第19話

何日か野宿しました。

でも、火トカゲさんのお陰か、寝てる間に襲われると言う事はなかった。

おかげでグッスリ。


【もう少しで目的地よ。水の匂いもしてきたし。】

ペンギンさんだし、水には敏感なんだね。

前にも水場を探してもらったし。


【その前に来やがったぞ。

お待ちかねの巨獣だ。】

ワクワクした感じの火トカゲさん。


巨獣とやらが近付いてきてるみたい。

ずしんっ、ずしんっ、と振動が大きくなってきてる。

こんな地面が揺れる程の巨大さ?

そんなのと戦える訳ないじゃない。

象と蟻だよ。


もう、すぐ近くまで来てる。

目の前の木も揺れてる。


近くの森から姿を現したのは。。。


「亀ぇ??」

のしのしと歩いてきたのは、ばかデカい亀。


【ちっ、何だよ。フォレストタートルじゃねぇか。】

火トカゲさんは、明らかにガッカリしてる。


【よかったわね。この亀は大人しいから、危害を加えなきゃ戦闘になんて、滅多にならないわよ。】

ペンギンさんは、バトルマニアじゃないから戦いにならなかった事を喜んでくれるんだよね。

本当によかった。


本当にデカいな。

見上げる程の高さに甲羅がある。

近くだと全体が見えないし。

そんなデカい亀が、ゆっくりと僕を見た。

えっ?何?

頭を下げてきて「食べられる。」と思ったけど


【トカゲ殿ではないですか?お久しぶりです。】

某亀怪獣のガ○ラみたいなのが、火トカゲさんに挨拶してますよ。


【何だよ。お前かよ。なおさらブチ倒す訳にはいかねぇじゃねぇか。

亀だから区別つけにくいんだよ。

目印つけろよ。目印!】

仲良さそうなのに口悪っ。火トカゲさん酷くない?


【いや~。すいません。他の個体より大きいので、大きさで見分けてください。】

亀さんの方が謝ってるし。

ちなみに通常は、この亀さんより2回りは小さいらしいじゃない?

見分けてあげない火トカゲさんの方が悪い気がするんです。


【それで、お前は、どこに行くんだ? 】

体のちっこい火トカゲさんの方が上から目線で話すんだね。火トカゲさんって何者なんだろ?


【イグアスの大瀑布で、何やらあった様なので見てこようかと思っております。】

この亀さんもイグアスの大瀑布に行くんだ。


【よしっ、じゃあ乗せろ。】

亀さんをまさかの騎獣扱い?


【どうぞ。】

そして、亀さんは即答。

僕は、下げてくれた頭によじ登ると、亀さんが歩きだした。

すげぇ高いっす。

これ10m以上は、あるんじゃないでしょうか?

景色がよくていいんだけど、高過ぎて怖い。

そして、歩く度に振動が凄くて落ちそう。


亀さんは、ゆっくり歩いてる感じなんだけど歩幅が大きいから、僕が歩くより圧倒的に速い。

しかも、足元に襲ってきてると思われる不思議動物達を踏み潰してる。

歯牙にも掛けないとは、この事ですね。

僕って、亀より遅いのか。

亀より弱いのか。

変身無敵とか思ってた時期ありましたが、撤回致したい。


亀さんに運んでもらって、魔物も障害にならないから、思ってたよりも早くに着く。

亀さんに乗せてもらってから、すぐに感じてはいた。

何て言うのかな?水の匂い?そんなのが、してきてたから。

そして、地響きに似た音が亀さんとは違う所から聞こえて来る様に。

元々から、聞こえてたのかも。

でも亀さんの足音とゴチャ混ぜで気がつかなかっただけなんだろうね。

物凄い音だから。

そこに着いて、覗き込めば、吸い込まれそうな勢いで水が流れていて、ここからでも分かる程の大河となってる。

タイプ的にはナイアガラの滝。

多分だけど、幅も高さも規模が桁違いだと思う。

だって、滝の対岸にあたる場所が霞んで見えないし、高さも下がハッキリ見えない。

落ちた先で大河になってるから分かるだけで滝壺が、どうなってるのか分からない。

勢いが凄いから水煙で視界不良なのも原因っぽいけど。

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