X “ウルフ・ボーイズ”
【“テッサ”――スラム街、安宿】
シカリオ。その語源はラテン語のシーカーリイー、あるいはシーカに由来する。
鋭く湾曲した刀身をもつ古代ローマの短刀 “シーカ” は、当時においてすら暗殺者の武器であると見なされてきたそうです。または、奴隷である剣闘士たちが主人を喜ばすべく敵の首を掻き切るための武器でもあった・・・・・・。
現代においては、単にスペイン語で殺し屋を意味する言葉として知られている。
「
ピン、とかん高い金属音のあと、コインがくるくる回転しながら落ちてくる。手慰みに刃付き500ペソ硬貨を天へと弾きながらノルさんは話していきました。
「当たるかどうかはまあ運次第。オレたちはそんな、クソ度胸だけが取り柄のそこらのチンピラとは違うわ」
コインは手の中に収まったはず。ですがいざ手のひらを開けてみれば、そこには硬貨の姿は影も形もありませんでした。
「軍隊上がりの教官たちから専門的な訓練を受けて、プロと呼ばれるにたる技術と戦闘規範を身につけた・・・・・・そういうのはモンドラゴンの専売特許みたいに言われてるけど、実は他のカルテルでもやってたわけよ。
まあ、今となっては過去形だけどね」
自分を大きく見せるための誇張はそこにはない、あまりに淡々とした説明でした。
嘘には感じられない。そもそも彼女が高級ホテルで見せた戦闘力は、そうでもないと納得がいかないものでした。
「ひとたび殺せと命じられたら、どういう作戦がもっとも達成度が高いか吟味したうえで、確実に目標を達成する」
人の生死について恐ろしく事務的に語り、またそれが行動にも現れているプロ特有のしぐさ。今のノルさんは、わたしの知っている特殊部隊員たちの姿とそっくりでした。
彼女は、自身を専門的な教育を受けたプロの殺し屋であると自称した。まるでフィクションの中のような話ですが、まんざらありえない話でもないとわたしは知っていました。
大抵は、元軍人が罪を犯して刑務所に入るなどして犯罪組織と偶然つながりを持ってしまいそのまま組織お抱えの
ですがノルさんは、自分はそのどちらでもないと主張している。初めから、殺し屋になるべく訓練を受けてきたのだと。
それがどれほど異様な話であるか、このチャイナドレスの麗人が自覚しているか不明でした。
特殊部隊員を養成するのにかかる費用は、ざっと1人あたり100万ドル。それ以外にも教官を雇い入れ、しっかりした訓練施設も準備する必要がある。ここにもちろん、銃火器や弾薬など、決して安くはない備品まで大量に集めなくてはなりません。
アメリカ国内ならありえない話です。
大量の武器弾薬を買い込めば、それが合法であれ違法であれ、すぐさま
法的には違法な存在であるミスリルの裏舞台をそれなり以上に知ってるからこそ語れるのです。そのミスリルにしても、有望な人材をスカウトすることで訓練過程を大幅な短縮していた。
イチから訓練すれば、なるほど自分たちにとってもっとも都合の良い人材を育てることはできるでしょうが・・・・・・そのコストはあまりに膨大すぎる。
あのミスリルが尻込みするほどに、教育はお金がかかるのです。
ですが、この土地のありようを思い出せば間違っているのはわたしの方かもしれません。
世界の殺人件数のじつに3分の1が中南米に集中している。その事実を加味すれば・・・・・・需要があるところに供給がある。プロの殺し屋の仕事が絶えないほど大きな市場が、この国には根づいているのですから。
「・・・・・・えらくシリアスな顔ね」
本からの受け売りとはいえ、殺人件数とはべつに行方不明件数も同等以上にある事実を鑑みれば、真面目な顔のひとつやふたつしたくなります。
そんなわたしを尻目に、ノルさんはちょっと微笑みで表情を崩される。
「だから言ったでしょ? 今は副業・誘拐魔だって。
カネが入らなければすぐ解放するって約束は有効よ。ただし、あんまり度が過ぎるようなら・・・・・・いつもどおり、首を切り落とさせてもらうわ」
冗談めかしていましたが、首を切るという行為が当たり前のように選択肢に入ってました。
異様です。ですがその異様さこそが、彼女の普通なのです。
――ふと悩む。でしたら16歳で潜水艦を指揮したわたしが普通とは、とんだ笑い話かもしれない。
巡航ミサイルでテロリストを吹き飛ばすのは正しくて、首を切り落とすのは野蛮だとでも?
