第341話 魔力0の大賢者は、その考えを問われる
「やっとかマゼル。長かったじゃんか。やっぱクソか?」
「アズール本当デリカシーがないわね」
「あはは……」
お手洗いといって離れたからアズールからは長引いていたと勘違いされたようだね。そんなアズールにメドーサが目を細めていた。
「遅いから私がマゼルの分のお弁当を買っておいたよ」
「うん。ありがとうねリミット」
そろそろ休み時間も終わるから気を利かせてくれたみたいだね。
「何かね新しくお弁当の数を増やしたって言うからね目移りしちゃったんだ。はぁ早く食べたい」
リミットの口からヨダレが! よっぽど美味しそうだったんだね。
「弁当はともかくマゼルとも合流できたし急いで戻るか」
「授業が始まってしまいますもんね」
ガロンとアニマが時計を見ながら言った。授業までの時間を気にしているね。
「あの先生が授業してくれるのかなって気もするけどね」
ドクトルが頬を描きながら呟いた。イロリ先生の授業は自習が基本だから気にしてるのかもしれないよ。
そして僕たちは休憩時間が終わる前に旧校舎へと戻った。教室で待っているとイロリ先生が来てくれたよ。
「おお、先生が時間通りに来るなんて珍しいな」
「雪でも降るんじゃない?」
アズールとメドーサが意外そうにしていた。先生はいつものんびり来てくれるから時間通りは確かに珍しい。
「そ、それは失礼だよぉ~」
アニマが二人の発言を注意するように言った。二人ともわりと遠慮なく口にするからね。
「フンッ。寝るのにも疲れただけだ」
「あの、もしかしてこれからは本格的に授業に取り組んでくれるんですか?」
ドクトルがイロリ先生に聞いた。やっぱり先生にしっかり教わりたいという気持ちが強いのかもしれない。
「そう願いたいぜ。何せ俺等は親睦会の魔法戦代表に選ばれないといけないんだからな」
「うむ。折角こういう機会が与えられたのだからな。しっかり活かしたい物だ」
アズールとガロンは今日発表のあった親睦会のことを大分意識しているみたいだ。
「……お前ら随分と言うようになったじゃないか。親睦会で選ばれたいなんてな――で、マゼル。お前はどう思ってるんだ?」
「え?」
イロリ先生が僕に目を向けて聞いてきた。名指しされたんだから考えを示さないといけないね。
「――僕もチャレンジしてみたい思います。皆もやる気になってるみたいだしクラス全員で挑めば選ばれる可能性は十分あると思う」
それが僕の考えだった。キャノンの事があったからというわけじゃない。勿論全く気にしてないと言えば嘘になるけど、やっぱり最初から諦めるのは違うと思うからね。
「……そうか。だったらハッキリと言ってやる。お前らには無理だ。とっとと諦めろ」
だけどそんな僕たちの気持ちをへし折るように、イロリ先生から辛辣な言葉が投げつけられたんだ――
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