4限目 想像を超えた鬼ごっこ

 …皆は逃げていた。



ここは、体育館である。皆は先生から必死に逃げていた。


何故なら、鬼ごっこをしているからなのだが、先生は特別な物を持っている。


「誰だあ!?昨日、濡れた靴下を置いて帰った人はあ!?」


誰かが逃げながら叫んだが、このクラスの人ではない。


新学期にある、諸々の事が一通り済んだ週末。


周りはまだ新学期モードだったので、暇だったクラスの皆は、鬼ごっこをやることになった。


しかし、皆、並みの鬼ごっこには飽きていたので、どうしようかと考えていたところ…


「なあ、これ…誰のか知ってるか?」


どうやら忘れ物らしい。だがこのクラスの人では無かった。


すると先生は、いつもの事ながら、とんでもない事を言い出した。


「…じゃあ、先生と皆でオニゴして、負けた方がコイツの臭い嗅ぐってのはどうだ?」


…と、いう訳である。これはもう逃げるしかない!


先生は二階のギャラリーから追いかけたが、当然、皆は下に降りるし、元から下にいる人もいる。


しかも先生は


「そうだ、君~に~♪見せたいもの~が~あ~るんだ~♪(ゆずの『虹』である)」


と、煽ってくる。


ところがこの時、先生はギャラリーよりも下にいる人数の方が多い事に気付いた。


だが、下に降りるには、ステージまで回って、そこから降りなければならない。


さてどうするか…


ガッシャーン!!


下にいた私達はびっくりするしか無かった。


なんと、先生は柵を跨いで、ギャラリーに吊してあるバスケットボールのゴールから飛び降りてきたのである。


ちなみに、ここで大部分が捕まった。


数分後、チャイムが鳴った。しかも中休み終了のチャイムである。


結果は先生の負けだったが、その後、靴下がどうなったのかは誰も知らない。



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