もしかしたらわたしとノルさんは、同じ穴のムジナかもしれません。もっとも、そう説明したところで誰よりもノルさんが納得しないでしょうが。あまりに非現実的すぎて、自分でも時おり、トゥアハー・デ・ダナンで過ごした日々が嘘であったかのように思える日もあるのですから。
「 “殺していいのはカルテルと政府の犬だけ”、すくなくともわたしとケティは、そういう
カネがすべてな組織はたやすく瓦解するものよ。土地や規範、それか血縁に縛られない組織は脆いもの、個人レベルだってそう。
そういう訳だから、ちょっとは安心できるんじゃない? だってあなたのとこのカルテルも基本はこういう路線でしょ、ねえ? セニョーラ・テオフィラさん?」
だから安心しなさいと、そうノルさんは話を結ぶ。
自分はプロであると、そこはかとなく自信を滲ませるノルさんにわたしたちと、複数形で呼ばれていたケティさんは、こちらの話がつまらないのか見向きもせず、ぼんやりとテレビを眺めてました。
あの少女も訓練を受けている? 今のところ態度も相まって、彼女にプロらしさを感じたことはないのですが・・・・・・そもそも自分の意志でこの
アフリカ、東南アジア、そしてアフガニスタン。貧困があるところに必ず少年兵の姿がある。
ノルさんがこうまで信用しているのです。彼女もまたシカリオなのでしょうが、わたしにはどうにもこの少女が、犯罪ビジネスという環境の中で生まれた、亜流の少年兵ではないかという疑惑が捨てきれずにいる。
あくびをしてるケティさんの呑気な素振りからしても、顔面タトゥーの彼女はノルさんを信頼しきっているみたいですけど・・・・・・モヤモヤは晴れない。
もし軍人としての道を選ばなければ、わたしも普通の少女として生きられたのだろうか? そう考えたことがないかといえば、嘘になるのですから。
ですがその一方で、子どもでも人を殺す覚悟は決められるのだと、誰よりも知ってもいた。
何もかも矛盾ばかり。
賢しげにこれが人生だと言い張ることもできますけど、ダメですね、論点がズレている。今わたしが考えるべきは別の事柄、すなわち――テオフィラって一体誰ですか?
テオフィラ。テオフィラ・・・・・テオフィラって、誰?
まるで聞き覚えのない、急にふって湧いた名前。なのにノルさんはテオフィラと、明らかにわたしを名指ししていた。
テレサとテオフィラ。
こう微妙に似ているようで、まるっきり似ていない感じの名前でした。語感からしておもいっきしスペイン系の名前ですし。それでいて、ついつい頭の中で混同してしまったと言い張るには、ちょっと無理のある感じの名前でもある。
どういう、ことなのかしら?
これはもう、思い切って発言者に尋ねるしかないでしょう。
「何いってるんですかあなたは?」
と。
質問の答えは、とっても味のある表情でした。
わたしの質問をそっくりそのまま顔の皺で表現していくノルさんの百面相は、ちょっと感心できるほどの出来でした。
つづいて深々ーとため息までつかれてしまい。えっ? なんですこれ? どうしてわたしが悪いみたいな反応されてるんですか?
「あのねえ・・・・・・もうさ、ここまできたらそういうオトボケはいいから、覚悟を決めない?」
「なんですかその物言いは」
ちょっと腹が立ってきましたよ。
ノルさんの言い草は、まるで証拠が出揃ってるのにあくまで自分はやってないとしらを切る犯人と向かい合う刑事さんのような呆れ具合でして、わたしはついついジト目を返してしまう。
なんでしょうこの理不尽な状況は。
「ずっと考えてたんですが・・・・・・やっぱり分かりません」
「なにが」
「どうしてノルさんがわたしを誘拐したかですよ」
あとカリ・カルテルも、ですけど。
「だから――」
「聞きませんよノルさん。いいですか? わたしが突然、記憶喪失となったと仮定して、一からの説明を試みてみてください。
そうしないと、わたしずっと何が起きてるんですかと喚き続けますよ?」
「・・・・・・なんで?」
「ですから!! その台詞はわたしのものだってさっきから言ってるでしょう!?
