想魂のゴーストライフ

raraka

プロローグ



 ―――――――――――人は死ぬ。


 絶対に、死ぬ。

 例えば、寿命で。

 例えば、病気で。

 例えば、事故で。

 例えば、自らの手で。

 時間という絶対的な制約によって、あるいは、人や病の手によって、俺たちは、いつか、必ず、死ぬ。

 身体が動かなくなり、視界は暗闇に閉ざされ、心臓が鼓動を諦め、そして、俺たちは肉塊となり――――。

 死んだら何も感じることができなくなって、その後は、天国や地獄に行ったり、もう一度生命として生まれ変わったり。

 死後の世界があるかは知らないけど、とりあえず、死んだら“終わる”。



 多分、世間一般的に“死”とはそういう認識のはずだ。

 少なくとも、俺はそう思っていた。

 幽霊なんて、心霊現象なんて、恐怖から脳が錯乱しただけの戯言だと。

 死んでしまえば、全部終わるのだと。

 この日々から、逃れられるのだと。

 仮にもし死後の世界があるなら、そこからあいつらの反応を見てざまぁみろってせせら笑ってやる。

 


 ―――――――――――そう、思っていたのに。

 

 

 まさか、死んでもまだ“死ぬ苦しみ”に怯えないといけないなんて。

 まだ、“生きて”いかないといけないなんて……。



 ―――――――――――――――――――――いや、違う。

 俺は確かに死んだ。

 もう、俺の人間としての人生は、間違いなく、終わったんだ。

 確かに、“死”への恐怖は未だ燻っている。


 ―――――でも。

 それでも。

 あの日々から逃げたいという願いは、確かに叶ったんだ。

 


 ―――――――――――――なら、どうする?

 ―――――決まってるだろ。

 



 魂として。

 幽霊ゴーストとして。

 この“死後の命”で。

 生きて、生きて、生き抜いて。



 ――――――――――そして、世界中に刻み付けてやる。

 俺がいたという、記憶を。


 ――――――――――世界中から、かき集めてやる。

 俺への溢れんばかりの、想いを。



 

 

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