第4話 ルピの問題点

「ルピ、彼女の名はえりかだ。先程、手違いで召喚されてしまったようだ。」


「召喚? 精霊のですか?」


「そうだ。」


「あれは、魔力を持つものにのみ反応する儀式であったはずですが?」


「よくわからん。とにかく、彼女の監視をお前に頼むことにしたからな。どうやら帰ることができないらしい。」


 やっぱり監視のほうが重要なんだ....。


「あのーー、監視するんでしたら、女性の方のほうがうれしいかなぁっと....。」


「承知いたしました。私にお任せを。」


 あーー、そうですか、私の意見は無視ですか....。


 ルピがこちらを向いて、じーっと見つめてきた。


 何? 何かついてるのかな?


 自分の身体を見る。


「ひゃっ。」


 透けてる!! 私は急いで腕で隠した。いやーー、私ったらこんな格好で、みんなの前にいたのー!? 後ろを振り返ると、いそいそと帰る彼らの様子が見えた。恥ずかしさのあまり、硬直してると、


 バサッ。


 はっとして前を見た。ルピが自分のマントを私にかけてくれたのだ。


「行くぞ。」


 ルピが手招きする。


「あ、ありがとうございます。」


「......。」


 何も言わず彼は前を歩いていく。


 なんだ、全然問題ないじゃない。王子はなんであんなこと言ったんだろう。いい人じゃん。



 なーんて思っていられたのは10分間ぐらいだった。


「あの、ルピさん?」


「ルピで構わない。」


「じゃあ....、ルピ、なんでまだいるんですか?」


「王子から、あなたを監視しろと言われましたんで。あと、楽に話してくれていい。」


「あーーうん。でも、四六時中とは言ってなかったよね?」


「そうだが、できる限り傍にいなくては。万が一のために。」


「万が一のために......、お風呂場まで来なくていいです!!」


 そう、私は水にぬれて寒いので、お風呂に入らせてもらうことにしたのだ。が、ルピは脱衣所の中までついてきたのだ!!!


「なぜ?」


「なぜもなにもありません!! 常識です!! 早く外に出てください!!!」


「しかし、万が一....。」


「大丈夫ですから!! ってか、さっきマントかけてくれたのってこういうことわかってしたんじゃなかったんですか?」


「いや、寒そうにしてたから。」


 そっちかい!!


「私は大丈夫なんで、外で待っててください!」


「仕方がないですね。ドアの前にいますから、なにかあったらすぐ呼んでくださいよ。」


「はいはい、わかりましたんで外に!」


 ルピの背中をぐいぐいと押した。


「あ、あと話し方戻ってますよ。楽に話していいですからね。」


「はーーいっ、わかったって!」


 やっとこさルピが外に出たので、私は胸をなでおろした。


 はぁ、びっくりしたぁーー。なんだか王子が言ってた意味わかった気がした。彼は、見た目はすてきだ。だけど、性格に超問題ありだ!

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