なんなんですかこの状況は!! すべての説明を求めます!!」
溜まりに溜まった怒りが一斉に噴火し、言葉の奔流となってノルさんに叩きつけられていく。
ノルさんも流石に面食らい、ちょっとたたらを踏んでいる。
「じゃあなに?」
ちょっと苛立たしげにチャイナドレスの麗人が声を荒げました。
わたしにはもう逆ギレとしか映りませんでしたが、当人からすると正当な怒りとみなしてる節が感じられて、理不尽感が増し増していく。
「まだ自分はテレサ=マンティッサとかいう、しがない旅行者だと言い張るつもりなの!?」
「そうですよ!! むしろ他に何があるんですか!?」
「まあ身分証まで徹底してるのは感心したけど。偽造ならいくらでも出来るわよね」
「あ、あなた!! わたしのポシェットの中みたんですか!! プライバシーの侵害ですよ!?」
「人質の手荷物確認しない馬鹿がどこにいるのよ!!」
「犯罪者が偉そうに言うんじゃありません!!」
「両手縛られてる奴がプライバシーなんか気にしてる場合!?」
売り言葉に買い言葉。
一度ヒートアップするともう歯止めが効きません。なんとも不毛なやり取りが始まってしまいました。
話題はどんどんズレていき、ついには個人攻撃に発展する始末。
「銀髪頭の三つ編みにとどめにリボンを装備。そんな超フェミニンって感じの白人娘が、そうポンポン居てたまるもんですかッ!!」
「銀髪じゃありませんッ!! アッシュブロンドですっ!!」
「言いまわし変えたって髪色まで変わらないわよッ!?」
「リボンだって可愛いでしょうが!!」
「子どもっぽいだけでしょ!! 童顔垂れ目にリボンとか、ガキっぽくみられるように狙ってやってるわけ! ? 流石プロの商売女は違いますねぇ!! なんともまぁ、あざといですこと!!」
「んなっ・・・・・・むしろノルさんみたいな大人の女性と呼ばれたいなと、常々思ってますよ!!」
「ならまずリボンやめなさいッ!!」
「ヤ、です!! こだわりは捨てませんからね!?」
悪夢のような言葉のリレー。
自分でも驚くほどにポンポン言葉が飛び出しては、それをノルさんは軽やかに打ち返してくる。本題はどこへやら? 喧嘩にありがちなことですけども、自分だけではもう止められなくなっていました。
誰か止めてください・・・・・・心の中でそんな泣き言すら吐いてしまう。
どんどん早口になっていく口喧嘩。流石に異常に気づいたらしく、テレビから目を離した顔面タトゥーの少女は、わたしたちの顔を代わる代わる眺めていく。
そうでした。唇を読まないと彼女、会話に参加できないんでした。
首振り人形のように必死にこちらの唇の動きを読もうと試みてましたが、大声かつ早口ではその努力もむなしく――ケティさんはついにキレてしまわれたのです。
太ももまで覆う、とっても裾の長い革ジャンです。それをバッと翻したかと思えば、少女はおもむろに中から紐で吊られたTEC9サブマシンガンなんて物騒なものを取りだし、天井めがけて乱射したのです。
けたたましい銃声に比べたら、大声なんて可愛いもの。
パラパラ振ってくる天井の破片を浴びながら、ギョッとして固まるわたしとノルさん。その仕草だけ見れば、わたしたちはまるで双子のようにシンクロしてました。
一方ケティさんは、まるで人を威嚇してくる殺人ブルドッグよろしく歯をむき出しに唸りながら、次なる物体を革ジャンの中から取りだしたのです。
次はどんな凶器が・・・・・・と、身構えていますと。ありがたいことに想像は裏切られてくれた。
黄色と青という極彩色のプラスチックで構成される四角いフレームの間には、白いボードが挟まってました。いわゆる手のひらサイズの子ども向け玩具、スケッチボードでした。
透明なプラスチックの板のあいだに砂鉄を混ぜた特殊な液体を充填させ、その上から磁石をつけた専用のペンでなぞることでボードに絵を書くことができるという一品です。
父に買ってもらった矢先に原理が知りたくなって、ついつい分解してしまった幼少の記憶が思い出されます。父は無言で首を振ったあと、たくさんの画用紙を買い溜めにいったものですが・・・・・・でも、なるほど。
ツマミをひねれば書いた内容をいつでも消せて、好きなだけ書き直すことができる優れもの。メモ帳に書き殴ってはページ破り捨てていくよりも経済的ですし、筆談にはうってつけのツールでしょう。
色合いは新しいのに、扱いが雑なのか傷だらけなスケッチボードにサラサラと、ケティさんは何やら書いていく。
[うるせえだろ!!]
屋内で発砲した女の子にうるさいと説教されて、ついつい顔を見合わせてしまうわたしとノルさん。
わたしたちから見えるよう掲げられたスケッチボードを反転させ、新しい字をケティさんはすぐさま書き込んでいきました。
[それに話ずれてね?]
