第15話

「ただいまぁ。」

宿に戻った。

イベントクリアしたし、病院行ってからだから、もう夕方。

ペンギンさんは、相変わらず内風呂でプカプカしてるし、火トカゲさんは、温泉の引き込み口の上に寝そべってる。あそこって熱いはずなんだけど。

火トカゲだから、熱い位の方が気持ちいいのかな?


【どっ、どうしたの?

そのケガ。。。。】

ペンギンさんに見付かっちゃった。

まぁ、見付からないはずないんだけど。

着替えがないから、血糊がばったりな服だし。


「うん。。。

ゴブリンと戦って、切られちゃった。」

てへぺろな感じで言ってみたら、引かれた。


【お前、ゴブリン相手でもケガすんのか?】

火トカゲさんなら楽勝なんだろうけど、僕には荷が重いよ。


【ねぇ、あれだけ動けるのに、どうして怪我人するのよ。】

ペンギンさんは、濡れたまま飛び上がって抱き着いてくるし。

破れた上に濡れました。僕の服の被害も酷い。


「いやぁ~。ペンギンさんも火トカゲさんも居ないとベンツ出来ないと思って、変身なしで戦っちゃったからのんだよね。」

ポリポリと頭を掻き掻き。


【お前の勘違いは、そこじゃねぇ。】

ペットりと温泉の引き込み口にくっついていた火トカゲさんがムクリと起き上がって


【よしっ、ちょっくら行くぞ。】

僕の頭の上に火トカゲさんドッキング。


【私も。】

ペンギンさんも僕が抱っこして部屋から出る。

もう、時間も時間だし、部屋でゆっくりしたかった。

そして、宿から少しだけ離れた広場。

温泉町の外れだね。

人も居ないし、こんな所で何すんの?

そう思ったら、火トカゲさんが頭の上から飛び降りで、僕から少し距離を開ける。

イヤな予感しかしないんですけど。


【いくぜ!】

ノリノリで火トカゲさんが引き込み火球を吐き出す。

それを何発も連続で。

僕に向かってくるソレ。

当たれば大火傷だよ。

慌てて避ける。

無様でも、転げ回る様にして連続して襲い掛かる火球を避けていく。


【そらっ!】

速度が上がった。

飛来する数が、物凄い。

転げ回ってたんじゃ避けきれない。

転げ回る勢いを使って立ち上がると火球をシッカリ見て、避ける。

うぉっ、髪がチリチリした。

アブねっ。

何とか全てを避けきった。


【ほらっ、やれば出来んじゃねぇか。】

んっ?火トカゲさんの言う事がイマイチ分からない。


【それだけの攻撃を避けられるのに、ゴブリンの攻撃を受けるはずがないって事。

前後左右全ての方向から来てた火球を避けたのよ。

ゴブリン程度にやられる筈ないじゃない。】

ペンギンさんが言う通り、今の火球の方が速かったし、攻撃回数も多かった。


えっ、もしかして僕って変身しなくてもゴブリン程度なら勝てたって事?


【変身して上がるのは、全ての基礎能力と攻撃、防御だ。

変身しなくても、お前は少しは動けてる。

出来ないと思い込んで、ヤラれたんだよ。

バカがっ。次にこんな醜態見せたら、お前もろとも相手を吹き飛ばしてやる。

覚悟しとけ!】

すげぇ怖い事を火トカゲさんが、言ってるよ。

でも、それって僕がヤラれたらの話でしょ?

僕がヤラれたら、怒るって事がでしょ?

ちょっと怖い話だけど、ちょっと嬉しいじゃないですか。

火トカゲさんって、ツンデレなんだ。

ニヤニヤしちゃうじゃない。


【てめぇ、何ニヤニヤしてんだ?

今から特訓だ!

そらっ!そら、そらっ!】

唐突に始まった火トカゲさんとの特訓と言う名のシゴキを受けて、僕は更にボロボロになって、医者へ火傷の薬を貰いに行く羽目になりました。

火傷は軽度でもヒリヒリ痛かったんだからね。









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