XVIII “ゲームチェンジ”

【“テッサ”――MSCトラソルテオトル・船尾】


 チャイナドレスの裾を海風にはためかせているノルさんは、階段の踊り場で1人きりでした。そんな彼女に照準を合わせつつ、ヤンさんは猟犬の目つきで周囲をサッと見渡していく。


 ケティさんはどこに?


 わたしの伝えた誘拐グループの人員構成を念頭に置いているのでしょう。ヤンさんはノルさんの相棒たる、顔面タトゥーの少女の姿を探してました。ただでさえわたしたちは袋の鼠、退路を断つために1人でも頭数が欲しいはず。


 救命艇に飛び込むことはまだ可能でしょうが、防弾なんてまるで想定していない強化プラスチックFRP製の船体では、小口径ライフル弾程度ですら一たまりもありません。ましてやケティさんは対戦車ロケットまで携行している。


 ですが、わたしもヤンさんに倣ってそれとなく辺りを観察してみたものの、ノルさん以外の人影は確認できません。


 これも作戦なのか、はたまた1人でも十分に対応できるという自信の表れか・・・・・・逆光のせいで影法師のようになってしまっているノルさんの表情はまるで読めず、その真意を読み取るすべはどこにもありません。


「両手を見えるところまで挙げろッ!!」


 ヤンさんが鋭い警告を叫びました。


 いかにも警官らしいその警告は、多くの意味を含んでいました。単に職場のルールに従っただけ・・・・・・それが一番大きな理由でしょうが、ヤンさんだって人のことは言えないほど優しすぎるのです。


 ノルさんの抱えている事情が、わたしの元部下に引き金を引かせることを躊躇させていた。


 ゆらり、踊り場の影がうごめく。


の方はいいけど、そっちの男は何者かしら? 

 まあ・・・・・・教科書通りのアメリカ英語に、堂にいった射撃姿勢アイソセレス・スタンス。ついでに“両手を挙げろ”なんて決まり文句まで続けば、どんな仕事に就いているのか簡単に想像はつくけどね」


「DEA特別捜査官のヤン=ジュンギュだ。悪いが、チャイナ服には以前、酷い目に合わせられたからな。妙な動きをすれば、躊躇なく発砲させてもらう」


 言葉に潜む圧が、ヤンさんの宣言はハッタリではないと示しています。ですがノルさんは、軽く鼻を鳴らすだけ。


「フン、DEAラ・ディアね。アンダーソンの部下がここで何してるのかしら?」


「なんなんだ・・・・・・どいつもこいつも。僕の上司はいつからそんな有名人になったんだッ!!」


「ああ、なるほど。あんたはアンダーソンの部下であって、仕事仲間じゃなかったって訳か」


「そういう意味深な言い回しは好きじゃないな!! もっと単刀直入に理由を説明したらどうだ!!」


「これまで誰が証人を売り払ってきたと思ってるの?」


 急に、射すくめられたようにヤンさんが硬直する。多くは語らずとも、ノルさんの言葉が意味するところは、わたしにもすぐ分かりました。


「こっちも向こうの立場を考慮して、奴が疑われないよう色々と“配慮”してきたけどね。

 それでも、現場のあんた達はカルテル関連の証人がつぎつぎ消されていくことに、疑問のひとつも抱かなかったわけ? ガス漏れ事故で証人が死亡なんて偶然にしては出来過ぎでしょうに。

 まあオレたちが上手くやってきたからこそ、そんな風に露骨に動揺してるのかもしれないけど」


「・・・・・・ありえない。アメリカの捜査官なんだぞ」


「そんなに驚くこと? カリはこの国の大統領だって買収してみせる。次からはちゃんと歴史の教科書に目を通すべきね、94年の選挙なんて見ものよ」


 だからハスミンちゃんはヤンさんのことを露骨に警戒していたのね・・・・・・ノルさんからDEAの実態について、警告されていたに違いない。


 DEAのコロンビア支局長すらカリ・カルテルに買われている。だとするなら、ザスカーらがあの安宿に現れたのって、まさかDEAの捜査網にノルさんが引っかかったから?