一転して、顔面タトゥーの少女からの冷静すぎる指摘はあまりにおっしゃる通りすぎて、ちょっと赤面してしまった。
ずっと年下の女の子に怒られ、つづいて呆れられてしまうのは、20歳の身の上には中々に辛いものがありました。大人の女性という理想像から百歩ぐらい後退してしまった気分。
おずおずと、ノルさんが口を開きました。
「・・・・・・あのねケティ。ここらの住人は銃声に寛容だけど、流石にサブマシンガンを屋内でぶっ放すのはどうかと――」
[うるせえ]
「・・・・・・耳の聞こえない相手にうるさいと説教されるのは、どうなのかしら」
[そうだぜ、どうせ聞こえないから好きなだけ大声で話せばいいけど、唇読ませる気がないのは最低なんだぜ。ちょっとは配慮しやがれ]
「わ、悪かったわよ・・・・・・」
男の子ぽい語り口、といいますか手書き文字。
注意の惹き方はあまりに粗暴でしたけど、要求そのものは納得のいくものばかり。そのせいでノルさんはちょっとしょげてました。
悪い大人に騙された(ノルさん)、可哀想な少女(ケティさん)。どう頑張ってももはやこの構図は成立しそうにありません。下手をすれば、ケティさんの方が偉そうです。
どうしましょう。初登場時の凛々しさはどこへやら、ノルさんのポンコツ具合がすごい速度で加速している気が。
雨漏りは心配でしたけど、とりあえず最上階ゆえに巻き添え被害は心配しなくてもよさそう。この宿の経営者さんからしたら悪夢でしょうけど・・・・・・天井の弾痕を眺めていると、ふっと気が抜けてしまった。
もう口喧嘩する雰囲気でもありません。いくぶん冷静になったわたしは、ケティさんのオーダーに沿って唇をゆっくり動かしていくのを意識しながら、ふたたび質問していきました。
「えっとですね、ノルさん・・・・・・自慢じゃありませんけど、わたしのお財布事情ってそれはもう火の車気味でして。同居人の多い居候生活って、これであんがい物入りだったりするんですよ?」
この旅行もそうですし、最近ちょっと思わぬ出費が立て続けに起きてしまったのも、お財布が軽い理由だったする。
「ちょっとこう処理速度が気になってきたなーという時に、折よく新発売の報が届きまして。
頭の中ではダメ、予算で何でも落とせる昔とは違うんですよとわかっていても・・・・・・気づけばインテル入ってますよ? などと周囲に自慢できるレベルのPCが組み上がってまして」
「気でも狂ったの?」
「ですから!! 貧乏人に身代金なんて催促したところで、無い袖は振れないと言ってるんです!!」
身代金をいくら吹っかけるつもりか知りませんけども、私の口座残高はそのご要望にお応えできないこと請け合いです。高いんですよ最新鋭機種って。ついでにいえば、誘拐保険等にも加入していいませんし。
相変わらず何を言ってるんだかと、腕を組みながら呆れ顔なノルさんでしたが、先ほどのように口喧嘩に発展しないのはケティさんの監視のお陰でしょう。
さっきよりはいくぶんトーン低めで、ノルさんがわたしを問い詰めてくる。
「つまり話は一歩も進んでないわけね。
カリの幹部をぶっ殺してやろうと乗りこんだホテルにたまたま居合わせたのは、あくまで単なる旅行者テッサちゃんだったと、そう主張するわけね」
「・・・・・・あの、ノルさんがホテルに居合わせた経緯のほうが、私的にはよっぽど気になるんですが」
「話を逸らさない」
それは、まあ、形の上では逸したことになるんでしょうけども・・・・・・そういう問題ですか?
ノルさんはシカリオです。そのうえ組織の支援なくては不可能な膨大な資金投入のすえに生み出されたプロであり、さらに出身はカリであると匂わせていた。ここまできたらノルさんの所属はカリ・カルテルとしか思えないのに、今度はコレです。
そういえば、カリに雇われているとかいう汚職警官たちを鮮やかに返り討ちにしてた訳ですし。
「もしかしてあなたたち・・・・・・カリ・カルテルに反旗を翻した、とか?」
それならすべての辻褄が合うのですか、ノルさんはわたしの言葉を軽やかに無視していきました。
「ケティ、ポシェット持ってきて」
手話と口語のワンセットをすばやく読み取っていったケティさんは、ベッド上に置かれた肩紐が切り落とされたままのポシェットを引っ掴み、ノルさんへそのまま投げ渡す。
ノルさんのお目当てはポシェットそのものではなくその中身、財布の中に収められたわたしのステートIDのカードでした。
アメリカでは基本的に運転免許証がIDとして使用されるのですが、あいにくとわたしと車の相性の悪さは周知の事実。そのため州ごとに発行されるこのステートIDを運転免許証代わりに携帯していたのでした。
