夏物語 あとがき

▼episode1.金魚鉢


 犯罪組織カオスの天才的ハッカー、スパイダーこと山内慎也の大学時代の恋物語。

悲恋でしたね。スパイダー、あなたにもこんな過去があったのね(。>д<)


 この話は珍しく一人称です。スパイダーは目に見える感情の起伏が少ない人なので、本編と同じ三人称だと気持ちが見えなくて淡々としてしまうんですよね。


 カオス幹部にもそれぞれバックグラウンドがあり、スパイダーだけではなくスコーピオンやケルベロスにもカオスに入る前の過去があります。スコーピオンの家族のことはスピンオフ作品の【失楽園】で少し語られていますね。


スパイダーがカオスに入った経緯はキングからの何とも脅しのようなブラックな勧誘でした。あれじゃあカオスに入るしかなくなります。生きるか死ぬかの究極の二択で生きたいならカオスに入れ、うわぁ脅しかいっ!


 キングが静かなるぶちギレをした〈桜井物産裏金データ流出事件〉については、本編 第二幕【金平糖】第五章↓の場面で触れています。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054888662362/episodes/1177354054890006399


 キングに目をつけられたことが彼にとってラッキーなのかアンラッキーなのかはわかりませんね……。



▼episode2.人魚姫


 美月、松田先輩、隼人、莉央、佐藤さんの複雑すぎる五角関係模様。複雑過ぎるわー。相関図書くとこの辺りゴッチャゴチャしてる💦


 早河シリーズではキーパーソンを担う美月ですが、彼女は誰からも好かれる天使のようなTHE、ヒロインな女の子……の立ち位置にいますよね。

だけど私は美月をイイコちゃんにはしたくなかったんです。イイコちゃんキャラは胡散臭くて人間らしくないと思えちゃうので苦手なんです。苦笑


 美月だって嫉妬もするし時には浮気もする。負の感情がない人間はいません。イイコちゃんヒロインキャラにだって絶対に負の一面があります。

美月だけでなく、なぎさや莉央など女性キャラを動かす時は特に〈自分ならどうするか〉を考えて小説を書いています。女なので女のキャラは自分に投影しやすいんですよね。


 浮気はいけません!いけませんが、これをお読みの女性の方も、男性の方も、皆様すこーしだけ、美月の立場になって想像してみてください。……想像、いきますよ?


 心の中に忘れられない元恋人がいて、その人と過ごした思い出の季節はやっぱりその人を思い出す時がある。

それだけでも今の恋人に罪悪感があるのに、恋人は最近なんだか他の人のことを考えている気がして心はモヤモヤ。他に好きな人がいるの?って恋人に聞きたいのに怖くて聞けなくてモヤモヤ。

そこに自分を好きだと言ってくれる一途で優しい人が現れたら……皆様どうします? どうします?


 そりゃあ松田先輩にコロッと行くでしょ!!私ならコロッと落ちます!

美月と同じ状況になったとして浮気しない自信は私はないですよー。

『私はコロッと落ちません!浮気なんて絶対ありえない!』と言い切れる人は強靭なハートの持ち主だと思います……。


 浮気はしちゃいましたけど、美月と松田先輩は最後までは致してません。

ここはどうしようかなとも思って、どちらでもとれるボカした表現にすることも考えましたし、私の中ではここまできたら最後まで……な方が雰囲気はあったんですが。


 フィクションなら雰囲気重視といきたいところを現実問題として考えると、浮気もダメですし、避妊の準備もないなら尚更、ダメです。

避妊をしない浮気はね、もっとダメ(/--)/

彼らも馬鹿じゃないのでちゃんと理性が働く二人でした。

(白昼夢での美月と佐藤の場面はめちゃくちゃ雰囲気重視にしちゃいましたけどねっ!)


 これで美月嫌いになった、幻滅したと言われちゃうと作者悲しいかなぁ💧

でも何を思うのも読者様の自由なので、私だったら美月と同じことしちゃうかもよって小話でした。


 美月の相手役が佐藤派、隼人派、松田派と三つ巴の派閥ができたりもしまして、皆様は誰派でしょうか?(* ̄ー ̄)


 人魚姫がテーマなのでメイン舞台は水族館。

作中に登場する〈しながわアクアリウム〉は架空の水族館ですが、立地の参考は港区にあるマクセルアクアパーク品川を参考に、内装はしながわ水族館(東京)、沖縄美ら海水族館(沖縄)を参考にしています。

ひとり水族館オススメですよ🐬✨私もよくやります。笑



▼episode3.蝉時雨


 本編でもくっつくのか微妙な関係だったお二人さん。めでたく?いちゃラブになりました❤️


 真紀の強がりの鎧。強い人間なんて誰ひとりとしていなくて、強いと思われる人も本当は強がりの鎧を纏っているだけなのかもしれませんね。


その鎧を脱げる場所はきっと、大切な人の前。強くなくていいよ、ありのままでいいよ、弱虫でいいよ、そう言ってくれる人が現れた時、強がりさんはやっと鎧を脱ぐことができます。


この話については……実はあまり語ることもなく、見たままです。笑

早河さんは他人のことにはナイスアシストなのに、ほんと自分のことには鈍感です(^^;)



▼episode4.乱反射


 episode4はこれまでの1~3のエピソードをまとめたものと、早河シリーズ主人公の早河さんのとある夏のお話でした。


 第二幕【金平糖】に登場した有紗が再登場で早河さんをぶんぶん振り回しています。女子高生に翻弄される早河さんは可愛いなぁ。

美月と隼人の喧嘩を描いたのも初めてですね。なんとか仲直りできてよかったです。


 episode1~episode3の物語の共通点に気付かれた方はいらっしゃるかな?

スパイダーの話、美月の話、真紀の話、どの話も夏に死んでしまった過去の恋人・好きな人を偲ぶ物語となっています。


そしてepisode4に登場する早河仁、香道なぎさ、高山有紗、クイーンの寺沢莉央も夏に大切な人を亡くしています。

早河は父親と先輩刑事(香道)を、なぎさは兄と堕胎した子供を、有紗と莉央は母親を、それぞれ夏の時期に失っています。


【夏物語】は大切な人を夏に亡くした人の喪失と懐古の物語でした。

早河シリーズは夏に誰かが死ぬ確率が高いですね💦

どの夏物語がお好みでした?


 次作、第六幕【砂時計】に繋がる伏線もチラ見えしてます。暗躍するケルベロス、明鏡大学に現れたキング、彼らの目的とは?

次は最終幕【人形劇】の序章にあたる第六幕【砂時計】をお届けします🍀


第六幕【砂時計】はこちらになります↓

https://kakuyomu.jp/works/1177354054889605033


    あとがき END

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

早河シリーズ第五幕【揚羽蝶】 結恵(yue) @mozukuchan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