 ヤンさんが協力を求めたという相棒さんが支局長に内々で報告していたのだとしたら。どんな不可思議なこともありえないとは言い切れない、そんなこと、これまでもう散々思い知らされてきた。


 ノルさんは敵意を隠してません。だって、これでわたしが脱走を試みるのは二度目でしたから。いつもの余裕ある口ぶりが、鳴りを潜めているのがその証拠。このまま手をこまねいていれば、この場に血が流れてしまう・・・・・・。


“女子どもはなし。殺していいのは政府の犬とカルテルだけ”


 そんな掟をひけらかしたノルさんのこと、これ以上ないほどに政府の犬であるヤンさんを殺害することに関して、彼女が戸惑いを覚えるはずがない。


 和解なんてありえない2人の間に立てるのは、この場ではわたししか居ないのです。


 だから声を張りあげる。


「ノルさん!! わたしはこの船で何が起こっていたのかを知りました!! そして恐らく、あなたがわたしを誘拐した動機も!!」


「で? どうするの?」


 返答は素っ気ないを通り越して、冷然ですらある。


「可哀想な子どもたちを助けよう。

 みんなそのお題目が大好きだけど、余った小銭を寄付する程度ならともかく、わざわざ家まで建ててやる覚悟のある奴はそうは居ないものよ・・・・・・。

 同情するのは結構だけど、される側の意見としては、優しい言葉なんて知ったことじゃないわ。同情じゃカルテルは止まらない」


「ノルさん今・・・・・・わたしのことをテッサって呼びましたか?」


 引っかかっていた違和感の種がそれでした。


 すべての騒動の根源は、ノルさんがわたしをテオフィラ=モンドラゴンと誤認したことに端を発しています。わたしから見たらそっくりさんを使った狂言誘拐でも、彼女にとっては大真面目。


 わたしの存在は、起死回生の策を求めていた時にひょっこり現れた大チャンスだったはずなのに。それをノルさんは、わたしの本名を呼ぶことで自ら否定していた。


「テレサ=テスタロッサ、略して “テッサ”。そう名乗ったのはそっちでしょう?」


「そう、ですけど」


「・・・・・・下っ端のオレには、カリの組織系統図の全容なんて知りようもない。

 無数の連絡役がどこからか降ってくる指令を伝え、互いに顔も知らない同僚どもが麻薬の製造、輸送、売買、そして戦争までこなす。

 すべてが匿名化されているネットワーク――それがカリ・カルテルの本質なのよ」


 つい先ほどヤンさんが仰っていたことを、ノルさんは知らずしらず内にふたたび強調していた。


 カルテルのあり方としては、カリという組織は異様なのかもしれません。ですが匿名化されたネットワークで動かされる、中枢のない組織という構図にわたしは覚えがありました。


 そう、細胞セルに酷似している気がします。


 司令官が指令を出して、部下たちがその指示に従っていく。こういうトップダウン型の組織構造には誰しも覚えがあるでしょう。軍隊、学校、企業なんかも、シンプル・イズ・ベストなこの形式を採用している。


 ですが細胞セルというのは、集合体なのです。


 指令を出している中枢こそありますが、よしんばそれが欠けたとしても、即座に無数にある少組織のどれかが役割を交代する。実のところ細胞というのは誤訳に等しいのですが、あまりに実態と酷似しているためにこの名前が定着したという経緯がありました。


 人体の細胞とおなじく、新陳代謝を繰り返しながら生き続ける組織構造。カリ・カルテルに捜査機関が手を焼いている理由もこれなら納得です。古くからテロリストやレジスタンスの常套手段だったやり口を、この麻薬組織は現代を舞台に行なっているのですから。


 ノルさんの言うところの連絡役というのは、わたしたちの専門用語で呼ぶところの遮断機カット・オフでしょう。


 組織同士の橋渡しをおこなうこれら連絡役メッセンジャーたちは、多くを知らされません。せいぜいこの指令をA地点に運べというのが関の山。ですからよしんば捜査機関が連絡役を逮捕して尋問したところで、大したものは得られないのです。


 連絡役に連絡を渡した連絡役の連絡役・・・・・・そういう目眩がしてくるほど気の長い捜査をつづけても、組織の全体図が判明するのはいつのことになるのやら。もちろん組織側だって、尻尾を掴ませないように対策はしている筈なのですから。

 

 しいてこの組織構造の欠点を挙げるとしたら、指令を伝える伝達速度があまりに遅いということかしたら。ですがそれを除けば、この組織構造はおぞましいほどの匿名性と強靭性を兼ねそろえている。


 パブロ=エスコバルという王を失い、一夜にして崩壊していったメデジン・カルテルの轍を踏むまいと、カリ・カルテルは進化し、適応していったということなのでしょう。


「だけどね、長く仕事をつづけていると、イヤでも知った顔というのが増えていく。

 例えばカルテルの粛清担当こと、リボルバー・ザスカーとかね。テッサもあの男のことはよく知ってるでしょ?」


「カウボーイハットに人の歯を飾り立てていた、あの悪趣味な男ですね・・・・・・」


 ヤンさんがギョッとしてこちらを見つめくるあたり、わたしが思っているよりもザスカーは悪名高い男のようです。


「いくらカリ・カルテルが高度に匿名化されていようとも、頂点に立つボスヘッフェは存在してる。もっとも顔すら知らないけどね。

 逃げるのが一番、楽ではある。でもそのためには大金が要る。困ったものよ・・・・・・オレはケチなシカリオであって、金勘定をするのは別の部門の仕事なんだから」


 だからわたしに目をつけた。テレサ=テスタロッサではなく、テオフィラ=モンドラゴンに。


「けれど殺しなら知ってる。

 無い物ねだりをしても始まらないから、自分の出来ることをしようと考えた。組織の壊滅は不可能でも、1人でも多く心当たりのある幹部どもを抹殺していけば最低でも時間は稼げる」