偽の身分だからこそ微に入り細に入り、ディテールを埋めることで疑いの芽を摘み取っていく。ミスリルの完璧主義はここでもしっかり徹底されており、ちゃんとテレサ=マンティッサ名義になっていたりする。
本名名義のものはアパートの金庫に保管されてますから、その点は安心なんですけど・・・・・・。
「その偽装がどれぐらい強固なものなのか見せてもらいましょ? まず手始めにどこに住んでいるかから始めましょうか。ねえ、テッサちゃん?」
なんとも含みのある言い方。
むしろ説明責任は、人をテオフィラさん呼ばわりしてきたノルさん求めたいところなんですが、これを逆手に取ることもできる。
デカルトにいわく、我思う故に我あり。
ノルさんが誰と勘違いされているのか知りませんけど、マンティッサという偽装身分であったしても、わたしは自分がテオフィラさんとは別人であると簡単に証明することができるのですから。
「いいでしょう。どんとこいです」
良い嘘とは、事実の中に嘘を織り交ぜているものです。別姓を名乗っているとはいえ、マンティッサとテスタロッサの間には大した違いはないのです。
ですからわたしがすべきことは、偽ることなく己についてただ語っていくこと。このノルさんの挑戦、正面から受けて立とうではありませんか。
改まって、わたしはあえて自己紹介をしていきました。
「わたしの名前はテレサ=マンティッサ。今は故あって、ニューヨークの友人のアパートで居候をしています」
わたしの発した言葉は、同時通訳でケティさんにも伝えられていきました。わたしを睨めつけつつ手話通訳とは、ノルさんは器用な人です。
「面白くもない設定」
「人の居住地を“設定”呼ばわれしないでもらえます?」
「どうして海外暮らしを自称する奴って、判で押したようにニューヨークに住みたがるのかしら」
「偏見、混じってる気がしますけど・・・・・・」
「ニューヨーク在住っていうなら、カリのニューヨーク支部がヘルズキッチンにあるのはもちろん知ってるわよね」
「知りませんよ!!」
「ふーん、ニューヨーカーの癖して、ご近所に隠されてるカルテルの極秘拠点について知らないんだ。それはずいぶん怪しいわね」
「犯罪者の常識は、世間の非常識だと知りなさいッ!!」
もっともな主張をしたつもりなんですが、根本の世界観が違いすぎて会話にすれ違いが起きている気が。疑惑ポイント+1。理不尽極まりないですけど、ノルさんの目つきからしてそんなポイントが加算されているに違いない。
「はいはい、じゃ次の質問ね。職業はなに?」
「それは・・・・・・恥ずかしながら今は無職です。学生でもありません。何度も恥かかせないでください」
「豪邸ぐらしでも無職は無職か」
ステートIDカードに書かれた住所をノルさんは読み取っているようでした。
ヘルズキッチンという地名が飛びてできたことからも、あやふやすぎる日本の認識とは異なり、それなり以上にニューヨークについて詳しいみたい。
確かにメリッサのアパートは、一等地に立っている割と豪奢な物件です。ただしその豪華さは金銀財宝が散りばめられた内装のせいではもちろんなくて、駅前5分的な利便性が最大の理由。
わたし、メリッサ、ウェーバーさん、クララちゃんにロニーにラナさん。6人も住んでると流石にちょっと手狭になってくる程度の広さしかありません。ここに普段は膝を抱えて体育座りの状態で放置されているアストラルも加わるわけですから、手狭感はさらに増す。
土地が高ければ、お家も高くなるのは世の常です。ただし住所だけ見れば、やはり一等地に変わりはない。
「まあ家賃が高いことは否定しません。数年前に越してからというもの、メリッサに何度ぼやかれたことか・・・・・・ですが、良いアパートに住んでるからってわたしがそのまま資産家だと判断するのは早計にすぎますよ」
「知ってるわよ。カネ持ってるのは旦那の方でしょ」
「・・・・・・すみません、わたしのプロフィールに独身の項目も加えてといてください」
セニョリーラ・テオフィラさん、そうノルさんはわたしを呼びました。
テオフィラという名に聞き覚えはなくとも、セニョリーラという敬称はスペイン語の教科書で読んだことがあります。既婚女性ならセニョーラ、未婚ならセニョリータと呼ぶのがスペイン語の習わしなのです。
「ついでにわたしの左手の薬指も見てもらうと助かります。明らかに指輪の類をつけてないでしょう」
「ご存知かしら、指輪ってつけ外すことが出来るのよ?」
「あのですねえ・・・・・・テオフィラさんって誰なんですか? もしかしてですけど、いいえ、明らかにノルさん。その方とわたしを人違いされてますよね?」
「ニューヨーク在住ね。その前はどこに住んでいたの?」
