第10話

【相変わらずウルサイやつだな。】

おぉっ、声はすれども姿は見えず。

なかなか威厳ある話し方で、大物な雰囲気がする。

期待できるね。

でも、どこ??


【ウルサイって何よ。もぅ。】

ペンギンさん、怒らないでね。

んで、いつ姿を現すんだろ。威厳ある声の主は。


【面白い人間ってのは、コイツか?】

声の主を探してキョロキョロしてるけど見付からないんですけど。


【お前、もしかして俺様を探してんのか?

こっちだ。コッチ!!】

何となく、声の方向へ目線を持ってく。

まぁ、僕の足元なんだけどね。

ゆっくりと下を見ると、そこにはデカめのトカゲ。

真っ赤なトカゲが居ます。

トカゲとしては、まぁまぁデカい。だって、ダックスフントの子犬くらいのサイズ感なんですから。


【お前、失礼な事を考えただろ?】

そう言ったかと思ったら、ぴょんっと飛び上がって、僕の頭の上に。

ペンギンさんを抱っこして、頭の上にはトカゲさん。

何だ。この装備。。。。




【よしっ、じゃあ戻ってお風呂よ。おふろ。】

他の町を探してもよかったけど、戻る事にした。

数日分の宿代払ってあるし、他の町の場所が分からないから確実性を取ったって事。

僕は安全な方を選ぶ性分だからね。


【おっ、ふっ、ろっ♪

おっ、ふっ、ろっ♪】

帰るのに、また1日かかったのにペンギンさんは、ずっとルンルンです。

僕は、もうクタクタ。

宿代も2日分は無駄にしたよ。食事代は宿屋さんの好意で返して貰えたけど。


【ほらっ、早く。早く。】

帰って来て、宿の部屋で人心地つく前に急かされて、また外出。

町に流れてる川の支流を少し辿って、小さな水が溜まってる場所に来た。


【お願いねっ。】


【こんな事の為に連れてきたのかよ。】

ペンギンさんの頼みにトカゲさんは愚痴ってたけど。。。


〔ごぅっ。〕

トカゲさんがデカい口を開けたと思ったら、口より大きな火の玉を吐き出した。


〔どんっ。じゅぁぁぁぁ。〕

池みたいになってた場所に火球は直撃。

物凄い水蒸気を上げてる。

10m四方はありそうなのにグラグラと沸騰してますやん。すげぇ、こぇぇぇよ。


【久し振り過ぎて、手加減間違えた。やり過ぎだな。】

冷静に言ってるけど、この範囲の水を沸騰させるって、すげぇな。しかも手加減して、これだし。

本気だしたら、どうなるんだろ。


【んもぅ。これじゃあ入れないし。】

ペンギンさんが、機嫌ワルイ。

トコトコと水際に言ったと思ったら、フリッパーを上から下に動かした。

ただ、それだけ。。。。


〔どんっ。ざぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。〕

急に水が穴開いたと思ったら


「あちぃぃぃ~。」

熱々の雨が降りだした。

火傷する程ではなさそうだけど、充分熱いよ。

ペンギンさんが風を送り込もうとして、加減を間違えたらしくて、水に大穴開ける。反動で飛び散った熱湯が高々と上がって、それが雨の様に降ってきた。

熱々の雨の出来上がり。

って事らしい。


もう、規格外過ぎる。

僕が変身するよりも、ペンギンさんやトカゲさんが戦った方が強いんじゃない?

調子に乗ってたけど、それが少し恥ずかしいよ。


その後は、川の水が混ざって適温になるまで待ってから、デカい岩で蓋をして水が流れ込まない様にした。

定期的にトカゲさんで変身した僕が、火の玉を打ち込んで適温を保ちました。


トカゲさんとの変身が、お風呂を沸かすって。。。

おかげで、火の玉の打ち方を覚えたんだけどね。

これで、魔物と戦いやすくなったよ。ははっ。。。。

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