 

「・・・・・・ですがそれでは、埒があかないでしょう」


「そうね」


 わたしの懸念をノルさんは、サラリと肯定される。


「この船で皆殺しマタンサを働いたあと、日が跨がないうちに県司令官コマンダンテ・デパータメンタの屋敷を、荷台いっぱいにC4爆薬をつめ込んだ4tトラックで吹き飛ばしたわ。

 効果は絶大、なんと1日も指揮系統を混乱させることができた・・・・・・でも今は、もう顔も知らない別の司令官がこの街を牛耳っている。

 あの高級ホテルグランドハイスト・アギーラカルバに行ったのはね、テッサ。在りし日の司令官殿に会いに行った時、サングラス姿の白人グリンゴに、あの傲慢チキな男が頭を下げてるところを目撃したからなのよ」


 サングラス?


 その単語を聞いて、ホテルから逃げる際に遭遇した、サングラスをかけた初老の男性のことが脳裏をよぎりました。


「カリではよくある話だけど名前すら知らない。けど、県司令官コマンダンテ・デパータメンタがへりくだる相手なら組織の大物には違いない。

 人相だけでは調べるのは大変かと思ったけど、カリは表の看板も大事にするから、思いのほかすぐ見つけられたわ。

 ほら、あの街中に突っ立ってるどデカいアリーナ、あそこのオーナーに堂々と名を連ねていたのよ。お陰で、カルテルの表の顔のひとつである警備会社B.S.S.に24時間ガードされて手出しができなかったんだけどね。

 そんな男がどうしてか、いきなり警備の手薄な空港近くのホテルでメキシコ人の実業家と商談することになった」


「いきなりスケジュールを変更し、攻撃しやすい場所にみずから現れた。分かりやすすぎるほどの罠ですね」


「そう・・・・・・ザスカーも言ってたでしょ? あのホテルに居たって。

 罠だと知っていても、殺ししか知らない馬鹿が他にできることといったら銀行を襲うぐらいもの。

 カルテル同士で殺し合うならそれはただの日常。今さらそんなことに誰も感心を持たないけど、銀行なんて襲撃したりすれば、即座にトップニュースを飾って国中から追い回されるようになる。

 他人の死には無関心でも、自分のカネとなったらそうもいかない。理不尽よね、文明社会って」


「・・・・・・」


「そこに現れたのがあなたよ、テッサ。

 秘書と一緒に、スケジュール通りに姿を現したサングラス男のすぐ後につづいて、ひょこひょこタクシーから降りてきた特徴的な容姿の小娘。

 いくら一人旅が趣味とはいえ、カリが支配してる街にあのハイメ=モンドラゴンの愛妻が現れるなんてありえない。

 頭では分かっていても・・・・・・このままサングラスの男を殺したところで、また同じことの繰り返しよ。殺し、殺され、暴力の連鎖が永遠と続いていく。カネだけが・・・・・・その連鎖から抜け出されるパスポートなのよ」


 一か八かの賭けは変わらない。ですが、後者なら負のスパイラルから抜け出せるかもしれない。そのためにノルさんは不都合な真実から目をつむることにした。


 その結果が、いまの状況なのでした。


「でもまだチャンスはある」


「ノルさんそれは・・・・・・」


 ずっと見て見ぬ振りをしてきた現実。それをわたしに語って聞かせておきながら、ノルさんはまたその現実から目を逸らそうとしていました。


「言い訳はしないわ。オレは悪党バンディットよ、いずれ地獄の業火に裁かれる。

 でもそれまでは、人のことを勝手に兄貴扱いしてくる迷惑極まりない奴らばかりだけど・・・・・・約束しちゃったからね。悪いけどテッサ――あなたには最後までテオフィラ=モンドラゴンを演じてもらう」


 それはまるで、死刑を宣告する裁判官の言葉のように聞こえました。


 小さく“申し訳ありません大佐殿”と断りを入れてから、捜査官としての適正な法手続きデュー・プロセス・オブ・ローを無視してわたしの元部下は、戦士としての本能を優先させたのです。