「バージニア州のポーツマスですよ。これもお話したでしょう」
「“オキナワ”じゃなくて?」
「沖縄にも住んでましたけど・・・・・・」
カタカタカタ、キータッチの音が聞こえてきました。
いつの間にやらバイオレントなステッカーびっしりな古めのラップトップ・コンピューターをケティさんは操り、インターネットで何やら検索しているみたい。
こちらからは画面が見えません。ですので検索結果はケティさんご自身と、手話で内容を伝えられたらしいノルさんしか知り得ない。
「ところで、“オキナワ”には那覇祭りとかいう伝統行事があるそうだけど」
「子どもの頃にちょろっと住んでいただけで、あまり深く地元と繋がりをもてなかったのは惜しかったなーと、今でも思ってますよ」
尋問の初歩も初歩。身元を偽るスパイに口を割らせるため、地元の人間しか知らない情報を尋ねてみる。
初歩だからこそ、この対策法も古くから行われています。余談ですけど、諜報機関にはボランティアの偽家族という協力者が居るそうで、スパイが身元を保証してほしい時に彼らに電話すると、ええ確かに自分たちの家族ですと太鼓判を押してくれるのだとか。
いつもはメリッサに頼むところですけど、プロであるノルさんが人質であるわたしに自由に電話を掛けさせるとも思えない。
暗号を潜まされたらたまらないでしょうから。わたしとしましても、ちょっと最近は神経質にすぎる元特殊部隊員である彼女がわたしが誘拐されたと知った時、何をするのか分からないのでちょっと怖かったりする。
ASに乗り込んで単身、コロンビアに空挺降下するとか・・・・・・メリッサならやりかねない。
「それよりもポーツマスの話をしましょう。あっちでしたらご近所の皆さんとも付き合いありましたし、何でも答えてあげますよ?」
いい思い出も悪い思い出も、生まれ故郷であるポーツマスにはたくさんある。
「でも・・・・・・離れて長いですから、ジョアンナおばさんがまだバラを育てているかは分からないわ」
「“オキナワ”には子供の頃に住んでいた」
「はい」
「ポーツマスにも子供の頃に住んでいた」
「そうですね」
「あっそう――なら、数年前に引っ越したとかいうニューヨークの前には、どこに住んでいたのかしら?」
あっ。
語るに落ちるとはまさにこのことで、わたしの微かな反応を見たノルさんが不敵に微笑む。あまり突っ込んでほしくない方向に話が進んでいき、嫌な感じに背筋がゾクゾクしてしまう。
ポーツマス、沖縄、またポーツマスを経て、そこからニューヨークに至るまでの空白期間。まさか話せるはずもありません、シドニーにあるミスリルの研究施設を経て、メリダ島なる秘密基地で生活していましたなんて。
平凡とほど遠いわたしの人生は、一から十まで機密事項。
そうでなくてもわたしは、知った途端に相手を問答無用で巻き込んでしまうような、呪いじみた世界の裏側の真実にずっと携わってきたのです。
話せるはずがない。話せないからこそ言いよどんでしまい、その不自然な間が新たな勘違いを生んでいくのです。
「答えられない?」
「あ、あのそういう訳じゃなくてですね? 話したくとも話せないといいますか・・・・・・頭がちょっとこんがらがってるだけでして」
「別にいいわよ。新しい設定を思いつく前に、他の質問をしてみましょうか。
ついさっきこう言ってたわよね? “今は”無職だって。じゃあ、前に就いていた職業とやらを窺いましょうか」
「そっ・・・・・・それは」
言葉の綾と申すには、油断し過ぎなわたしのプロフィールの穴をノルさんは的確に責め立ててくる。下手な尋問官よりよっぽど有能ですよこの人!!
て、適当にプロフィールをでっち上げて・・・・・・ですが、わたしは作家じゃないのです。急に一から組み立てた偽の身分で、この目ざとすぎる美脚の尋問官を騙しきれる自信がまるでない。
「うん? どうしたの? あなたが本当に平凡なアメリカ人であるテレサ=マンティッサなら、難しい質問じゃないはずよ」
残念ながら普通じゃないんですよノルさん、わたしのこんちくしょうな人生というやつは。
極秘の傭兵部隊を弱冠16歳にして率い、史上最強の潜水艦を駆って世界を股にかけて戦っていましたーなんて・・・・・・真実だからこそ信じてもらえる筈がないのです。
どうしようもなく事実ではあるのものの、事情を知らない方に聞かせたらエリア51でエイリアンの研究をしていましたと告白するぐらいに説得力がないことは請け合いです。
あれ、もしかしてわたし詰みましたか?
「あの、その、えっと・・・・・・」
何が正面から受けて立とうですか!! これじゃあ、自分で自分の首を絞めたようなものじゃないですか!!
