第18話

【よしっ、朝だぞ。明るいぞ。】

火トカゲさんに叩き起こされました。


「今、何時~?」

寝惚けながら枕元へ手を伸ばして、ある筈の物を探してバンバンと叩く様にする。


【おっ!?なんだ?やんのか?】

ウルサイなぁ。僕は、まだ寝たいんだ。

静かにしやがれ。


【いい度胸してるじゃねぇか!】

そう聞こえた時には、もう手遅れでした。


「いてぇぇぇぇぇ。」

額にデカイ焼けた石がブチ当たった夢を見ました。

ゴソゴソと上半身を起こして、目を覚ます。


【やっと起きたか?】

あぁ、そっか。僕は異世界に居るんだった。

あっちのつもりで、アラーム消そうとしちゃったよ。

おでこがヒリヒリ痛い。

火トカゲさんにお仕置きされたんだ。

多分。。。。

この程度で済んで、よかったと思っておこう。


「おはよう。」

火トカゲさんとペンギンさんにご挨拶。


【ふんっ、さっさと準備しろ。

行くぞ。】

火トカゲさんは、機嫌悪い。

これは素直に従った方が、いいのかも。

手早く朝食を食べて、少ない荷物をグルグルさんに頼んで収納した。

着替えが数着とお金位しか持ち物ないんだけどね。

あと。。。温泉のお湯を少々と温泉卵やら、蒸かした野菜やらも収納した。

劣化しないなら、持ってくに限るよ。


「よしっ、お待たせ。じゃあ行こう。」

いつもの如く、火トカゲさんを頭の上に。

ペンギンさんは抱っこして、僕は温泉町を出た。


暫くは、ペンギンさんの指示で歩いてたんだけど、どうも街道って言うか、道から逸れてるんだよね。

近道なの?

そう思って聞いたら、方角や何となくの距離は分かるけど、どんなルートで道が構築されてるか分からないから、道を通ってては、方向が狂う。

との事。

よく分かった様な分からない様な説明だった。

道から逸れると何がダメかと言うと。。。。


「また、出た。」

何だか色々と出るんです。

今度の敵は、蛇です。デカイです。全長10mはありそう。

その度に変身して倒してるんだけど、何かと火トカゲさんが縛りを付けたがる。


【よしっ、コイツは魔法なしで倒せ。】

今度の指令は、魔法なしですね。

素早く変身。

魔法使わないなら、ペンギンさんや火トカゲさんの力は借りなくてもいい。

変身した姿は、ペンギンさんの時の緑でも火トカゲさんの時の赤でもなく、色褪せた様な銀色。

これが、グルグルさんの言う素体での変身らしい。

まぁ、色なんて何でもいい。

防御力も攻撃力も高まるし、不思議と重さも感じない。その上、動きを阻害しないからね。

なんて便利なんでしょう。


ダッシュで蛇に近付くと鎌首をもたげてる頭を狙って、パンチ。

不意を付いたつもりが、物凄いスピードで噛みつきに来る。

慌てて半身になって回避。

でも、パンチを出そうとしてたからバランスを崩す。

何とか噛みつきは避けられたけど、続けざまに噛みつき。

かなり速い。

地面をゴロゴロと転がり、連続した噛みつきを避けながら、距離を取る。

あんまり時間掛かると、フレンドリーファイアが来るんだよね。

そうなったら、難易度がブチ上がるって言うね。

火トカゲさん的の愛の鞭なんだって。

そんなパワハラな愛の鞭いる?

スパルタだけど、実感出来る位には強くなれてるんだけどね。

今も、火トカゲさんの火球が飛んで来ないかとビクビクしながら、蛇の噛みつきに合わせて、襲い掛かってきた頭をキャッチ。

ヘッドロックを決めて、巻き付かれる前に捻り上げる。

やり過ぎるとグロでスプラッタな感じになるから、ご丁寧にクイッとやって、昇天していただいた。

最初の頃は、命を奪う事に抵抗があったけど、躊躇うと自分の命を差し出す結果になるからね。

躊躇う事はしない。

それに「レベル上げだ!」とか言って無闇矢鱈と倒してる訳でもない。

襲ってきた相手だけを倒してる。

異世界だからと言って、無益な殺生はダメって事ですよ。

ゲームとは、違うんですから。

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