 いきなりヤンさんが発砲しました。拍手の音を何十倍にも増幅させたような破裂音が2度、つづく。


 ベレッタ92から発射された銃弾は、ほんのつい先ほどまでノルさんがもたれ掛かっていた安全柵に激突、火花を散らしていく。


 しかしノルさんは発砲されることを読んでいたみたい。撃たれる直前、素早く身を翻してこちらの死角に隠れていく。


「大佐殿、救命艇へッ!!」


 頭上に照準を固定したままヤンさんが叫びます。


 こうなることは望んでいませんでした。ですがあの頑な態度では、ヤンさんの咄嗟の判断を一方的に責め立てることはできませんでした。


 ノルさんは次にどう出てくるのかしら? 階段をそのまま降りてくるか、上部構造物の中を迂回してくるか。ノルさんには攻撃の選択肢はいくらでもある、ですがわたしたちに出来るのは逃げの一手のみ。


 この期に及んでわたしはまだ逡巡してました。


 ヤンさんはわたしを救命艇に乗せようとしている、ですが自分はまるで動こうともせず拳銃を構え続けている。まさか、殿として残るつもりなのでしょうか?


 いくら素早く脱出できるように設計されているとはいえ、救命艇を出発させるためにはまず乗り込み、つぎに施錠して、レバーを引いてから離船という工程を踏む必要があります。


 その間にノルさんが船体に穴でも開けようものなら、脱出したところで意味がありません。沈没船がどこへ逃げられるといういうのでしょう?


 それを防ぐのにもっとも確実な手段とは、誰かが足止めを買って出ることなのです。


 勝敗がまるで読めません。ヤンさんとノルさん、どちらも畑は違えど戦闘のプロ同士なのです。なにより“女子どもはなし。殺していいのは政府の犬とカルテルだけ”、あの宣言の通りノルさんが手加減するとは思えない。


 部下を見捨ててこのまま逃げる。いえ、わたしが捨てようとしている命はそれだけじゃありません。社会の歪に追い詰められている子どもたちもまた、置き去りにしようとしている。


 プロの行動力と、稚拙な判断能力という矛盾。


 ノルさんはとっても大人びた容姿をしています。ですがメイク次第で、年齢なんていくらでも誤魔化すことができるのです。もしそうだとしたら、ノルさんの判断の甘さにも説明がつくかもしれません。


 洗脳と投薬をされながらカルテルによって高度な軍事訓練を施され、幼少期を奪われた子ども・・・・・・命令に従うよう育てられ、いきなり獲得してしまった自由に戸惑っているのだとしたら。


 そう――人は見かけによらない。


 そんなわたしの逡巡は、時間にすればほんの数秒間のことでした。わたしが結論を下す前に、ノルさんはすでに次の手に移っていました。


 カッ!! カッ!! カッ!!


 鋭く、鋼鉄の床をハイヒールがたたく音が真上から聞こえたかと思えば、スポットライトのように強い照明のまえに影が躍り出てきます。


 階段を降りるか、迂回するか。わたしの考えた選択肢は、ヤンさんだってとうに考慮済み。どの方向からノルさんが仕掛けてきても対応できるよう、きっと意識を分散させていたに違いありません。


 それが隙となってしまった。


 とてもじゃありませんが、正規の軍事訓練を受けたものでは思いつけない攻撃経路。すなわちノルさんは――3階建ての階段から直接、飛び降りてくるという奇襲攻撃を選択したのです。


 ヤンさんには撃つ暇すらありませんでした。落下してきたノルさんと激突して、まるで交通事故のように人体がぶつかり合い、はじけ飛んでいく。


 用反作用の法則は絶対。救命艇のすぐ横にある安全柵まで吹き飛ばされてしまったヤンさんは肩をおさえ、打ち付けてしまった背中の痛みに顔を歪めつつも、闘志はまだ十分に残っていた。


 その反対側。甲板に倒れ込んでしまったノルさんを一瞬、わたしは死んでしまったのかと息を呑んで見つめてしまう。ですが、パルクールよろしく地面を転がることで衝撃を緩和したみたいでした。

 

 ・・・・・・ゆらり。軟体動物のようなどこか不気味に脱力した動きで立ち上がっていくノルさんは、あの高さから落下したばかりだというのに、まるでダメージが見受けられない。


 完ぺきな受け身。被害があるとすれば、落下の衝撃で脱げてしまった真っ赤な髪のウィッグだけでした。


 露わになってしまったノルさんの地毛は、ラテン美女らしからぬ荒っぽい髪質でして、わたしはつい状況を忘れて、その変貌ぶりに目を見張ってしまった。


 ウィッグにぎりぎり隠れるよう、ちょっと長めですけどショートカットの髪型。ですがブラウン色した地毛は、ウィッグのけばけばしい色合いとは大違いで、とっても地味な感じです。


 耳の横に小さく結い上げられたおさげ髪がありましたけど、オシャレといえばそれぐらい。そうまるで――男の子ような髪型でした。


 短い距離を挟んで対峙する、ノルさんとヤンさん。


 ノルさんは冷徹な目でたた前方を見据え、ヤンさんはダメージを抱えた身体にすこし焦りつつ、激突の衝撃のせいで手からすっぽ抜けて甲板のすみに転がっている、ベレッタ92を意識していました。


 2人の戦いに、文字どおり挟まれてしまいましたが、わたしには何も出来ません。ただ事態を見守るばかりでした。


 拳銃を意識しつつも、息を吐いて袖をまくりあげ、ファイティングポーズを取っていくヤンさんに対し、ノルさんはいつも通りの自然体のまま距離を詰めていく。


 殴り合いがはじまる。どちらも訓練されていましたから、どこかテンポの良い格闘戦なっていました。ですがこの殴り合いにルールなんてありません。どれほど激しく見えても、どこかで相手の選手を労っているスポーツなどとはまるで異なる、徹頭徹尾、相手を破壊するための殺し合い。


 もうあの2人は、お互いしか眼中にありませんでした。わたしの運動能力をよくよくご存知なノルさんにとって、もはやわたしは背景にすぎません。


 気づいていないのかしら? わたしがグロック26を手の中に隠し持っていることを・・・・・・目にも留まらぬ拳の応酬。ですがノルさんの背中は無防備に晒されていて。


 じんわりと汗が、グロック26の引き金に染み込んでいく。









【“ノル”――MSCトラソルテオトル・船尾】


 目の前に立ち塞がるアジア系。年にして30半ばから後半と読んだが、正直なところベビーフェイスの多い人種だからあまり自信はない。どのみち一番重要なのは――目の前に居るのが、明らかに高度な軍事訓練を受け、かつ実戦経験も豊富な男という事実だけだった。


 DEAの捜査官もそれなりに訓練は積むものだし、なんなら自前の特殊部隊だって抱えている。だがこの男の技術のルーツはどうにも怪しかった。


 組織や部隊ごとに蓄積された膨大なノウハウ。それを気が遠くなるほど反復練習して身につけて、やっと一端の戦闘力というやつを手に入れることができる。だから学んだテクニックごとの癖というやつは、どうして表に出てしまう。


 この船では多くのことを叩き込まれたが、ロシア人の教官に教わったことの一つに相手のルーツを知れというものがあった。あれだ、敵を知り己を知れば百戦あやうなんちゃら。


 鋭く飛んできた蹴りを二の腕で捌き、距離を取る。


 空手、いやテコンドーか? 打撃をいくつか交わした感触からして、個人的に学んできた格闘技が顔を出してきたとは思えなかった。道場拳法じゃない、これは相手を破壊することに特化されたテクニックだった。


 おそらく軍隊仕込み――だが正直、俺の相手にはならないと感じていた。


 殴り合いの合間にわざと立ち位置を変えて、奴の所有物であるベレッタ92の近くをぐるぐる回ってやる。そうすると、奴は露骨なまでにピストルに意識を向けだすのだ。


 軍隊における格闘技というのは、敵を撃ち殺すための距離と時間を稼ぐためのものというのが殆どだ。相手のテクニックを知るということは、すなわち相手の思想を知るということでもある。


 この男の格闘技、殴り合い一本で世の中を渡っていこうという格闘家のそれじゃなかった。専門はおそらく銃撃戦なんだろう。


 DEAラ・ディアの武器は、ベレッタ以外にもあった。


 スーツの裾が跳ね上がった時に見えたが、右腰にあるのは格闘に不向きな作業用の折りたたみ式ナイフが収まっていた。引き抜き、刃を取り出し、刺すという3行程が挟まるから、このペースで格闘をつづけるなら相手も抜くつもりはないだろうし、こちらとしてもそれを許すつもりもなかった。


 ならやはり・・・・・・わざと床の拳銃を蹴飛ばしてみた。一瞬、DEAの視線が横にズレる、あれを拾いたくて仕方がないのだ。そこに、本当の蹴りというものをお見舞いしていく。


 軍人と暗殺者シカリオは違う。


 俺もカルテルの兵隊ソルダードとして軍隊流の技術を叩き込まれてはいたが、それよりも刃付きのコインで首をかき切ったり、相手の首をへし折る技術のほうが専門だった。


 警備が厳重なところに忍び込みたいなら銃を隠し持つよりも、うっかりポケットに入っていたとか、適当に言い訳できる刃付き硬貨のほうが使いやすいのだ。


 フェイントからの蹴り。だが相手も腕がいい、咄嗟に手で払ってこちらの一撃を防ごうとしたが、力の殺し方は不十分にすぎる。


 水のように衝撃を受け流すことを旨とする、俺が学んできた脱力を基本とするロシア式マーシャルアーツとはまるで別物。あんな力任せのさばき方じゃ、威力は半減できてもダメージ皆無とまではいかなかった。


 頭部への強打。今ごろやつの頭では星が舞っているに違いない。


 よろけながらも闘志を失わないのは流石だったが、そこに指に挟んだ500ペソで畳み掛けていく。


 刃付き500ペソの欠点は突き刺せないこと。切り裂きだけで相手を仕留めたいなら、首か血管を狙うほかない。だがその切れ味は十分すぎた。


「くッ!?」


 1本線に切られたスーツの袖から赤い血が滲み出てきて、DEAがうめき声をあげる。夜の船上、指の間に挟んだ硬貨というのは見えづらいだろう。


 先制こそ許したものの、そこからの奴の動きは的確だった。


 後退りながら上着を脱ぎ去り、手早く腕に巻いてアーマーとしていくその発想力は良かったが、その間にも攻撃の手を緩めてやる理由がこちらにはない。すぐさま追いすがり、さらに打撃と切り傷で攻め立てていく。


 相手もその道のプロらしくみすみす頸動脈をこちらに晒してくれたりはしないが、武器がある分だけこちらが優位だった。とはいえ、やはり正面切ってやり合うシチュエーションではこの殺人硬貨、リーチが短すぎて使いづらくて仕方ないのだが。


 立ち位置がすばやく入れ替わり、打撃が応酬される。


 満身創痍で荒い息を吐いてるDEAと異なり、こちらにはまだまだ余力があった。


 ずっと忙しく動き回っていたし、そのうえ連戦続き。身体は疲れきっていたが、それでも土俵の違う相手ごときに遅れを取ったりはしない。


 PSSをとりあえず抜いてみたものの、1発も撃たずにホルスターに戻したのはこれが理由だった。実力差が明白ならまず情報を得てからでも遅くはない・・・・・・もっともそんな傲慢、不屈の闘志を見せつけてくる相手の打撃を前に、とうに諦めていたが。


 おそらく指をぜんぶへし折ったところで、一言も情報を漏らすまい。だったら・・・・・・躱したパンチに返礼として切り傷をこさえさせつつ、奴の命運を決める。


 殺し殺されマターロ・オ・セ・マタードがこの世の常だ。


 DEAは追い詰められていても冷静に状況の打開を見計らっていた。急に腕に巻きつけていた上着を剥がし、弾力のある盾のようにしてこちらの打撃を数度いなしてから、そのまま上着を人の二の腕に絡みついてきた。


 これでこちらの動きを制御できると思っているなら、大間違いだ。


 人より可動域の広い関節を曲げて、逆に上着を握っているDEAをこちらに引き寄せ、バランスを崩したところで仕掛けるつもりだったのだが――これは奴の時間稼ぎであったらしい。


 あっちやこっちに滑りつづけていたベレッタ92に飛びついていくDEA。すぐさま目にも止まらぬ速さでスライドを引き切り、左肘をあげて、腹のあたりに構えている拳銃を掴まれぬよう防御しつつこちらに近接してくる。

 

 まったくもって度し難い。この場所に誘導してやったのは誰だと思ってる。


 こんな格好チャイナドレスをしているのは、基本的には女に目がないマッチョ主義者の麻薬業者をだまくらかすためだが、俺だってこのドレスが土地柄にあってない自覚はあった。


 だが他のセクシーさを売りにしたドレスは、どれも生地が薄手でダメなのだ。


 チャイナドレスというのはそもそも、遊牧民が日々の生活のために作り上げた実用本位のものだ。それは遠い子孫であるこの服とて同じ。色っぽさを増すためにスリットを設けたりなどのアレンジこそ加えられてはいるが、分厚い生地はオリジナルそのままだった。


 この特性は身体のラインを隠して性別を偽るために好都合だし、なにより防弾アラミド繊維を編み込むのにうってつけなのだった。


 腹に2発撃ち込んだのに、平然と立っている俺に驚愕の視線を向けてくるDEA。


 もっとも致命傷にならないというだけで、銃弾の運動エネルギーまでは防弾繊維は防いでくれない。まるで肋骨に金槌が叩きつけられたような気分を味わうがもう慣れたもので、軽く息を吐くだけでスッと痛みが引いていく。


 嘘か真か、科学者連中が飲ませてきた骨を強靭にする薬とやらが効いているのだろうか? 9mmに45口径、これまでいろいろな銃弾を叩きつけられてきたが、肋骨が折れた経験は一度もなかった。


 意趣返しだ。俺の腕に巻きつけられた上着を引き剥がし、今度は奴の首にかけて、そのまま地面に引き摺り下ろしながら膝で出迎えてやった。


 鈍い轟音のあと、顔面に食らった強打のあまりドサッと倒れ込むDEA。だが、頑丈な頭蓋骨で命拾いしていた。


 死んだり、意識を失った人間の倒れ方は特徴的だ。訓練を受けていない人間でも無意識に自分の手を盾にしながら倒れていくもので、DEAもまたそうしていた。


 もっとも、とてつもなく重い打撃だったから脳震盪ぐらいは起こしてそうだ。半死半生、うめき声をあげながら倒れ伏している。なら、トドメを刺すべきだ。


 しかし動機のよく分からない男だった。


 誘拐された可哀想な旅行者のためにアメリカン・ヒーローを気取り、たった1人で飛び込んできた・・・・・・その割には、言動に独善性のカケラも感じられない。アンダーソンがカリから命じられるがまま部下を送り込んできたというのも、さっきの反応からしてありえないだろう。


 となれば、個人的動機か。


 人種が異なるから、テッサの家族というのは無理がある。テッサが実は養子で、このDEAが年の離れた兄貴という線はありはするが、俺はあの安宿でのテッサの告白を思い出していた。


 腹芸のできないクソ真面目な女が、自分は養子とか隠し通せるものだろうか? 恋人というには歳を食いすぎてるし、逸れたとかいう護衛かとも思ったが、この必死さは雇われのそれじゃない。


 どうしてこんなリスクを冒してまで、それもこうも玄人筋の人間がトラソルテオトルまで乗り込んできたのか?


 “極秘の傭兵部隊を率いていた”・・・・・・ まさか。


 立ち上がろうと甲板に手をついたのはいいが、すぐさま滑ってまたも突っ伏していくDEA。奴の戦闘術は、基礎はともかく奇妙に多国籍のテクニックが入り混じったものだった。それもプロの傭兵であるなら説明はつく、のか?


 俺自身、生まれはコロンビアだがロシア人の教官のお陰で、基本的にはソ連式の戦技を身につけているのだから。


 ・・・・・・どう考えてみても、よく分からない。


 昔から考えるのは俺の仕事じゃなかった。どこに向かうべきか、その戦略はいつも用意されていた。


 標的をどう仕留める? 銃か、爆弾か、素手か? それに関しては、委細すべてが俺に委ねられていた。だがそもそもどうして標的を始末するのかとか、仕事に必要でない話は教えられすらしなかった。


 それでいい、どうせスラム出の馬鹿なのだ。どんなに理屈をこねくり回してみても、俺が組み立てられる最善の作戦ときたらこれだ。顔が似てるだけの女を誘拐して麻薬王を揺すろうとしてる。


 ろくでもない結果になることは分かっていた。だが俺の頭ではこれが精一杯なのだ。


 どう生きるべきか、何が正しいのか、そういった人生の厄介事をすべて――トラソルテオトルの支配者である“ママ”が決めてくれていた。


 だがみんな死んだ。俺が殺した。だからこれからは、否が応でも俺が決めるしかない・・・・・・。


 教官がロシアから持ち込んできたSP-4弾なんて独自規格の弾丸は、ずいぶん前から在庫が切れかけだった。使った空薬莢はできるかぎり回収して、地元のガンスミスに作成してもらった弾頭を詰め込むリローディング日々。そうでなくても愛用のPSSピストルの運用方法はいつもラフなものだった。各部にガタが出ていて、撃たないで済むならそれに越したことはない。


 だから代わりにベレッタを拾い上げた。


 チャイナドレスの防弾性能はいつもどおり快調。腹部の鈍痛がベレッタはちゃんと動いてくれると教えてくれていたが、念には念を。


 残弾を確認し、スライドを引いて手動装填。整備状態はいい、これで撃てなかったら驚きだ。すべてを確認してから俺は足元のDEAに向き直った。


 パン、パン、頭に2発、それで終わり。いつもの結末だ――いずれ俺もこうなる。世界はそういう風にできている。


 だがまだ撃つことはできなかった。


「・・・・・・何してる?」


 駄目だな、どうにもウィッグがないとマインドセットが解けてしまう。女声でなく、地声そのものなダウナーな口調が出てしまった。


 銃口は足元のDEAに、だが視線はテッサの方を向いていた。


 アッシュブロンドの髪をなびかせ、意志のこもった瞳でテッサはこちらを見下ろしている。いきなりあいつの背が伸びたわけじゃない、単にロープを巻きつけておくための土台の上に立っているからだった。


 この船尾で唯一、安全柵よりも高い場所にある土台だ。


 柵の向こうはもちろん海。あと一歩踏み出すだけで、テッサは暗い夜の海へと真っ逆さまに落ちていく。


 経験から言わせてもらえば、この高さだと、水面の固さとコンクリのそれにさして違いはない。よく生きたままコントラを橋の上から突き落とすから確かだ。


 ・・・・・・救命艇に逃げ込まれるより、こいつはずっと厄介なパターンだった。そっちを選んでくれたなら、念のため艀で待機させてるケティがどうにかしてくれる。だがこれでは。


「見てのとおり飛び降りようとしてます」


 高さに少し足がすくんでいるようだが、テッサはそんな感情おくびも出さない。ひたすら気丈にこう言い放った。


「最初は、あなたを撃とうかとも思ったんですけど・・・・・・」


 らしくない剣呑な言葉に驚き、テッサの目線に導かれるまま見てみれば、救命艇の入り口あたりに無造作にグロック26が放置されていた。


 ・・・・・・しくった。先入観なんて、いちばん度し難い失敗だ。あんなもの隠し持っていたなんて。


「どうせ撃っても当たらないでしょうし・・・・・・でしたら、あなたを止めるには他の方法を取るしかない」


「それで飛び降りか? 俺だって泳げる」


 泳げるのは事実だが、着水したあとも意識があるかどうかは半々というところか。


 諦めと覚悟が半々といった微笑みをテッサが浮かべた。


「そうなっても構いません。わたしの元部下を殺害することを、あなたが思い止まってくれさえすれば」


 元部下?


 テッサの年齢について突っ込んで尋ねたことはないが、10代後半からせいぜい20代の始めといった辺りだろう。部下を持つにしてはいくらなんでも若すぎる。


 これが一般企業とかだったらまだ可能性はあったのだろうが、自称、現職のDEA捜査官を部下としてこき使っていたというのは、いくらなんでも道理が合わない。


 テッサは単に俺たちの問題に巻き込まれただけの被害者だ。それは確かだが、同時に普通の旅行者でもないということはすでに察していた。


 誘拐されてパニックになるどころか、テッサは危険が迫るほどに冷静になる。そして静かに作戦を立て、荒事に慣れているはずの悪党どもを翻弄する。俺もその1人だった。


 頭が切れる。それだけでは説明がつかない、異様な胆力。


 平和を当たり前のものとして育った能天気な白人グリンゴ女・・・・・・かと思いきやいきなり豹変して、俺たちと同じ匂いを漂わせだす。血と暴力の匂いを。


「この船では人体実験が行われていた、そうですよね?」


「・・・・・・」


「子どもたちをどこからか連れてきて、薬を与えて洗脳していた。そうしてうまく適合した子には次のステージ、高度な軍事訓練を施して、あなたのようにプロの暗殺者として育成してきた。

 それ以外の不合格の烙印を押された子たちは・・・・・・」


「要点はハッキリさせろ」


「あなたは子どもたちを助けようとしている。だからお金が要るんでしょう」


 別に・・・・・・隠していた訳じゃない。聞かれなかったから答えなかったまでのこと。


 だから否定も肯定もしなかった。俺の本心とは、微妙にズレた回答だとしても、わざわざ修正してやるほど親しい間柄じゃなかった。


「目的は分かりました。でもやり方は感心できません」


「いまさら変えられる訳ない」


「そうですね・・・・・・あなたの計画は絶対に失敗します。でももう、わたしは自分のせいで誰の犠牲も払いたくないんです」


 テッサは言った。 


「最後まであなたにお付き合いします。ただし、その結果がどうなろうともヤンさんだけは解放してください」


「・・・・・・俺にメリットがない」


「逆にいえば、失うものもないでしょう? だってDEAがどれほど無力な存在であるか、誰よりもノルさんがいちばんご存知の筈なんですから」


 普通、こんなか弱い女が命乞いをするときに取る手は、泣き落とししかない。だがこの女は違う。ギリギリまで状況を見定め、的確に交渉材料を提示してくる。


 “そうしなければ、飛び降りる”。その一語をあえて付け加えない嫌らしさを、どうしてか俺はテッサらしいと感じていた。


 見た目はただのバカ女。だがこいつは、こちらの回答次第で本気で飛び降りるだろう。


「・・・・・・」


 ハイテク音痴の俺が扱える唯一の文明の利器、懐から携帯電話を取りだしてケティに向けて短いメールを発信した。


 “合流しろ”。俺1人ではテッサとDEA、同時に2人は拘束できない。


 テッサがこれまでどんな人生を歩んできたのか皆目検討もつかない。だが扱うのはともかく、銃器の操作方法そのものは知っているらしい。


 俺はこれ見よがしベレッタの撃鉄ハンマーに親指を添えて、元の位置へと戻していった。テッサもダブルアクション式の拳銃だとこの状態でも即座に発砲できると承知していたろうが、それでもジェスチャーの意味をちゃんと汲んでくれた。


「・・・・・・ありがとうございます」


 複雑な感情が入り混じったお礼を聞き流す。


 これでテッサは、巻き込まれただけの被害者じゃなくて俺たちの共犯者となった。当人が望んだものじゃないだろうが、それでもDEAという脅しの種も手に入った。今はそれで良しとすべきだろう。


 どんな仕事にもイレギュラーは付き物。結果オーライ、そう捉えて先に進むしかない。


 テッサを土台から降ろす手伝いをしながら、俺の思考はすでに、どうやってモンドラゴン・ファミリアの連中を騙すかに飛んでいた。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る