魚介類のように口をパクパクしつつ言い澱むわたしを、それ見たことかという視線で見つめてくるお二方。なんのいわれもないのに誘拐されたのはこっちなのに、まるっきり嘘つき扱いでした。
プツンと、糸の切れる音がしました。
ストレスという名のハサミがですね、こう理性とラベリングされた糸を断ち切ってしまった。そういうことなんです。
つい魔が差したわたしは、暴露ってしまいました・・・・・・テレサ=テスタロッサとしての一切合切を。
「実は以前・・・・・・わたしは極秘の傭兵部隊を弱冠16歳にして率い、史上最強の潜水艦を駆って世界を股にかけて戦っていた、美少女艦長さんだったのです!!」
「嘘こけ」
ノルさんに一刀両断されてしまった。ちょっと泣きたくなってくる・・・・・・でも、無理もない気がして辛いんです。
さらに追い打ちをかけるように、ぬっとスケッチボードをケティさんが差し出してきました。
[爺ちゃんが、ウチのご先祖様はガイ=フォークスなんだぞーて言うぐらいに眉唾もんだぜそれ]
イングランドの議事堂を爆破し損ねたことで歴史に名を残した、元祖の爆破テロ犯の名前をケティさんはスケッチボードに書き書きしてきました。
赤毛に白い肌。ステレオタイプにすぎるほどアイルランド人の特徴を備えているケティさんは、やはりここコロンビアの生まれでないようです。ご先祖様うんぬんのお話の真偽はともかくも、生まれは確実にヨーロッパ。当人の主張を信ずるならば、グレートブリテン島近辺が故郷みたい。
[だから政府に爆弾仕掛けるのはウチの家業なんだってさ]
しれっと凄いことを言うのが、この人たちの神聖な義務なのかしら。
当人の主張を信じるならこの子、一家揃ってテロリストか何かだったのでしょうか?
たしかにアイルランド系のテロ組織といえば、かの有名な
まさかとは思いつつも、ヨーロッパ生まれの女の子が遠くコロンビアで
すでに十分に奇妙奇天烈な状況に巻き込まれているのです。今さら、元テロリストの少女が現れても驚きは・・・・・・しますね。どうなってるのかしらこの世界。
「ハァ・・・・・・何をどうしたら潜水艦がどうのこうの話が出てくるわけ?」
「お望みでしたら、この場で可変ピッチ・スクリューの図面を引いてみても構わないんですけど・・・・・・」
「ハン!! どうせ、カルテルが作ってる半潜水艇に乗せてもらったとかその程度でしょ? エキセントリックな性格してるとは聞いてたけど、まさか虚言癖まであるとは知らなかったわ!!」
「もうやめてください!! さも当たり前のように麻薬カルテルが潜水艇を作ってるとか、訳わからない情報でわたしを混乱させないでください!!」
「作ってるのは、今だにカリブ海の密輸ルートに固執してるあんたの組織でしょうが!!」
「認めましょう!! 深い事情があってわたしの本当のプロフィールはお話できません!! それはいいにしても――」
「よくない」
「いいにしても!! 先ほどからノルさんが仰ってる既婚者だったり、組織を背負ってる云々でしたり、つまりテオフィラって誰なんですか!! それを聞くまではもう一歩も引き下がりませんからね!!」
「・・・・・・分かった」
ため息つきながらノルさんは言いました。
「そっちがその気なら、こっちの方で動かぬ証拠ってやつを、見せつけてやろうじゃないの」
ノルさんは相変わらず、わたしをテオフィラさんとかいう別人と勘違いしてるみたい。そのことを証明するおつもりのようでしたが、どうやってやるのかわたしにはサッパリです。
「ケティ」
待ってましたとばかりにケティさんは、膝に載せたラップトップを操りだす。
ですが鮮やかとは言い難い操作の仕方でした。こう、パソコン初心者からようやく脱皮したという風に、拙いキータッチを何度もなんども繰り返して――あっ、わたしケティさんが押してるキーが何なのか分かってしまいました。
おそらくは、世界で最も知られているであろうWindows OSのショートカットキー、すなわちCtrl+Alt+Delとこと再起動コマンドに違いない。
「この中に証拠が詰まって・・・・・・って、どうしたの?」
異常に気がついたノルさんが、困惑気味なケティさんが見つめてるラップトップの画面を覗き込んだのですが、薄暗くなってきたためかスクリーンの鮮やかな青色が彼女の顔面を照らしてました。
いわゆるブルースクリーンエラー。古いだけあって安定性に欠けるらしいラップトップPCがフリーズしてしまったみたい。
「えっ? なに、もしかしてまた壊しちゃった?」
またとか言ってますよこの人。もしやコンピュータ音痴なのかしら。
そして始まるグタグタした時間。ついさっきまでの名尋問官ぶりはどこへやら、ケティさんをレベル1だとするならノルさんはどうやらレベル0であるらしく、待てど暮らせど解決する兆しが見えてこない。
あーだこーだ、うーだあーだ。
なんとか再起動に持ち込んだものの、画面いっぱいに出てくる98どころか、95という数字に密かに戦慄してるわたしを尻目に、2人は新たな問題に遭遇してました。タッチパッドが急に効かなくなったのです。
ケティさんがどれだけなぞってもうんともすんとも言わず、業を煮やしたノルさんがその長い指を走らせたところで事態は変わりません。
また再起動。ですが結果は同じ。ウンザリしてきました? わたしもです。ですがまだ終わりではないのです。
プランBとばかりに例のダッフルバッグに貼り付いたケティさんは、中をかき回し、USB接続の外付けマウスを持ち出してきました。こんな事もあろうかと、この言葉を忘れた途端にテクノロジーというのは破滅するのだと、ケティさんはよくご存知みたい。
ただし、そのプランBまで有効に働かない予想外だったみたいですけど。
反応しないマウス。USB端子を抜いては差し、抜いては差しを繰り返していく誘拐犯たち。なんてグタグタした時間なのかしら。
「あの、代わりましょうか?」
「メキシコの貧民街の生まれだからパソコンに詳しいとでも? 人質はそこで大人しくしとく!!」
今度はメキシコ人扱いですか・・・・・・メキシコも割と人種は多様ですけど、日焼け一つしていないわたしの肌に思うところはないのかしら?
