第20話
「んで、何かあんの?」
怖々と滝壺を覗き混む。
こんな所から落ちたら、跡形もなく消し飛ぶな。
【そうですね。どうやら滝壺辺りの様です。
でも行ってみないと分かりません。】
見えてるのか、亀さんは滝壺へ行く事を提案してきた。
かなり高いと思うんだけど、どうやって行くの?
階段とかもないでしょ?
【よしっ、じゃあ行くぞ。】
火トカゲさんは、ちょっとソコまで行く様な気軽さで言うし。
「えっ?ちょっ。。。。ぎぁぁぁぁぁ。」
急に亀さんがダイブしたぁぁぁぁ。
あぁ、異世界人生は、早くも終わった。
1ヶ月持たなかったよ。
【うるせぇぞ。】
ぺちゃんこどころか、潰れたトマトみたいになるだろうのに火トカゲさんはクールだね。
って、どうして、こんなにハッキリと火トカゲさんの声?が聞こえる?
落ちてるのに風の音が、あまりしない?
恐怖から、瞑っていた目をユックリと開ける。
「おぉっ、何が起こってるの?」
廻りの景色がユックリと流れてる。
【コイツは、バカみたいにデカイから、多少重さをイジれるんだ。
だから、落ちる速度を変えている。】
火トカゲさんが説明してくれたけど、説明がとんでもなくて、よく分かんない。
異世界の事は、深く考えるだけムダだし、そう言うもんなんだと思っておこう。
比較的ユックリした速度で降りていって、1時間位掛かって滝壺に降りてきた。
徒歩で時速5km位って聞いた事あるから、上から5km近くあるの?
すげぇ高低差だな。
滝壺近くの水の上に降りた亀さんだけど、巨体に似合わずに水面にプカプカ浮いている。
エンジェルフォールは、高低差が有りすぎるから滝壺がないって話だけど、ここは違う。
圧倒的な水量で滝と言うより水の壁が出来てる。
「凄い。。。。」
それしか言葉が出ない。
ナイアガラもエンジェルフォールも飛び越えて、もっと凄いのを見ちゃったんだから、言葉を失うよ。
【んで、ココに何があるんだ?】
火トカゲさんは、そんな大瀑布には興味がないのか辺りをキョロキョロしてる。
滝壺であるココは、水飛沫と呼べない程の水煙で真っ白になってて、視界ゼロなんだけどね。
うっすらと見えてるのは、滝壺じゃなく、落ちてくる水。滝の部分だけだし。
【少し探ってみます。】
亀さんは、そう言って滝壺に近付いていく。
ちょっ、ちょっとヤバいって。
あの水量の滝だよ。簡単に押し潰される。
滝壺にハマったら、もう上がってこれないし、これだけの勢いなんだから、水深がどれだけあるか分からない。かなり深そう。
そう思って亀さんの頭の上から水中を覗く。
底の方から泡がブクブクと上がってきてて、炭酸水みたい。
そんな水は、かなり澄んでて透明度が高い。
亀さんが犬掻きみたいに泳いでる足先まで見えるし。
でも水底は見えない。
深く暗い底が拡がってる。
これ、数10mはあるよ。
そして、その底の方の暗い場所がキラリと光った気がした。
んっ?真っ暗な筈の底の方が光る?
何だかヤバい気がする。
「亀さん。何だかヤバい気がする。一回離れよう。」
僕は提案したけど
【何がヤバいだ。余裕だ。】
火トカゲさんは、僕の前でノンビリと横になって寝転んでる。
うそだ。絶対ヤバい事起こるって。
嫌な予感しか、しないもん。
亀さんは、どうしていいか悩んでる様子があるけど、火トカゲさんの違憲には逆らえないのか、尚も滝壺に近付いてく。
物凄い音がするけど、不思議と亀さんや火トカゲさんとは会話が出来てる事に今更ながら不思議に思ったけど、どうやらペンギンさんが何かしてくれてたみたい。
目があったら、ニッコリしてた。
。。。いや、表情は分からないから、パタパタしてるフリッパーで、そう感じただけなんだけどね。
異世界で僕は変身ヒーロー @koooum
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。異世界で僕は変身ヒーローの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます