第9話
「ねぇ、どこまで行くの?」
せっかく入れた町を出て、ペンギンの指示通りに歩いてる訳です。
どうしてかと言えば、ペンギンさんは混浴がイヤだから、自前のお風呂を用意する為。
お風呂を沸かすのに協力してくれる相手に心当たりがあるから見つけに行く。と言う事らしい。
わざわざお風呂を沸かさなくても川で水浴びすればいいのに。ペンギンなんだから。とは言わない。
これが人間関係?を良好に保つ秘訣だと僕は考えてます。
変身にはペンギンさんの協力が必要不可欠みたいな雰囲気だし、機嫌を損なわれたら、僕の怠惰な生活が夢と散るのですから協力は避けられないのです。
ただ、町を出てから、かれこれ1日。
朝早くだったはずなのに、もう薄暗くなってきてるよ。
これじゃあ、また野宿じゃん。せっかく文明社会に辿り着いたのに早くも手離した。泣ける。orz
【もうちょっとの筈。。。】
ペンギンさんも確証があって案内してた訳ではないみたい。
いったい誰を探してるのやら。
更に歩き続けました。
不思議な事に体力に関しては問題ない。
歩くだけなら、どれだけ歩いても疲れない自信がある。根拠はないけど。急に力持ちになったのと同じ感じ。体力も増しマシかも。
【そろそろだと思うの。】
代わり映えのしない景色の中で、ペンギンさんの探してた目的地に着いたらしい。
なんの変哲もない普通の雑木林ですけども。
キョロキョロと見渡してみるけど、やっぱり普通。
特に変わった事は、ない気がする。
こんな所に誰がいるって言うの?
【おっ、じゃましま~~す。】
突然大声?出すペンギンさん。
何に向かって?どこにお邪魔すんの?
と思ってたら、どうやら洞窟があるらしい。
ぽっかりと開いた黒い穴。
奥が見えない位には、深い洞窟らしい。
ココに行くって事だよね。また見えないし、怖いんですけど。
それでも進んでくペンギンさん。
あっ、躓いた。コケるまではいかなかったけど、ヤバかったよ。
【変身して。。。。】
戻ってきて、変身のおねだりされた。
これって、暗くて見えなかったから、変身して進もうって事だよね。
鳥目だもんね。
変身してから暗視カメラモードをオンにして進んでます。
突然に何かが出てきても対応可能だし、変身するのはいいんだけど、こんなに簡単に変身能力使ってもいいのかな?気軽に使いすぎな気がする。デメリットないんでしょうね。
「ねぇねぇ、ペンギンさん。
物凄い勢いで下ってるし、何だか暑くない?」
そうです。
洞窟に入ってからと言うもの下りしかない。
坂ならまだいい。崖とかあったからね。ちょ~怖かったし。
そして、ひたすらに下り続けたら暑くなってきた。
何だかイヤな予感が、ひしひしとするんですが。
【近くなってきた証拠よ。さぁ、進んで。】
変身してるのに乗り物扱いされてるみたいで、何か泣けてくるよ。
それでも進んでいくと、暑さの原因が現れた。
真っ暗な筈の洞窟が明るくなったし、暑さも急激に上がったし、そんな事じゃないかと思いましたよ。
そっと覗くと ぼこっぼこっと赤いモノが蠢いてます。
テレビで見た事あるよ。噴火口の景色と同じじゃん。
マグマだよ。これ。
【来たわよ~~。】
変身が勝手に解けて、ペンギンさんがマグマに向けて叫んでる。
危ないよ。流石にマグマの中では泳げないでしょ。
。。。。。
反応ないですね。
間違ったんじゃないの?
こんな場所に誰が居るって言うのさ。
僕は、もう限界に近いです。暑すぎですよ。
【おぉ~い。面白そうな人間だし、一緒に行こうよ~。】
何だか腑に落ちない口説き文句をマグマに向かって叫んでるし。面白そうな人間って僕でしょ?何が面白いって?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます