第14話

よしっ、10玉収穫完了したし、帰りますか。

楽勝だったな。

と思った僕は浅はかだったのでしょうか?

フラグと言う物を立ててしまったんですね。


ガサガサと雑草らしき草が音を立てる。

何かの気配が近付いてくるのが分かった。

ペンギンさんも火トカゲさんも置いてきたのに。

ヤバいかも。

後退りしていたけど、距離が詰められる一方なので、背を向けてダッシュ。

三十六計逃げるに如かずだっけ?

逃げて助かるなら、躊躇わずに逃げるし。

でも、草むらから出た時には、既に囲まれていた。


「これ、ヤバいよね?」

独り言を言って落ち着こうと思ったけど、落ち着く分けない。

だって


『ゴブゴブッ!ゴブッ、ゴブゴブゴフッ!』

再びの登場、ゴブリンさん。

鉈持ち、槍持ち、小石を大量に持ってるヤツもいる。

総勢6人?

数え方は、何でもいいや。

囲まれてる。

ゴブリンって、賢いのね。

って、感心してる場合じゃないよ。どうにかしないと。

よく考えれば、武器も防具も何もないし。

取り敢えずは、落ちてる木を拾って構えてみた。

ただの棒切れ 攻撃力3

って出た気がした。

出てないけど、僕的に激弱判定って事ね。


まずは、適当に振り回してみる。


『ごぶっ!』

あっさり避けられ


「ぎぃぃ。」

槍みたいな棒で鎖骨の辺りを殴られた。

痛いなんてもんじゃない。

くそっ、涙が出てくるし。

それでも急いでバックステップして、ゴブリン達から距離を取る。

ゴブリン相手に、全く歯が立たない気がする。

ボコられて終わり?

どうしよ?

恐怖と痛みで考えがまとまらない。


『ぎゃっ。』

今度は背中を切られた。

痛みと熱さの様なものを感じる。

ゴブリンの持つ剣を見れば、錆び錆びで血が滴っている。

あんなので切られた?

破傷風とか、なりそうだわ。

囲まれてるから逃げられない。戦うしかない。


「すぅ~~。。。はぁ~~~~。」

大きく深呼吸をした。

隙だらけだったはずだけど、ゴブリン達は襲いかかってこなかった。

多分、余裕を見せてるんだろうね。

やってやんよ!


と気合いだけは、入りまくりだったけど、やべ~。

全く棒が当たらない。

変身出来れば、楽勝なのに。


【素体のみでの変身は可能となっております。

変身ツールを使用しますか?】

突然のグルグルさん。

ちょっと待って。ペンギンさんや火トカゲさんが居なくても変身出来るの?

もっと早く知りたかったし。

でも、ごちゃごちゃ考えてる暇はなさそう。


「変身っ!」

いつものポーズを決める。

ペンギンさんの時は風に包まれるし、火トカゲさんの時には火に包まれる。

じゃあ、何もない時は?

。。。。正解は、何のエフェクトもなしに一瞬で変身してた。です。

もしかして、風とか火って、火トカゲさん達の趣味じゃないよね?


まぁ、いいや。とにかく変身出来たんだ。

これで戦える。

前に居たゴブリンに駆け寄る。

今までより速い。

一気に間合いを詰めて、右の廻し蹴り。

綺麗に決まって、吹っ飛ばす。

よしっ、いける!

続けざまに、すぐ近くのゴブリンに正拳突き。


それからの僕は無双です。

あっという間にゴブリン達を全滅させた。

やったし。


全て倒し終わって、変身を解くと背中と肩が痛みだす。

変身の効果で痛くなかったとかじゃなく、興奮してたから痛みを忘れてたんだろうね。

すげぇ痛いよ。


取り敢えず、ミッションクリアしたし、さっさと帰ります。


帰路は、痛む体に鞭を打ち、素早く帰って病院らしき場所へ向かいました。

異世界なのに回復魔法とかないんかね。

薬を塗りたくり、全治4日の診断で済みましたが、稼いだお金の半分近くが治療費に変わりました。

傷が治りきる前に、またクエスト受けなきゃ。

異世界でも暮らしていくのは苦労するんだね。





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