹雪にいっそう寒さを感じ、体が凍る。次第に視界も体も白くなる。空気中の気温も急激に低くなり、強い雨と共に濃い霧も現れさらに体に異常をきたしたかのような感覚になる。すると、火の精と同じように、目の前の空気がより一転に集中しそこに雨や霧が集まる。そして人間のような形状になる。

「私は氷の精、あなたの行くべき道を導きましょう。」

「あなたが氷の精か。随分探したぞ。」

「失礼、あなたが誠意を確かめたかったのです。水のアミュレットを授けましょう。」

 氷の精はすぐに水のアミュレットを出して槙侍の目の前に差し出した。

「ひとつ、あなたに伝えなければならないことがあります。」

 氷の精はそう言い続ける。

「今世界で起きているのは独りの人間が企てたこと。彼は闇の騎士・ペルセウス。彼は闇の力を使い、ガイバオ塔を支配し魔物を操っている。神カオスを用いて、己を魔物の姿に変え世界を憎悪に導いている。我々4精霊はそれを阻害するために生まれたもの。光の勇者・瑞島槙侍、あなたの力が必要です。どうか、我々に力を。」

 氷の精は槙侍に問いかける。

「世界の崩壊はそのペルセウスが原因なのだな。わかった、協力しよう。しかし、まだアミュレットは揃っていない。」

「安心してください、導きましょう。次なる土のアミュレット、彼は日高にいる。しかし、先に行かなければならないところがあるようです。」

「了解した。あなたについて行きましょう。」

 槙侍は氷の精の案内により、旅を再開する。闇による世界の憎悪侵食を食い止めなければ、日本だけでなく地球そのものが死ぬ可能性がある。

 槙侍は新しい気持ちで剣に力を加える。

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