第5話会話の温度差
あーー、気持ちよかったぁ。
いやーー、王宮のお風呂はすごいね。25メートルプールぐらいの大きさで、しかも、いっぱい花が浮いてるの。もう最高!!
すっきりした後、ルピはこの国について説明してくれた。
「ここは、クリスタル王国だ。わが王、ランサス様が治めていらっしゃる。先程あなたがお会いになった王子は、ランサス様のご子息様にあたる、カルミア様だ。」
「カルミア様....。」
「この王国は自然に恵まれてるから、観光地として栄えているんだ。」
「自然!?」
私は目をきらきらさせて早口で話した。
「森がたくさんあるの? あ、動物もたくさんいるのかな? あーー、もふもふしたーーい!!」
「えっ、まぁ、動物はたくさんいるが。もふもふ、とはどういう意味だ?」
「動物をなでなですること! もう、構い倒す感じで!」
「そうか。」
「外には出れないの?」
「外出許可がないとできんな。」
「そっかー....。庭園はあるの?」
「ある。王がたいそうお気に召されているようだからな。」
「じゃあ、そこに行こう!」
今気が付いたのだが、ルピは話をしている間、顔色一つ変えない。もう少し、笑ってくれてもいいのに....。
「ここだ。」
「うあーーーー!!」
そこには、これでもかってぐらいに咲き乱れる様々なお花で美しく飾られた庭園があった。
あれは、バラかな? あ、こっちは撫子だ!! そういえば、この世界と私の世界では花の名前は違うのかな?
私は、バラらしき赤い花を指さして、
「この花はなんていうの?」
と、ルピに尋ねた。
「バラだな。愛の結晶ともいう。」
「そうなんだ! 私の世界でもね、バラっていうの!!」
「そうか....。」
私はその場に座り込み、赤いバラをじっと見つめた。
「愛の結晶ねぇ....、素敵な名前ね。」
「そう、だな....。」
「どうかした?」
「あ、いや、なんでもない。」
「そう。」
何か言いたげだったけど、私は追及するのをやめた。
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