3歳でマシン語を書いたわたしとしましては、これって紛れもない親切心だったのにあっさり跳ね除けられては、もう不貞腐れるしかありません。
ふたたびダッフルバッグに向かうケティさん。すると用意のいいことに――といいうよりも普段から必要に迫られるシチュエーションが多いに違いありません。
取り出されてきた接点復活剤のスプレーをUSB端子に吹きつけてから差し込んで見れば、やっとマウスカーソルが画面上をぐるぐる走り出す。
「直った? 直ったのよね?!」
もう挽回できないところまで落ちてしまった感のある残念美人を押しのけながら、ケティさんが淡々とマウスを操っていきました。
デスクトップ画面にいくつも並んでいる黄色いフォルダーたち。その一つがクリックされる。
2人がぐたぐたしている内に座るポジションが刻々と変わっていったため、今はこっちからも画面を覗き込むことができるようになっていた。そのフォルダ名とは、“モンドラゴン・ファミリア”。カリ・カルテルのライバルとして知られる、
フェルダの中身はテキストと画像ファイルでいっぱい。ケティさんがクリックしたのは、そのうちの画像の方でした。
ラップトップの画面いっぱいに広がる写真。たぶんフィルムで撮られたものを後でスキャンしたものみたい。どこまでも広がる鬱蒼としたジャングルを背景に、“1233日目。
農場なんて牧歌的な響きの割に、その集合写真に集っている人々は皆一様にどこか剣呑な雰囲気を漂わせている。フォルダ名からして、被写体が全員カルテルのメンバーだからでしょう。
あまり解像度のよろしくない写真ですが、1人だけひどく目立つ人物がその写真に写っていました。
まさに紅一点。写真に写っている唯一の女性は、ジャングルの奥深くだというのにワンピース姿で白い肌をひけらかしています。そんな彼女に嬉しげに抱きつかれながら、一緒に写真の中央に収まっている男性もまた特徴的でした。
よく鍛えられていると同時にお腹も出ている、小太りぎみなラテン系の中年男性。なのにその目ときたら、ホオジロザメのように底の見えない瞳でして、他の男たちよりも頭一つ抜ける風格を身に宿している。
単なる推測でしたけど、どうしてか確信じみたものを感じる。
この人物こそが、モンドラゴン・ファミリアの創設者にしてボスである、ハイメ=モンドラゴンその人ではないのかという確信が。
では、そんなボスに満面の笑みで抱きついてるこの若い女性は何者なんでしょうか?
目を見開いき、かえすがえす画面を見つめてみましたが、どう見てもこの女性――わたしなのでした。
声にならない驚きとは、まさにこのこと。
アッシュブロンドの髪。三つ編みの上にちょこんとのる大きなリボン。解像度の関係で分かりにくいものの目鼻立ちも瓜二つ・・・・・・ですがわたしなら、あんな脳天気にすぎる笑顔でピースサインを決めたりはしませんし、恋人居ない歴がイコール年齢である以上、異性に縋り付いたりもしませんし、無論のことながらカルテルの集合写真にひょっこり写り込むはずもない。
では、この写真に写っている謎の人物は一体? えっ? なんですかこの写真? ドッペルゲンガー?
「これでも否定する気かしら」
顔を驚愕一色に染めて身動き取れずにいるわたしをノルさんは、仁王立ちしながら勝ち誇るように見下ろしていく。
「そうでしょう? 特殊部隊上がりで超のつく武闘派であるかのドン・ハイメが、自らの妻子を捨ててまで走った魔性の淫婦こと――テオフィラ=モンドラゴンさん?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・他人の空似ですよコレ!!!!
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