3限目 ラッション

 次の日。教室に入ってみると、早速、盛り上げ隊の活躍により、壁にとてつもなく大きいポップコーンのモニュメントが貼られていた。


初めての授業が始まる前に、クラスの皆に、あるものが配られた。



それは、箱に入った極細のマジック•インキである。名称は「ラッション」。


どんな目的で配られたのかは、未だに不明だが、私達には、「ラッション」という言葉の意味が分からなかった。そこで私は聞いた。


「先生、『ラッション』って何?『ミッション』ならわかるけど…」


「うーん…俺もイマイチ、よくわかんねえんだよなあ…なんだろな?『ラッション』って。」


だが、この「ラッション」という言葉が、何故か皆気に入ってしまった。


しかし、それを感じ取った先生は、驚くべき行動に出た。先生は、


「じゃあ…壁に描いとくか。」


と、マジックペンで、壁に「ラッション」と描こうとしたのだ。


流石にそれは、先生といえども、許せる行為では無い。


皆は慌てて言った。


「ちょっと先生!それはマズいでしょ!」


「描くなら紙に描かないと!」


そう言われて、先生はマジックの手を止めたが、何か物足りなさそうな顔をしていた。


そこで、盛り上げ隊の誰かが持っていた、ポップコーンの余りに、


「ラッション」


と描いて、ポップコーンと一緒に飾った。

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